今回はペリカンのローラーボール「スーベレーンR405」ブラックストライプを紹介します。
ローラーボールというのは水性インクを使ったボールペンを指します。
書き心地がサラサラと軽やかで、また発色がいいのが特徴です。
ペリカンはドイツの有名老舗筆記具メーカーです。
ペリカンの職人が一本一本手作業で作成した造形は見事ですよ。
それでは詳しく紹介します。
ペリカン「スーベレーンR405」をおすすめする人
ペリカンのローラーボールに興味がある
書き心地のいいローラーボールが使いたい
贈答用に適したボールペンを探している
ペリカンについて
ペリカンというブランドは超有名なのでご存知の方も多いと思います。
ドイツの老舗筆記具ブランドで、創業は1838年。
ペリカンの代表作である「スーベレーン」の名を冠した筆記具は誰もが憧れますよね。
1929年に販売された当初、万年筆の吸入機構の精度が高評価を受けました。
その精度、品質の高さは絶大な信頼を得て、今ではゆるぎない高級筆記具メーカーとしての地位を確立しています。
「スーベレーン」とは「卓越した」「優れた」という意味で、ストライプ柄が特徴です。
今回紹介するローラーボールの他、ボールペン、万年筆、シャープペンなどもあります。
R405の意味
ペリカンの筆記具には「アルファベット」+「数字」が組み合わさった品番がついています。
アルファベットが「M」や「P」なら万年筆、「K」ならボールペンです。
「R」は「Rollerball」の頭文字で「ローラーボール」を指しています。
数字の「4」はサイズを表しており、「4」「6」「8」と数字が大きくなるとサイズも大きくなります。
「4」なのでローラーボールの中では一番小さいものになります。
「4」に続く「05」は装飾の種類を表しています。
「00」であれば「ゴールドトリム」、「05」であれば「シルバートリム」です。
特別生産品や特殊な装飾が施されたモデルでは下2桁の数字が「25」や「40」といったものもあります。
ですので、今回紹介する「R405」は「ローラーボールでサイズは「4」、クリップや天冠などの装飾はシルバートリム」という意味になります。
ペリカンの品番についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
ペリカン「スーベレーンR405」の特徴
シュトレーゼマンと呼ばれるブラックストライブ柄
「スーベレーン」の特徴であるストライプ柄ですが、特にこの白と黒のストライプ柄は「シュトレーゼマン」と呼ばれています。
「シュトレーゼマン」という名の語源は1926年度にノーベル平和賞を受賞したドイツ・ワイマール共和政期の政治家グスタフ・シュトレーゼマン(Gustav Stresemann)(1879-1929)という方の名です。
政治家であるシュトレーゼマンが細いストライプのスーツを好んだことから、ペリカンのストライプ万年筆をシュトレーゼマンと呼ぶようになったそうです。
縞模様は樹脂を貼り合わせた職人の技術
ペリカンのスーベレーンシリーズの特徴であるストライプ柄。
このストライプ柄はセルロイドという2種類の異なる樹脂を交互に貼り合わせて作られています。
ただ貼り付けるだけではなく、薄くスライスされた樹脂をさらに表面がなめらかになるように何度も研磨しているそうです。
セルロイドとは
セルロイドは植物の綿(わた)を加工して作られた人工樹脂です。
植物細胞の主成分であるセルロースが用いられます。
綿(わた)はそのほとんどがセルロースで出来ています。
このセルロースに硝酸などを反応させて作られた化合物をニトロセルロースと呼びます。
このニトロセルロースと樟脳(しょうのう)を合成して生成されたのがセルロイドです。
樟脳(しょうのう)というのは楠(クスノキ)からとれる成分で、防虫剤としてよく知られています。
約200年前に発明されたセルロイドは世界初の人工樹脂と言われており、ビリヤードの球やメガネのフレームなどに使われています。
セルロイドは樹脂の中でも透明度が高いため、奥行きのある美しい色が表現できます。
またしなやかな樹脂で、割れにくい、切削加工しやすい、適度な吸湿性があるので肌にフィットしやすいといった特徴があります。
セルロイドは自然由来の樹脂の為、石油系の樹脂に比べ大量生産には不向きで、どうしても高価になります。
ですが、色合いの深さ、美しさ、手触りの良さから筆記具として重宝される素材です。
改めて、軸を見てみるとその深みのある色合いや重厚感が伝わってきますね。
見た目の美しさ、完成度の高さから、所有欲を満たしてくれますし、自分使いとしてはもちろん贈答用としてもかなり喜ばれるんじゃないかと思います。
万年筆にはセルロイドの他いろんな素材が使われています。
万年筆に使われている素材についてはこちらの記事で紹介しています。
よかったら参考にしてください。
重さは22.14g
重さを測定したところ22.14gでした。
リフィルを除いた状態で測定したところ17.55g。
ボールペンとしては軽量な部類になりますね。
またサイズですが、収納時は126mm、本体のみで114mm、キャップを軸に装着した状態で148mmです。
R405はローラーボールの中では一番小さいサイズになりますが、筆記には十分なサイズです。
取り回しもしやすいですし、若干小ぶりなので手の小さい女性でも扱いやすいかと思います。
天冠にはペリカン親子
ペリカンの象徴であるペリカンの親子が天冠に描かれています。
金属の天冠に浮き出るペリカン親子が実に綺麗ですね。
つい見入ってしまいます。
以前この天冠は樹脂で出来ていましたが、現在はこのようなメタルタイプになっています。
クリップはペリカンがモチーフ
これもペリカンならではのデザインですね。
正面からみた長いくちばしのペリカンがこっちを見ているような感じがします。
