コクヨのWPシリーズは高級筆記具モデルとして2023年に登場しました。
「書く」体験を豊かにすることをコンセプトに「ローラーボール」と「ファインライター」の2種類がラインナップしています。
今回紹介するのは「ローラーボール」です。
コクヨとOHTOとのコラボで開発されたWPローラーボールは、水性顔料インクを使用したさらさらとした書き味、しっかりと作り込まれた高級感のあるデザインが特徴です。
それでは詳しく紹介します。
KOKUYO(コクヨ)WPローラーボールをおすすめする人
水性インクのボールペンを探している
高級感のあるボールペンが欲しい
さらさらとした書き味のボールペンが使いたい
KOKUYO(コクヨ)WPローラーボールの特徴
WPシリーズは「Makuake」クラウドファンディングからスタート

コクヨのWPシリーズは2023年の「Makuake」で公開されました。
達成率が5400%を超えており、その期待度の高さがうかがえますね。
OHTOとのコラボ開発

商品パッケージに「Developed in collaboration with OHTO」と書いてあり、WPシリーズの開発でOHTOとコラボしていることが明示されていますね。
OHTOは大正8年に創業、茨城県結城市に本社を置く日本の老舗筆記具メーカーです。
日本製にこだわり、開発、製造から組み立てまですべて自社工場で行っているんです。
僕はこれまでいくつもOHTO製ローラーボールをレビューしてきましたが、潤沢なインクフローでサラサラとした書き味は書いていてとても気持ちがいいですよ。
ここで改めてOHTOのリフィルについて詳しく紹介します。
OHTO製の水性リフィル「C-305」の特徴

OHTOはC300系リフィルの語源ともなった水性「A」型リフィルを開発した日本の老舗筆記具メーカーです。
水性「A」型はペリカンのローラーボールにも採用されている規格です。
「C-305」は水性顔料インクで耐水性、耐光性に優れており、またサラサラとした摩擦を感じない気持ちのいい書き味が特徴です。
また先端のボールにはセラミックが使われており、インクののりが良く、また金属のボールと違い錆びないので、ずっと滑らかな書き心地を維持できるというメリットがあります。

またOHTOの「C-305」はノンドライリフィル機構というものが備わっています。
水性インクのリフィルはペン先が乾いてしまう「ドライアップ」という状態になりやすいという欠点があります。
ローラーボールにノック式よりもキャップ式が多いのはペン先の乾燥を防ぐ目的があるからですね。
ですが、OHTOのリフィルはペン先が乾きにくい構造になっているので、ローラーボールのキャップを閉め忘れていてもすぐドライアップしてしまうという事がありません。
使いたいときにすぐ使えるというのもOHTOの水性リフィルを使うメリットですね。
WPローラーボールのコンセプトがOHTOのリフィルとマッチした

コクヨの「WPローラーボール」は、単なる筆記具ではなく、「書く」という行為を特別な体験に昇華するためのプロダクトとして設計された、こだわりの詰まった一本です。
この「WPローラーボール」の「書く」にこだわったコンセプトが、完成度の高いOHTO製水性リフィル技術がマッチし、より完成度の高い「WPローラーボール」が生まれたんですね。
細部まで作り込まれたWPローラーボールをじっくり見ていきたいと思います。
シンプルで飽きがこないデザイン

円柱状で中央が一番太く、両端に向かって徐々に細くなっていくデザインです。
本体はアルミニウムです。


無垢材から削り出されており、両端を見ると角がしっかりと立っていますね。
アルミニウム表面はアルマイト加工によって耐食性、耐摩耗性を向上。
さらにブラスト加工によって表面をマットな質感に仕上げられ、高級感を演出しています。
口金部分もアルミ削り出し


口金部分もアルミを削り出してつくられています。
クロムメッキ処理が施されており、銀色に輝いていて美しいですね。
平面が3面ある三角錐の形になっています。
グリップ部分はアクリル製

グリップ部分はアクリルが使用されています。
透明なグリップは装填しているリフィルが見えてかっこいいですね。
また口金の三角錐の平面部分がグリップまで同じように平面になっています。
使い手の手の大きさやペンの握り方などにも柔軟に対応できるようにデザインされているそうです。
軸の重さはリフィル込みで25.00g

重さを図ったところリフィルを含め25.00gでした。
素材がアルミニウムとアクリルなので、金属軸のローラーボールとしては軽量な部類に入るかと思います。
軽量な分取り回しがしやすいですし、長時間の使用でも疲れにくいのでいいですね。
キャップは嵌合式

