今回はツバメノートについてです。
ご存知の方も多いと思いますし、万年筆やインクが好きな人なら一度は使ったことがあると思います。
僕は万年筆を使い始めたころは紙に無知で、100円で買えるノートで満足していました。
所持する万年筆が10本を超えたころ、ふと万年筆にはツバメノートがいいという情報を目にしました。
100円のノートで満足していた僕には高価に感じましたが、一度は試してみたいと思いA4のツバメノートを一冊買ってみました。
買ってはみたものの、最初はもったいなくてしばらく飾っていました(笑)
初めて使ってみた時、その書き味が良かったり、裏うつりしにくかったりと紙の質の高さに驚きました。
またきちんと糸で縫製されたノートのクオリティの高さにも感動を覚えました。
そんな人に感動を与えてくれるツバメノートについて簡単に紹介します。
この記事をおすすめする人
ツバメノート株式会社について知りたい
フールス紙について知りたい
ツバメノートが作るノートについて知りたい
ツバメノート株式会社について
ツバメノートは創業が昭和22年です。
令和5年現在で76年もの歴史をもつ老舗のノート一筋の会社です。
筆記用に徹底してこだわって作られた紙は日本だけでなく世界中で愛されています。
かの黒澤明監督も愛用していたようです。
大学ノートが2012年にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞。
創業当初からノートのデザインが変わっていないそうです。
76年も同じものを作り続ける、そしてずっと愛され続けるものを作っているというのがすごいですよね。
同じ名前でマイナーチェンジを繰り返しながら作り続けられている製品はあるかと思いますが、76年もの間、同じ会社で、同じデザインのものを作り、しかも売れ続けている商品は他にはパッと思い浮かびません。
フールス紙について
ツバメノートの特徴はなんといっても紙の質です。
フールス紙という紙でできています。
フールス紙と聞いてもあまりなじみがないかもしれませんね。
フールス紙とは
フールス紙は明治時代にイギリスから日本に初めて輸入されました。
フールス紙は筆記用に作られた高品質な紙の名前です。
紙を製造する工程が上質紙と呼ばれる品質の高い紙よりもさらにひと工程多く漉(す)いて作られています。
紙を透かすと、「すのめ模様」と呼ばれる模様がみえるのが特徴です。
フールス紙という名前の由来
輸入された当時の紙には「道化師」の透かしが入っていました。
この道化師がかぶっていた帽子を「フールスキャップ」と呼ぶようで、これが名前の由来となったようです。
フールス紙の特徴は、滑らかでインクの吸収がよく、さらにインクが裏抜けしにくい筆記に最適の紙として重宝されました。
ツバメフールス紙
フールス紙は筆記用として最適な紙ですが、ツバメノートはさらにフールス紙を特漉きして、より筆記特性に優れたツバメフールス紙を作り上げました。
フールス紙よりさらに万年筆での滑らかな書き味を実現しています。
ツバメフールス紙は長期保存に向いている
紙は経年により劣化します。
劣化する要因としては以下のことが挙げられます。
- 紙の中に含まれる酸が酸化してしまう
- 太陽や蛍光灯などからの紫外線によって変色しもろくなる
- 高温多湿な環境下では紙にカビが発生する
- チリやホコリで紙が汚れたり、カビや虫が発生する
紙が酸性だと酸化しやすくなります。
酸化することで紙が黄ばむなど変色したりもろくなったりと劣化してしまいます。
現在製造されているツバメノートの紙は中性紙で、塩素での漂白や蛍光染料などは使用されていません。
中性紙は酸化しにくいという特徴があるので、酸化による紙の劣化が起こりにくいということになりますね。
ただし、保存方法を間違えると紙は劣化してしまうので注意が必要です。
紙が劣化する要因として挙げた通り、長期に保存する場合は紫外線や高温多湿な環境を避け、ホコリが積もらないように扉のある本棚などに収納するのがいいようです。
正しく保存すれば何年でも保存でき、ずっと使い続けられます。
罫線へのこだわり
ノートの罫線は一般的にはオフセット印刷と呼ばれる手法が主流だそうです。
オフセット印刷というは、「版」を必要とする印刷手法。
オフセット印刷にもいろんな手法があるようですが、凸凹がない平らな板を使う平板印刷をオフセット印刷と呼ぶのが一般的なようです。
オフセット印刷は油性インクが用いられています。
新聞紙、書籍などの出版物、チラシやカレンダーといった印刷物に用いられています。
オフセット印刷のメリットは、一度「版」ができればすばやく大部数の印刷ができるので、大量印刷に向いているということです。
ツバメノートはこのオフセット印刷ではなく、罫引き機という機械を使って罫線を引いています。
この機械は日本では数台しか残っていないそうです。
罫引き機で引かれた罫線は、オフセット印刷の罫線と違い、紙の端まできっちりと線が引かれています。
またインクの濃淡が出て味わい深い仕上がりになっています。
さらに、使用されているインクは水性なんだそうです。
油性インクで印刷すると、わずかにインクが盛り上がってしまい書き心地を損ねてしまいます。