ネジ式のキャップ
キャップは万年筆と同じように、ネジを回して着け外しするネジ式になっています。
ネジ式のキャップは気密性が高く、ペン先の乾燥を防いでくれます。
ローラーボールで一番避けたいのはペン先のドライアップです。
ローラーボールのリフィルは水性インクが使用されており、発色はいいですが油性インクやゲルインクに比べ乾燥しやすいという弱点があります。
そのため、ネジ式のキャップでペン先の気密性を高める必要があります。
今でこそ水性ボールペンのペン先は乾燥しにくいリフィルが開発されていますがすべてではありません。
ネジ式のキャップは面倒だなと感じる事もあるかと思いますが、使用しない場面ではしっかりとキャップを閉めるようにしてくださいね。
リフィル(替え芯)は水性「A」型
ペリカンのローラーボールに使用されているリフィルは、JIS規格で水性「A」型に分類されます。
水性「A」型のリフィルはペリカンの水性リフィルの他、OHTOの「C-305」が同じ規格なので流用出来ます。
特にOHTOの水性「A」型リフィル「C-305」は先端のボールがセラミック製で乾燥につよいという特徴があり、ドライアップしにくいです。
うっかりキャップをし忘れても、すぐには乾燥しないといおうメリットがあります。
また、インクカラーも黒の他、青、赤、ブルーブラックから選べるのも魅力です。
OHTOの水性リフィルはサラサラで書きやすいのでおすすめですよ。
「R405」は水性「A」型以外の「C-300系」リフィルと互換性がない
この水性「A」型は俗に「C-300系」と呼ばれる規格です。
サクラクレパスのボールサインID等に使われているゲル「J」型や、ゼブラのサラサに使われているゲル「K」型などが「C-300系」として高い互換性があります。
ただ残念ながら「スーベレーンR405」に関しては、水性「A」型以外のリフィルは適合しません。
それぞれ試してみましたが、ペン先が口金から出てきませんでした。
リフィルの先端を確認すると、「C-305」と他のゲルインクリフィルとでは形が違いますね。
おそらく「R405」の内部構造が「C-305」にピッタリにできており、他のリフィルの先端にある樹脂部分が引っかかって出てこないんじゃないかと思います。
「C-300系」リフィルについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ペリカン「スーベレーンR405」の使い心地
ペンバランスはやや重心が上
キャップを軸につけると、重心は中心よりやや上にきます。
それほどバランスが悪い訳ではなく、比較的軽量なので取り回しはしやすいです。
キャップをつけず本体だけだと114mmとやや小ぶりですが持ちにくい事はなく、キャップをつけている状態よりもペンバランスはいいです。
キャップを軸につけるかは長さや好みもありますが、僕はキャップをなくしたくないので軸につけて使っています。
サラサラの書き心地で発色がいい
水性インクはとにかくサラサラの書き心地がいいですね。
筆圧をかける必要がなく、万年筆を使っているような感覚です。
ローラーボールのサラサラ感を体感すると、水性インク以外のボールペンが重く感じてしまうほどです。
そしてインクフローがかなりいいです。
そのためペン先のボールサイズよりもかなり線が太くなる印象です。
ロディアのメモパッドでも一部裏抜けしてしまうほどフローがいいですね。
普通のノートだとかなり裏抜けしてしまっているので、紙を両面使うのは厳しそうです。
OHTOの「C-305」ブルーブラックを使ってみる
ペリカンのリフィル「338」からOHTOの「C-305」に替えてみました。
フィット感は当然ながらばっちりで、ペン先、軸内共にカタつきなく安定しています。
筆記もペリカンのリフィル同様サラサラの書き心地で気持ちがいいですね。
ペリカンに比べるとインクフローは若干渋い印象ですが、むしろ程よいフローで線がそれほど太くなることもなく、また安定しています。
OHTOのリフィルだと、ペリカンのリフィルよりフローが少な目なので、ロディアのメモパットでは裏抜けはほぼしません。
ペリカンの「338」は1100円ほどしますが、OHTOの「C-305」は税込定価330円とコスパもいいのでおすすめですよ。
リフィルの交換方法
ペン先側ではなく、尾栓側が外れるようになっています。
尾栓を外し、リフィルを取り出します。
新しいリフィルを入れ、尾栓をしっかりと閉めればリフィル交換完了です。
ペリカン「スーベレーンR405」をおすすめする理由
セルロイドを貼り合わせた美しい縞模様の軸が楽しめる
水性インク特有のサラサラとした書き味が堪能できる
本格的な高級ローラーボールで所有欲を満たしてくれる
自分使いだけでなく、贈答用としても最適
という感じかと思います。
軸内部がリフィルに対してかなりタイトに作られているので、いろんな「C-300系」リフィルが使えないのはちょっと残念だったかなと思います。
また30000円以上する高価なものなので、気軽に「ちょっと試しに買ってみようかな」とはならないですよね(汗)
ただ値段に十分見合うクオリティで満足できると思います。
購入しないまでも、筆記具店で見かけたら一度手に取ってみてほしい一本です。
最後に
今回はペリカンのローラーボール「スーベレーンR405」を紹介しました。
僕は購入にかなり勇気がいりましたが、手に取って、使ってみて買ってよかったなと思っています。
一生もののローラーボールなので、ずっと大切にしていきたいです。
この記事がみなさんのローラーボール選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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