キャップはパチンと閉める嵌合式になっています。
きっちりとした作りでそこそこ力を入れないと開閉できませんが、グッと力を入れれば片手で開けることもできます。

また、キャップ内にインナーキャップが見えますね。

万年筆のキャップではよく見る構造ですが、インナーキャップがあることでペン先の気密性が確保される構造になっているんですね。
インナーキャップによって気密性が確保されることによってペン先が乾燥しにくくなっています。
OHTO製の水性リフィルはペン先が乾きにくい構造になっていますが、さらに乾燥しにくいようになっているんですね。
しばらく使わない場合でも、使いたいときにすぐ使えるのはいいですね。
キャップは結構大きい

軸に対してキャップがかなり大きいです。
存在感がすごいですよね。
長さを測ったところキャップの長さが66.59mmでした。


またキャップを閉めた状態での長さが138.38mm、軸の黒い金属部分の長さが71.33mm。


キャップを閉めた状態でクリップが見えない角度から見ると、ぱっと見では左右どちらがキャップでどちらが本体か分からなくなりますね。
このシンメトリックなつくりがシンプルながら実に個性的なデザインになっています。
バインダー式クリップ

クリップはバインダータイプですね。
クリップはストレートでシンプルなデザインで、つくりは堅牢。
中にバネが仕込まれており、しっかり挟めますね。
クリップだけ見るととてもシンプルですが、面白いのはその大きさ。

クリップの長さは61.49mmでした。
数字だけ見てもピンとこないかもしれませんが、他のボールペンのクリップと並べてみます。


比較につかったのはOHTOの「CR01」ですが、並べてみると一目瞭然ですね。
OHTOの「CR01」のクリップは40.69mmと20mm以上の差がありました。
キャップそのものが大きいので、これくらい迫力のあるクリップサイズの方がキャップとのバランスはいいですね。
全体でみるとこの大きなクリップは思い切ったデザインにしたなという感じがします。
クロムメッキ仕上げで見た目が美しいですし、けっこうインパクトがありますね。
リフィルカラーは3種類

購入時に装填されているリフィルのインクカラーはブルーブラックです。
その他、ブラック、ダークグリーンと全部で3種類。
ボールサイズは0.5mmのみとなっています。
品番はブルーブラックが「WP-R200DB」、ダークグリーンが「WP-R200DG」、ブラックが「WP-R200D」です。
価格はそれぞれ1本550円(税別)です。
リフィルの規格は水性「A」型

先でも触れましたが、WPローラーボールに採用されているリフィルの規格は水性「A」型です。
水性「A」型は俗に「C300系」と呼ばれる互換性の高い規格のひとつで、OHTOの水性リフィル「C-300」が語源です。
「C300系」リフィルには水性「A」型の他、ゲル「J」型、ゲル「K」型、油性「H」型の一部などが含まれています。
「C300系」リフィルについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
OHTOの「C-305」と同規格で互換性あり

同じ水性「A」型であるOHTOの「C-305」と当然ながら互換性があります。
OHTOの水性リフィルは種類が豊富です。
C-305はインクカラーがブラック、ブルー、レッドの3種類。
期間限定でブルーブラックもありましたが、生産は終了しています。
ボールサイズも豊富です。
3種類のインクカラーが選べるのは0.5mmだけですが、ブラックであれば0.5mmの他、0.4mm、0.7mm、1.0mmとボールサイズが4種類から選べます。
種類が豊富なのと、もうひとつ嬉しいのは、OHTOの水性リフィルは価格が300円(税別)と安価で購入できるところです。
ちなみにペリカンの水性リフィルも水性「A」型なので互換性ありです。
ただこちらは逆に高価なのであまりおすすめは出来ませんが…
いろんな「C300系」リフィルとWPローラーボールとの互換性

WPローラーボールに使われている水性「A」型だけでも結構な選択肢がありますが、さらに「C300系」リフィルで選択肢が増えます。
ゲル「J」型、ゲル「K」型、油性「H」型の一部で互換性を検証しました。
結果はゲル「J」型、ゲル「K」型については互換性がある事が確認できました。
ゲル「J」型にはサクラクレパスのサインボールIDに使われている「R-GBN」というリフィル、ゲル「K」型にはゼブラのサラサ等に使われている「JF芯」と呼ばれるリフィルやぺんてるのエナージェル等に使われている「XLRN」などがあります。
インクカラー、ボールサイズ等、相当数のリフィルが使えてしまいます。
きっと好みのリフィルが見つかると思います。
また、ゲルインクのリフィルは水性リフィルより安価で購入できます。
ランニングコストも抑えられるのでおすすめですよ。
互換性の検証についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
WPローラーボール以外の軸も検証していますので、よかったら参考にしてください。
KOKUYO(コクヨ)WPローラーボールの使い心地
重心はほぼ中央でバランスはいい