また油性インクなので、万年筆のインクをはじいてしまいます。
罫線が水性インクであれば、紙に印刷の凹凸がなく、また万年筆のインクをはじくこともありません。
知れば知るほど書き手に寄り添って作られているんだと感動します。
外部リンクになりますが、こちらの記事でツバメノートの罫線の印刷について写真付きで丁寧に紹介されています。
こちらの記事もご一読ください。
ノートの綴じ方にもこだわり
ツバメノートは糸綴じという方法で綴じられています。
糸綴じは折り込んだ用紙を重ね、糸と接着剤で綴じる方法です。
糸綴じにすると300~1,500ページ前後とかなりの枚数を綴じられるというメリットがあります。
なので主に辞書などの分厚い書籍の製本に使われています。
さらに接着剤で背がすべて固定されていないため、ページ数が多くても全体が開きやすく、綴じている部分が折れにくいです。
もうひとつ、糸と接着剤の2つで固定するため、耐久性に優れており長持ちするというメリットもあります。
頑丈で、開きやすい使い勝手がいい糸綴じですが、デメリットとしてはやはり手間とコストがかかるという点です。
綴じ方ひとつ見ても、それだけ手間とコストをかけてでも良質のノートを提供しようとするツバメノートの姿勢がすばらしですよね。
僕が持っているツバメノートを紹介
書き味がよく、保存にも適しているツバメノート。
さすが、ノートを専門に製造しているだけあっていろんな種類のノートがあります。
ここで僕が持っているツバメノートを紹介します。
大学ノート
ツバメノートといえばまずこの大学ノートですね。
僕が持っている大学ノートの一冊は「中細30S」。
「セミB5」サイズで罫線が「A罫」、ページ数が「30枚60ページ」というタイプです。
もう一冊は「H30S」。
「A5」サイズで罫線が「A罫」、ページ数が「30枚60ページ」というタイプです。
そのまま横書きで使うほか、ノートを横にして縦書きにしてペン習字の練習に使っています。
「B罫」に比べ「A罫」の方が罫線の幅がゆったりしているので、太字の万年筆でも字がつぶれずに書けるので気に入っています。
文字が滲まず裏抜けもしないので、紙を裏表使えるのもいいですね。
大学ノートの特徴
大学ノートはグレーの表紙で、表紙には「NOTE BOOK」と書かれているのが特徴です。
ツバメノートと言えばこの表紙が一番に思い浮かんできますよね。
大学ノートのサイズは2種類
大学ノートと呼ばれるノートはサイズが2種類。
「A5」サイズと「セミB5」サイズがあります。
この「セミB5」サイズですが、「B5」サイズより縦が5mm、横が3mm小さくなっています。
ページ数の種類が豊富
ページ数の種類が豊富です。
一番少ないもので30枚60ページ、一番多いのでは100枚200ページまであります。
30枚、40枚、50枚、60枚、80枚、100枚と全部で6種類もありますよ。
罫線はA罫、B罫の2種類
大学ノートの罫線はA罫、B罫の2種類があります。
A罫、B罫について
A罫、B罫というのは罫線と罫線との間の幅の違いです。
A罫(エーケイと読みます)は7mm幅。
B罫(ビーケイと読みます)は6mm幅。
その他あまり見かけませんが、C罫(5mm幅)、U罫(9mm幅)といった規格もあるようです。
クリームノート
クリームノートは、その名の通りクリームフールス紙を使ったノートです。
クリームノートの罫線は「横罫」「方眼」「無地」の3種類があります。
僕が持っているのは「B5コンフォート」と「A5セクション」です。
クリーム色のフールス紙
大学ノートとの大きな違いは、フールス紙の色ですね。
大学ノートは自然な白いフールス紙ですが、クリームノートはその名の通り、少し黄色みがかったクリーム色の紙です。
クリーム色はリラックスできて目に優しい
蛍光灯などの光の下でノートを使うと思います。
白はインクの発色がよく綺麗に見えますが、どうしても目が疲れてしまいます。
その点、クリームノートは柔らかなクリーム色で目に優しいという特性があります。
蛍光灯は色を綺麗に見せたいときや集中して仕事をしたい場所ではすこし青みを感じられる白色の光を放つ「昼光色」にしたり、リラックスしたい寝室や和室などでは淡い暖かみのある光を放つ「電球色」を選びますよね。
勉強に集中したいので白色のフールス紙でできた大学ノートがぴったりですが、リラックスした状態で書きものを楽しんだり新しいアイデアを生み出したりするにはにクリームノートが向いていると思います。
B5コンフォート
横に罫線が引かれているのが「コンフォート」です。
赤い表紙で、表紙に「COMFORT」と書かれているのが特徴です。
罫線は「A罫」ですが、「B5」と「A5」とで罫線の幅が違い、「B5」は8mm、「A5」は7mmです。
ペリカンのM600、BBニブで書いています。
サラサラ書けるし、にじみにくいし、クリーム色のノートは目が疲れにくいしでいいですね。
A5セクション
セクションは表紙が青く、表紙に「SECTION」の文字が書かれています。
「SECTION」は仕切りとは区切りといった意味がありますね。
方眼という意味の「GRID」ではなく「SECTION」と名付けているところがいいですね。
