万年筆は正しく使わないとインクがかすれてしまったり、ペン先を傷める原因になります。
いろんな本やサイトで万年筆の持ち方、筆記角度について解説されていていますが、実は万年筆を使う上で押さえておくポイントはわずか2点だけです。
それでは詳しく紹介します。
この記事をおすすめする人
本に載っているようなきれいな持ち方ができない
万年筆を使っていてインクがかすれる
万年筆の正しい筆記角度が知りたい
持ち方で大切なのはリラックス
万年筆は毛細管現象を利用した筆記具で、筆圧をかけることなく筆記できます。
そのため、万年筆を使う上で大切なのはリラックス。
リラックスしていないとペンにも、使っている人にも悪い影響を及ぼしますよ。
筆圧が強いとペン先を傷める
ボールペンに慣れていると、万年筆でも同じようにペン先に力を入れてしまいがちですよね。
ペン先に強い力が入ると、ペン先が傷んだりペン芯が折れたりしてしまう事があります。
肩こりや疲労の原因になる
ペン先にも力が入りすぎてしまうのに、ペンをギュッと強く持ってしまっている場合があります。
肩、腕、手、指のどこかに力を入れていてもペン先にまで力は伝わってしまいます。
力が入りすぎていると、筆記をしていて肩が凝ったり手が痛くなったりしてしまいます。
長時間の筆記によってかなり疲労もします。
ペンを握っていると爪が白くなる、ノートの次のページに筆記線が出ているなどがあればかなり力が入っている証拠。
強く握ってしまう原因には姿勢やメンタルなども考えられますが、自覚がない場合もあります。
まずはゆっくりと深呼吸をして、手や肩の力を抜きましょう。
好きな音楽を聴いたりして心身共にリラックスするのもいいと思います。
体全体をリラックスして、ふわっと万年筆をつまむように持ってみてください。
リラックスできれば長時間の筆記もできるようになりますし、肩こりが解消される場合もありますよ。
万年筆の握り方は自由
リラックスして持つコツ、正しいペンの持ち方というのはいろいろ紹介されています。
もちろんそれらは正しい知識です。
でも、これまで自分流の持ち方だったのに、急に持ち方を変えてくださいってのはちょっと無理があるかなって思います。
これまでのペンの持ち方を変える必要はなく、今の持ち方で上手くリラックスできるように工夫してみてください。
字や絵が上手くなりたい場合は正しい知識、方法を身に付けたほうがいい場合が多いです。
でも僕は難しいことなんか考えずに楽しんで万年筆を使ってほしいので、リラックスすることが一番大切だと思っています。
大切なのは切り割と紙との角度
ペン先の構造を理解した使い方
毛細管現象と気液交換作用によってペン先から紙にインクが写っていくようにできている万年筆。
ペン先には丸くポツンとある部分がペンポイントと呼ばれ、直接紙に触れる部分です。
その上にペン先からハート穴に伸びた線が見えますね。
この線に見える部分を切り割といいます。
ペン芯から流れてきたインクが切り割に沿ってペン先にまでインクが到達します。
切り割と紙との角度は左右5~10度程度まで
重要なのは切り割と紙との角度です。
ペン先を正面から見て、切り割と紙とが垂直になっているのが一番筆記しやすい正しい角度です。
ただこれも絶対垂直でなければ書けない訳ではありません。
左右それぞれ5~10度程度であれば十分筆記できますが、あまり左右に倒れていると、インクがかすれたり、書けなくなります。
上の写真はペリカンのスーベレーンM400を例に実際に書いてみたものです。
ペン先の太さはM(太字)です。
紙と垂直での筆記線
5度倒れた状態での筆記線
10度倒れた状態での筆記線
15度倒れた状態での筆記線
左右に角度があるとインクフローは変わってきますが筆記は可能です。
10度程度までなら傾けても書けますが、15度程度傾いてしまうとかなり厳しいですね。
万年筆を使っていて字がかすれるという人は左右に傾いているかもしれないので、ちょっと気にしてみてください。
ペン先が平らになっているものは左右の傾きにシビア
ペンポイントが丸い場合は筆記角度、左右の角度に寛容です。
ですが、ペン先が平らになっている場合は左右の傾きにはシビアです。
スタブと呼ばれる特殊ペン先とか、カリグラフィーペン先などです。
写真はハイエースネオクリアカリグラフィーのペン先です。
左右に傾くと線がかすれたり、全くかけなかったりします。
筆記角度はそれほど重要ではない
万年筆を持った時、「ボールペンより寝かせて持つ」とか「紙と万年筆との角度は60度程度」というのをよく目にすると思います。
ですがこの角度は実はそれほど重要ではありません。
万年筆のペンポイントはそれほどシビアにできているものではなく、書く人に寛容です。
筆記角度で変わるのは筆記できる線の太さです。
上から順に「90度」「80度」「70度」「60度」「45度」の筆記角度で書いています。
結構太さが変わりますが、どの筆記角度でもちゃんと筆記はできていますね。
筆記角度は、表示されているM(太字)やF(細字)通りに書くために最適なのが60度という事です。
60度でなければ書けないという意味ではないですよ。
ちょっと変わった使い方
万年筆はひっくり返しても使えます。
普段あまりこういう使い方はしないかもしれませんが、こんな線も書けるのかという発見がありますよ。
ペリカンのスーベレーンM600、ペン先はBB(極太)です。
普通に書くとこんな感じです。
そしてひっくり返して書いてみました。
普通に書くよりも細い線幅で書けました。
書き味も悪くないですし、インクがかすれたりはしませんでしたよ。
これまでひっくり返して使ったことがない人は、一度試してみてください。
まとめ
万年筆を使う上で大切なポイントはふたつ。
リラックスして持ち、筆圧をかけない
切り割と紙の角度を傾け過ぎない
ということです。
このふたつさえ押さえておけば大丈夫です。
難しく考えず、万年筆を楽しみましょう。
最後に
今回は万年筆の持ち方や筆記角度について紹介しました。
この記事が皆さんの万年筆ライフの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
コメント