キャップを外した状態で重心はほぼ中央にありますね。
キャップを軸につける事もできます。
キャップをつけるとかなり長くなりますが、この状態で重心はちょうど中央にあります。
重心位置まですごく計算されて作っているんですよね。
キャップを外したままでも、キャップを付けた状態でもバランスがいいので使いやすいですよ。
ペンを立てても寝かせても書きやすい


一般的なボールペンと違い、OHTO製のリフィルはある程度角度をつけても筆記が可能です。

上が60度、下が45度寝かせて筆記した状態です。
線の太さは変わりますが45度くらいまで寝かせても筆記できますね。
ボールペンのように立てて使えるのはもちろん、万年筆のように寝かせて使う場合でも問題はないと思います。
サラサラとしたインクでなめらかに筆記できる

このサラサラ感は水性インクならではの書き味かと思います。
インクフローがかなりいいですね。
まさに摩擦を感じさせない軽い筆記感が楽しいです。
万年筆を使っているかのような使い心地でありながら、万年筆よりも手軽に使えるところがいいですね。
初期に充填されているブルーブラックがいい感じ

このブルーブラックインクの色合いがいいですね。
結構濃い色ながら、しっかりと濃淡が出るので書いていて楽しいですね。
僕はブルーブラックが大好きで、この深みのある色が気に入っています。
OHTOのブルーブラックは期間限定で販売されていましたが、現在は製造終了しています。
もう手に入らないからとまとめ買いしましたが、コクヨでC-305と同規格のリフィルでブルーブラックが手に入るようになったので僕はラッキーでした(笑)
ただ、OHTOより高価なので購入には少し悩むかもしれませんが…
ダークグリーンもいい具合の渋い色

OHTOの水性リフィルのラインナップには無かったダークグリーンがすごく気になったので、一緒に購入しました。

色味の違いはこんな感じです。
ブルーブラックの雰囲気が好きですが、ダークグリーンもいい感じに渋い色でいいですね。

明るさを抑え、名前の通りダークな感じがいい味を出しています。
こちらもブルーブラック同様に濃淡が出るので書いていて楽しいです。
裏抜けには注意
水性インクなので、使用する紙には注意が必要です。
インクフローがいいので、ササっと書いても裏抜けしてしまいます。
裏抜けするのを前提で使うか、または裏抜けしにくい紙やノートを選ぶようにした方がいいかと思います。
どの程度裏抜けするのか以下の紙で試してみました。
ツバメノート


さすがツバメノートのツバメフールス紙ですね。
書いてある文字はさすがに見えますが、裏抜けしていないです。
ブロックロディア


ブロックロディアもかなり厚手の紙を使用しています。
こちらも裏抜けしていないですね。
キャンパスノート


裏抜けするかなと思いましたが、ササっと書いたのもあり裏抜けしなかったですね。
これくらいなら裏表を使用しても大丈夫そうです。
図案スケッチブック


画用紙系だと見事に裏抜けしませんね。
この小さいスケッチブックはダイソーで見つけたものですが、重宝してます。

純正以外のリフィルを使うとグリップ部の見た目がちょっと残念になる

コクヨの純正リフィルはこのグリップ部分から見える部分まで計算してデザインされています。
ドット柄がかっこいいですよね。
WPローラーボールは先でも述べたように水性「A」型はもちろん、ゲル「J」型、ゲル「K」型も使用可能です。
ただ、このグリップ部分から除くリフィルが純正リフィルと比べると見た目がちょっと残念になってしまいます。


OHTOのリフィル、ゲルインクリフィルを使った場合、グリップ部分は写真のようになってしまうので、ご承知の上でいろんなリフィルを入れて楽しんでくださいね。
あと、純正リフィルは金属製で、ゲルインクリフィルは樹脂製です。
重さを比較すると純正リフィルは4.62g、ゲルインクリフィル(ユニボールのリフィル)は2.42g。
2gとわずかな差ですので、筆記する分にはそれほど気にはならないと思いますが、ペンをグリップしたときにちょっと軽くなったなと感じるかと思います。
KOKUYO(コクヨ)WPローラーボールをおすすめする理由
こだわりぬかれたデザインで個性が引き立つ
マットな質感で高級感がある
サラサラとした摩擦レスな気持ちいい書き味が楽しめる
C300系リフィルが使えるのでリフィルの選択肢が多い
という感じかと思います。
さすが「Makuake」で達成率5400%以上とその人気ぶりも納得の一本です。
定価は4400円(税別)と高級ローラーボールとしては比較的手を出しやすい価格帯なのもいいですね。
最後に

今回はKOKUYO(コクヨ)WPローラーボールを紹介しました。
この記事が皆さんのローラーボール選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。






