【染料インクの耐光性実験】検証半年後の結果報告【後編】

インク
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今年2月から始めた染料インクの耐光実験半年後の結果報告です。

検証した染料インクは全部で42種類で、前編では黒~青系のインクでかなり耐光性を示すインクが多かったという結果になりました。

アイキャッチに使用している写真でも何となく分かるかと思いますが、後編はかなり変化しています。

それでは順に見ていきたいと思います。

前編での結果報告や実験方法など詳細はこちらの記事を参考にしてください。

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染料インクが太陽の光を浴びることでどのように変化していくのか知りたい

どの染料インクが耐光性が高いのか知りたい

染料インク耐光検証半年後の結果

パイロット

色彩雫「新緑」

3か月後は比較的緑っぽい感じは残っていますが、やや青みが強くなった印象です。

6か月後になると、緑の要素はわずかに残っていますが青みが強くなっています。

筆記線はしっかりと確認できます。

インクカラーは残ってはいますが、新緑のイメージとはかなり変わってきていますね。

ただ色が完全に退色してしまっているわけではないので、6か月経過時点ではインクカラーは維持されているとします。

色彩雫「竹林」

3か月後は緑の要素はかなり退色してやや黄色っぽい感じになっていますね。

6か月後になるとかなり退色が進み、文字はほとんど見えなくなっています。

筆記線はかろうじて見えています。

この後は完全に退色してしまう未来しか見えませんね。

インクカラーは元とはかなりかけ離れた状態となってしまっていますね。

色彩雫「燈路」

3か月後はやや退色は進んでいますが、カラーの印象はかなり維持されていると思います。

6か月後になるとかなり退色は進んで、全体的に薄くなってきていますね。

筆記線はしっかりと確認できますね。

インクカラーもある程度維持されているといっていいと思います。

色彩雫「夕焼け」

3か月後の時点でかなり退色していますが、まだかろうじて赤系統のインクであると判別できます。

6か月後は消えているかなと予測していましたが、思いのほか残っていますね。

赤系統のインクだというのはギリ分かるかなというところですが、ちょっと厳しいですかね。

「夕焼け」は筆記線は確認できますが、インクカラーは維持できなかったという結果になりますね。

色彩雫「花筏」

3か月後の時点でほぼ退色しています。

6か月後になると、もうそこに何か書いていたのかすら痕跡もありません。

「花筏」は完全に退色してしまっていますね。

もう少し前の状態を確認してみましょう。

左が検証1か月後、右が検証2か月後の状態です。

変化がかなり早期からあり、1か月後の時点でかなり退色し、2か月後もさらに退色が進んでいます。

ただ、この辺りまではインクカラーは十分確認できるレベルで残っていますね。

色彩雫「躑躅」

左が検証1か月後、右が2か月後の状態です。

1か月後の時点でかなり退色してきていますが、2か月後ではそこまで退色は進んでいませんね。

さらに3か月後になると、またグッと退色が進んでいます。

まだこの時点ではかろうじてインクカラーは赤系統と確認できますし、筆記線も見えています。

6か月経過すると、インクカラーはほぼ確認できなくなり、筆記線もギリギリ読める程度です。

「躑躅」は6か月後には筆記線が確認できなくなるほど退色したといえます。

色彩雫「秋桜」

3か月後かなり退色は進んでいますが、まだインクカラー、筆記線が確認できます。

6か月後になると、インク瓶部分にわずかに残る程度で文字はすっかり退色しきって確認することができませんね。

色彩雫「冬柿」

3か月後の時点でかなり退色が進んでいますね。

インクが薄かった部分はほぼ消えてしまっています。

6か月後になると、かろうじて筆記線は確認できますが、インクカラーは元の「冬柿」とは全く別物ですね。

かなりきわどいですが、一応筆記線は確認できるとします。

色彩雫「山葡萄」

3か月後、紫の中の青い要素がなくなり、赤系統のインクだったかなというくらい色が変わってしまっています。

6か月後を見てもやはり赤系統のインクであったかのような印象ですね。

筆記線はなんとか確認できる程度は残っていますね。

色彩雫「紫式部」

こちらも「山葡萄」と同じような経過をたどっていますね。

3か月後は青系の色素が薄れ、赤っぽい感じに変わっています。

6か月後になると、筆記線はほぼ確認できませんね。

ほぼ退色してしまったといってもいいと思います。

色彩雫「春暁」

こちらも3か月後にはインクカラーの印象がガラッと変わってしまっていますね。

「春暁」のほのかに赤みを帯びた黒っぽい印象であった色がすっかり消え、茶色っぽい色になってしまっています。

6か月後になると、茶色っぽい印象のまま退色が進んでしまったという感じですね。

6か月後の時点ではかろうじて筆記線は残っていますね。

色彩雫「山栗」

3か月後は、黒っぽさがなくなり淡いこげ茶色のような色に変わってしまっています。

6か月後になると、こげ茶色の印象はそのままに全体的に退色が進んでいます。

筆記線は十分確認できるレベルです。

インクカラーは印象は変わりましたが、黒っぽい印象は残っているので、「山栗」は6か月経過後インクカラーは維持できているとしました。

セーラー万年筆

四季織「金木犀」

3か月後、退色は進んでいますがインクカラーの印象はかなり維持されていると思います。

6か月後、さらに退色は進んでいますが、筆記線は確認でき、インクカラーも維持できているかなと思います。