また、横罫のノートは表紙が赤く「COMFORT」と書かれ、無地のノートは表紙が黄色で「PLAIN」と書かれています。
僕に使用方法としてはカリグラフィーの練習に使っています。
方眼用紙は5mm幅で縦横に線が入っているので、文字のサイズを確認しやすいです。
書く文によって、縦で使ったり、横にして使ったりといろいろです。
プレーン
僕は持っていませんが、罫線の入っていない、無地のクリームノートが「プレーン」です。
表紙が黄色で、表紙に「PLAIN」と書かれています。
無地なので、いろんな用途に使えます。
万年筆で絵を描いたりするのも楽しいと思います。
立罫ノート
立罫は「たてけい」と読みます。
僕が持っているのはセミB5の「立太罫」という種類です。
主に写経とか、芳名録などに使われているようです。
立罫ノートはサイズがA6、A5、B5の3種類。
表紙の色はサイズや罫線の幅によって違います。
表紙にはノートの中身と同じ罫線が書かれています。
また罫線の幅が立罫(Aが9mm、Bが8mm)、立太罫(12mm)、立極太罫(18mm)の3種類があります。
立極太罫であれば、ペン先が極太の万年筆でもゆったりと書くことができます。
ノートを横にしてカリグラフィーペンで文字を書くのもよさそうですね。
インクコレクションカード
これは以前紹介したフールス紙で作られたインクコレクションカードです。
いろんなインクをのせて楽しめます。
インクコレクションカードについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
その他のツバメノート
僕が持っているツバメノートの他にもいろんなノートがあるので、一部紹介します。
スプリングノート
スプリングノートは糸綴じではなく、リングノートになっています。
リングノートはページを折り返せるので、机の上をコンパクトに使用することができます。
スプリングノートには罫線が「横罫」「方眼」「無地」の3種類があります。
スプリングノートもクリームノートのように、罫線の種類で背の部分の色が違います。
「横罫」が赤、「方眼」が青、「無地」が黄色になっています。
特厚ノート
大学ノートは最大で100枚、200ページでしたが、特厚ノートは200枚、400ページもある大迫力のノートです。
このノートは厚さが21mm、重さがなんと790g!
これだけページが多いと閉じて次に開くときに迷子にならないようしおり紐がついています。
一冊のノートでこれだけページ数が多いのはかなり珍しいんじゃないかと思います。
ツバメモ
「A5」「スクエア」「ポケット」とサイズは3種類です。
罫線は「方眼」と「無地」の2種類。
表紙にツバメノートのロゴと「MEMO」の文字でシンプルなデザインです。
ツバメモは糸綴じではなく、天糊製本(綴じる部分を糊(のり)でくっつけている製本の方法)となっています。
メモらしく、一枚づつぺりっと剥がせるようになっています。
メモ帳であれば常にツバメノートを持ち歩けますね。
ツバメモでメモを渡されたら、他愛のない内容でも捨てにくいです(笑)
その他いろいろ
その他、サンリオやディズニー、スヌーピーとのコラボ商品などもあります。
見ているだけでも楽しくなりますね。
システム手帳のリフィルもすごく気になります。
まだまだ紹介したいものがありますが、その他の商品についてはツバメノートのホームページをご参照ください。
Thinking Power Notebook ツバメノート謹製ノート
「ツバメノート株式会社」と「Thinking Power Project」の共同プロジェクトで商品化したのが「Thinking Power Notebook」です。
表紙はイラストレーターYOUCHANさんが手掛けており、またツバメノートにないサイズが豊富にあります。
僕は以前Bセットという5種類のノートが入ったセットを購入しました。
現在はCセットという4種類のノートが入ったセットが販売されています。
キーボードの横に置いて、アイデアや忘れそうなことをメモしたり、オリジナルのインクコレクションカードにしたりといろんな用途に使えますよ。
Thinking Power Notebook ツバメノート謹製ノートについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ツバメノートA4マルチケース
宝島社が販売しているツバメノートをモチーフにしたマルチケースです。
こうした企画商品があるのは、それだけツバメノートが愛されているからかと思います。
ツバメノートA4マルチケースについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
最後に
今回はツバメノートについて紹介しました。
昭和22年から培われてきた技術で作られた高品質なノートなので、今まで使ったことがないという人はぜひ一度つかってみてください。
この記事がノート選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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