コメント
しのわんさま、こんにちは!
いつも楽しく記事を拝見しております。
コクヨのWPローラーボールも本当に良いペンですね!
しのわんさまの検証のとおり、セーラー万年筆のTUZUと同じように、
多くのC300系芯と互換があるので、ローラーボール好きとしては
とても重宝する一本です。
私はブラックを購入しましたが、いつもの有隣堂のペン売り場のベテラン
店員さんからは、しきりにグリーンも勧められております…
確かに良いペンですが、2本はいらないかなあと…
また、さすがOHTOとのコラボである水性芯もいいですよね~
私はブルーブラックの水性芯をペリカンR800に挿入して使っています。
これがR800ペン軸とも相性が良くて、とても良い書き味を提供してくれ
ています。
これだから、ついつい他社のペン軸と芯との組合せを色々と模索してしまう
んですよね~
と、ボールペン道楽の独り言でした…
ckmさんこんにちは!
いつもありがとうございます。
ペリカンのR800とはまたいい軸をお持ちですね!
OHTOの水性リフィルの書き味や発色は僕もすごく気に入って使っています。
いろんな軸といろんなリフィルの組み合わせを模索するのは本当に楽しいですよね!
しのわん さま
ご返信ありがとうございます。
R800は持っているボールペンの中でも一番のお気に入りです。
中古品ではありますが、製品の状態が良くてとても満足する一本です。
本当はアウロラのローラーボールで、オプティマ・アランチョのオレンジが
欲しいのですが、アウロラジャパンに問合せしたところ、日本国内では取り
扱っていないとの事でした…
並行輸入代行業者にお願いするか、いずれイタリアに行く機会でもあったら
購入してみたいと夢見ております…
ところで…、しのわんさまは、文具オフ会等を主催されたりされますか?
もし、可能であれば、しのわんさまと直接お話しが出来る機会があればと
願っております。私は手帳とボールペンだけで、他の文房具についてはあまり
知識はありませんが、しのわんさまとボールペン談議が出来たら大変嬉しく
思います…
ckmさんこんにちは。
アウロラのオプティマ・アランチョのローラーボールでオレンジとはまた美しい軸を狙っているんですね!
高級過ぎて検索した事もなかったですが、日本では手に入らないんですねぇ。
ckmさんには良い刺激をいつもいただいていてます。
特に物欲に(笑)
オフ会の件ですが、大変申し訳ありませんが今のところ考えておりません。
このブログは詳細は秘密にしておりますが、とある地方から発信しておりまして、東京までかなり距離があります。
また僕はしがないサラリーマンでして、ブラック企業というわけではないですが、年末年始、土日祝日とは縁遠い職種でまとまった自由な時間が確保しづらいというのも理由のひとつです。
もちろん種々の案件が解決できそうであればオフ会も考えたいと思っております。ckmさんとの文具談義は楽しそうだなと僕も思っております。
またその機会があればぜひよろしくお願いします。
しのわんさま
ご返信ありがとうございます。
ホント、アウロラ・オプティマのアランチョのオレンジは軸が美しすぎて…
本当に欲しいと思わせる一本なんです。
お互いに文房具の物欲は抑えられませんね…
また、オフ会の件につきましては丁寧なご回答頂きまして、ありがとうございます。
しのわんさまの手帳&文房具マニアを刺激する、するどい視点の記事を拝見する
たびに、ぜひ一度お話しできたらと思って、つい書き込んでしまいました。
しのわんさまのご事情も知らずに、自分の一方的な願望だけを書き込んでしまい
ました事、どうかお許しくださいm(__)m
近い将来にお話し出来る機会が出来る事を心から楽しみにしております。
ちなみに、私は15年程前に手帖仲間と一緒に「日本手帖の会」というの立ち上げ
まして、手帖オフ会や手帖イベント(手帳総選挙等)を主催してきました。
現在は将来的な手帳協会を設立したいと思って、手帳メーカーさんを集めて定期的
に意見交換会を開催しており、日本手帖の会の方は仲間に代表を譲り、私はたまに
手伝いに行く程度となっておりますが、今週末も名古屋の「紙の温度」店舗内で
行う手帳総選挙の応援で、名古屋に向かいます。
日本手帖の会では、ステーショナリーディレクターの土橋正氏を招いて文房具オフ
会等も開催しておりますので、いつかしのわんさまをゲストにお招きして、文房具
オフ会が開けたらとも願っております。
今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m
ckmさんこんにちは。
こちらこそご丁寧なお返事をありがとうございます。
ご希望に添えず申し訳ありませんが、またその機会がありましたらよろしくお願いします。
「日本手帖の会」のホームページを拝見させていただきました。
精力的に活動されており、ただただ感服いたしました。
陰ながら応援させていただくとともに、色々と勉強させていただきます。
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。