四季織「桜森」

3か月後の時点でかなり退色が進んでしまっていますね。

インクカラーは退色しつつも赤系統であったことが分かります。

ただ、6か月後になると、じっくり見るとインクで何か書いていたかなという痕跡は感じられますが、筆記線は全く見えません。

四季織「夜焚」

3か月後は元の「夜焚」というインクカラーのイメージとは変わってしまっていますが、まだ赤系統のインクだというのが判別できますね。

6か月後かなり退色が進みましたが、退色の仕方がちょっと火種が残っているかのような変化に見えるのが面白いですね。

筆記線はかろうじて確認できますが、インクカラーは維持できていないですね。

北一硝子「思い出のラベンダー」

3か月後の時点でラベンダーカラーの印象がなくなり、青系統だけが残ったという感じですね。

面白いのは6か月後でも青系統になった状態を比較的維持しているというところです。

この状態のまま維持されていくのか、ここから徐々に退色していくのか、今後の変化が楽しみです。

ゆらめくインク「極夜」

耐光性実験で撮影するたびにこれほどインクカラーが変わるものはなかったかと思います。

黒系統のインクであった「極夜」は、3か月後では緑系統に、さらに6か月後には青系統に変化しています。

もともと「極夜」を構成している染料がかなり複雑なんだろうなと推察できます。

使っていてもいろんな変化を楽しめるインクですが、こうして耐光実験でもいろんな顔を見せてくれるところがとても興味深いですね。

シュナイダー

「ローズ」

3か月後では、インクカラーの印象は維持されていますね。

6か月後にはかなり退色は進みましたが、インクカラーはかろうじて赤系統であったというのが確認できますね。

筆記線もまた確認できるレベルかなと思います。

ラミー

「チャージグリーン」

3か月後、6か月後と徐々に退色してやや濃い部分がなくなり、明るい黄色へと変化していっていますが、インクカラーの印象は変わらず、筆記線もしっかりと確認できますね。

IWI

「春分」

1か月経過で赤系統であったのが、黄系統に変化してしまっています。

2か月後ではそれほど大きな変化はないですね。

3か月経過した時点でかなり退色が進み、6か月後にはほぼ退色してしまい、インクカラー、筆記線はほぼ確認できない状態になってしまいました。

「大寒」

3か月後はまだ紫系のインクだと確認できますが、6か月後にはインクカラーはほぼ飛んでしまって分からなくなってしまっています。

筆記線はかろうじて確認できるかなというレベルですね。

染料インク耐光実験半年後のまとめ【後編】

前編と同じく、以下の3通りに分類してまとめてみました。

  • 多少退色したが色が識別でき、筆記線が確認できるもの
  • 退色して元の色は分からなくなったが、筆記線が確認できるもの
  • ほぼ退色して元の色がわからなくなり、筆記線も分からなくなったもの
退色しなかったパイロット 色彩雫「新緑」
パイロット 色彩雫「燈路」
パイロット 色彩雫「山栗」
セーラー 四季織「金木犀」
ラミー 「チャージグリーン」
退色したが読めるパイロット 色彩雫「竹林」
パイロット 色彩雫「夕焼け」
パイロット 色彩雫「冬柿」
パイロット 色彩雫「山葡萄」
パイロット 色彩雫「春暁」
セーラー 四季織「夜焚」
セーラー 北一硝子「思い出のラベンダー」
セーラー ゆらめくインク「極夜」
シュナイダー 「ローズ」
IWI 「大寒」
退色し読めないパイロット 色彩雫「花筏」
パイロット 色彩雫「躑躅」
パイロット 色彩雫「秋桜」
パイロット 色彩雫「紫式部」
セーラー 四季織「桜森」
IWI 「春分」

今回は【前編】と違い、退色せずに残ったのが21種類中5種類という結果になりました。

ただ、退色はしたものの筆記線が確認できるレベルだったのが10種類と、染料インクを太陽光に6か月当ててみてもこれだけのインクはある程度の耐光性を示すというのも面白い結果だったなと思います。

【前編】と違い【後編】はいろんなカラーの検証となったので、かなり結果に違いはあったかと思います。

特に赤系統の色素は耐光性が低く、筆記線まで見えなくなってしまったものが多かったように思います。

赤系統だけでなく、赤を含む紫系なども先に赤が退色してしまい、青系に変化してしまっていました。

インクの中に含まれる色素によって耐光性が違い、経過と共に色が変化していったんじゃないかと思います。

【前編】【後編】まとめ

退色しなかった19
退色したが読める16
退色し読めない7

2回にわたって染料インクの耐光実験の結果、42種類中退色しなかったのが19種類もありました。

完全に退色してしまったインクは7種類しかなかったです。

この結果を見ると、染料インクは種類にもよりますが、半年程度程度では退色せず、ある程度耐光性があるといってもよさそうですね。

もちろんこの実験は今後も続けていきます。

次は半年後、実験開始から1年後の結果報告を予定しています。

さらに染料、顔料、古典インクの耐光実験の2年後の経過も一緒に報告できればと思いますので、気長にお待ちいただければと思います。

さて、退色しなかった19種類のインクはどのように変化していくんでしょうね。

実験している僕もすごく楽しみです(笑)

あとは検体に不測の事態が起こらないように祈るばかりです(汗)

最後に

今年2月から始めた染料インクの耐光実験。

ベランダに置いていたので、検体を雨風から守らなければならなかったのがちょっと大変でしたが、なんとか皆さんに結果を報告することができて安堵しています。

皆さんの予想はどうでしたか?

最後まで読んでくれてありがとうございました。

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