2025年2月に発売された三菱鉛筆(uni)の水性ボールペンZENTO(ゼント)。
使用されているリフィルは同社が販売しているゲルインクボールペンのユニボールに使われているリフィルと同じ形をしています。
ユニボールに使われているリフィルはJIS規格ではゲル「K」型に分類されます。
この規格は汎用性の高い「C300系」に分類されます。
ZENTOリフィルが「C300系」なら他の「C300系」と呼ばれるリフィルと互換性はあるのかなと思い、今回はZENTO(ゼント)といろんなC300系リフィルとの互換性を検証してみたいと思います。
この記事をおすすめする人
ZENTO(ゼント)との互換リフィルが知りたい
「C300系」とは
語源はOHTO(オート)の「C-300」という水性「A」型のリフィルです。
「C300系」というのは俗称で、この中にはJIS規格で定められた形式記号で水性「A」型、ゲル「J」型、ゲル「K」型、油性「N」型といったいろんな規格が含まれています。
これらは規格としては違いますが高い互換性があり、いろんなボールペンに流用が可能です。
「C300系」リフィルについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ZENTOリフィルは水性インクなので、水性リフィルの規格で見ると水性「D」型に分類されます。
先にも述べましたがZENTOリフィルはゲル「K」型の規格に準じた規格になっており、ユニボールのリフィルと同じく高い互換性があります。
ZENTOリフィルは水性インクの弱点を克服し、耐水性、耐光性に優れ、かつ水性インク特有のサラサラとした書き味をさらに洗練したインクが充填されたリフィルです。
ZENTOリフィル、インクについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったこちらの記事も参考にしてください。
検証する軸とリフィル
検証する軸は「シグニチャーモデル」と「フローモデル」
今回検証に使用する軸はZENTOの「シグニチャーモデル」と「フローモデル」です。
それぞれのモデルについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
検証に用いるリフィル
C300系リフィルの代表4種を選びました。
形式記号 | メーカー | 品番 | 主なボールペン |
水性「A」型 | OHTO | 「C-305」 | CR01など |
ゲル「J」型 | サクラクレパス | 「R-GBN-05」 | ボールサインIDなど |
ゲル「K」型 | ゼブラ | 「JF0.5」 | サラサなど |
油性「N」型 | 三菱鉛筆 | 「SXR-5」 | ジェットストリーム |
C300系リフィルについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
「シグニチャーモデル」との互換検証
水性「A」型:OHTO 「C-305」

C300系の語源ともなったOHTO(オート)の「C-305」です。
軸に入れてみます。

軸に入れてみましたが、ペン先が口金から出てきません。

リフィルのペン先あたりの形状を比較すると、樹脂部分のサイズが「C-305」の方が太くなっていますね。
この樹脂がペン先内部でつっかえてしまい、結果リフィルのペン先が口金部分から出てこなかったようです。
残念ながら「C-305」は互換がありませんでした。
ゲル「J」型:サクラクレパス 「R-GBN-05」

ゲル「J」型(サクラクレパス:「R-GBN-05」)はゲル「K」型より外径が細くなっています。

軸に入れる際はZENTOリフィルより細いのですんなり入りました。

軸内でリフィルが固定されているので、軸を振ってもカタカタはしなかったです。
が、規格の上ではペン先径は同じはずですがわずかにペン先が動きます。
写真では分かりにくいかもしれませんが、口金とリフィルにわずかな隙間がありますね。
筆記は可能ですが、完全に互換があるとはいいがたいフィット感ですね。
ゲル「K」型:ゼブラ 「JF0.5」

ZENTOリフィルはゲル「K」型に準じた規格となっているので、フィット感は問題ないかなと思いますが、同じゲル「K」型に分類されるゼブラの「JF芯」で互換性を検証してみます。

軸内でのリフィルは当然ですが安定しています。

ペン先もしっかり固定されており、カタカタと動くことはなく筆記しやすかったです。
油性「N」型:三菱鉛筆 「SXR-5」

三菱鉛筆(uni)の「SXR-5」は、ジェットストリームのノック式シングルボールペンに採用されているリフィルです。
ぱっと見これも「C300系」か?と思われるかもしれませんが、いろんな「C300系」ボールペンに流用可能なリフィルです。

外径は細いので、軸内に入れるのは問題なかったです。

ですが、軸内で全く固定されず、口金からペン先は出てきますが、筆記しようとすると引っ込んでしまいます。

写真左が「SXR-5」で写真右がZENTOリフィルです。
見た通り外径が細いため、後軸での支持が得られず引っ込んでしまうようですね。
残念ながら互換性はありませんでした。
「フローモデル」との互換検証
水性「A」型:OHTO 「C-305」

「フローモデル」に「C-305」を入れてみます。

軸内に入りましたが、ノックしてもペン先が写真くらいまで出たところで、固定されずに引っ込んでしまいます。

「シグニチャーモデル」と同じくリフィルの形状の違いから、太くなっている樹脂部分が軸内で引っかかってペン先が出てこないようです。
残念ながら「C-305」とは互換性がありませんでした。
ゲル「J」型:サクラクレパス 「R-GBN-05」

次いでゲル「J」型のサクラクレパスの「R-GBN-05」を入れてみます。

軸内でのリフィルはカタカタすることなく安定しています。

ノックも問題なくできました。
ペン先のグラつきはなく、筆記も安定してできました。
「シグニチャーモデル」ではちょっと微妙でしたが、「フローモデル」ではリフィルが安定していたので、十分互換があると言っていいと思います。
ゲル「K」型:ゼブラ 「JF0.5」

ゲル「K」型はZENTOリフィルと同型なので「シグニチャーモデル」同様、問題はないと思いますが、ゼブラの「JF芯」を入れて試してみたいと思います。

外径が同じなので、軸内での安定感は抜群です。

ノックする際の違和感はなく、安定して使用できます。
ペン先も安定しており、十分互換があると言えます。
ゲル「K」型に分類されるリフィルであれば問題なく使用できそうですね。
油性「N」型:三菱鉛筆 「SXR-5」

最後に三菱鉛筆の「SXR-5」を入れてみます。

外径は細いですが、軸内ではカタカタせず安定していました。

ノックも問題なくできました。
ペン先も安定しており、グラグラせず筆記できました。
「フローモデル」には「SXR-5」は互換があると言ってよさそうです。
検証結果
「シグニチャーモデル」 | 「フローモデル」 | |
水性「A」型 | × | × |
ゲル「J」型 | △ | ○ |
ゲル「K」型 | ◎ | ◎ |
油性「N」型 | × | 〇 |
◎完全互換 〇互換がある △使えなくもない ×互換がない
という結果になりました。
どちらのモデルも水性「A」型と互換がなかったのは残念でした。
「シグニチャーモデル」は互換のあるリフィルが少ない
ゲル「K」型であれば特に問題なく使用できるかと思います。
ゲル[J」型も使えなくもないですが、ちょっと不安が残る使用感でした。
高級感がある軸なので、いろんなリフィルを入れて楽しみたかったですが思いのほか他の規格リフィルと互換がなかったのは残念でした。
フローモデルはゲル「J」型、油性「N」型と互換あり
ノック式という構造も功を奏したのか、水性「A」型以外は十分使えるレベルだったと思います。
これまではノック式の高級軸は選択肢が少なかったですが、「フローモデル」の登場で選ぶ楽しさが増えましたね。
最後に
今回の互換性検証は以上になります。
この記事が皆さんのボールペン選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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