今回はWANCHER(ワンチャー)の万年筆、PuChiCo(プチコ)を紹介します。
プチコは
- 65mmというミニサイズ
- インクの吸入方式はアイドロッパー式
- 軸はアクリルの削り出し
といった特徴があります。
小さくてかわいいだけでなく、しっかりと万年筆として使える一本です。
それでは詳しく紹介します。
WANCHER(ワンチャー)PuChiCo(プチコ)をおすすめする人
小さくてかわいい万年筆を探している
アイドロッパー式の万年筆を使いたい
WANCHER(ワンチャー)について
WANCHER(ワンチャー)という会社をご存知ですか?
僕はWANCHERという会社はてっきり海外のブランドだと思っていました。
実は日本の大分にある会社です。
WANCHERは2011年10月31日に設立。
筆記具の製造だけでなく、腕時計も製造、販売しています。
その他、海外製品を輸入、卸売業、インターネットを通じての小売業もされています。
ワンチャーは漢字で「萬佳」と書き、中国語では「Wànhé」と発音します。
「萬佳」は中国語では「永遠の富と美を備えた幸せ」という意味があるそうです。
日本が持つ素晴らしい和の精神、礼儀、敬意、謙虚さ、思いやりなど日本が世界に胸を張って誇るべき精神とともに、日本、そしてアジアの素晴らしい部分を伝えていきたいという思いを込めています。
代表取締役 : 岡垣 太造
漆職人、蒔絵職人、ガスペン職人など、それぞれのプロたちが手掛けた逸品を多く世に送り出しており、どれも魅力的なものばかりです。
また活動は日本だけでなく、中国、インド、ベトナムなど海外でも活動されています。
ワンチャーについて詳しい情報はこちらの公式ホームページでご確認ください。
WANCHER(ワンチャー)PuChiCo(プチコ)の特徴
ミニサイズの万年筆
収納時はカタログ値では65mm。
これが万年筆なの?と思うほど小さいです。
ころころとしていてとてもかわいらしいデザインですね。
実際にサイズを測定してみました。
収納時は65.20mm。
本体だけだと57.37mm、軸にキャップを軸につけると87.50mmでした。
キャップをつけることで小さいながらしっかりとグリップして使用できるようになります。
軸やキャップはアクリルの削り出し
軸やキャップはアクリルの塊を削り出して作られています。
アクリル樹脂とは
アクリル(アクリル樹脂)はポリメタクリル酸メチル(PMMA)として分類される合成樹脂の一種です。
ガラスよりも軽く、割れにくい点が特徴です。
特に透明性に優れ、光透過率は92%。
耐久性が高く透明度が高い為、水族館の巨大水槽や航空機の窓にも使用されています。
また、着色ができるため色とりどりの製品を作り出すことができます。
アクリル(アクリル樹脂)の特徴
- ガラスに近い透明度(約92%の光透過率)で有機ガラスとも呼ばれる
- 軽量で割れにくく、耐候性・耐紫外線性が高い
- 加工しやすい分、柔らかく傷がつきやすい
- 着色しやすいので、透明だけでなくカラーのアクリルがありいろんな製品に使われる
プチコは、このような特徴のあるアクリルの塊からひとつひとつ削り出して作られています。
まっすぐ削るのではなく、丸みのある柔らかいデザインになるよう丁寧に削られています。
これだけでもかなりの手間が必要です。
インクを入れる後軸のタンク部分を削る際にはインク容量を確保しつつ、筆記具としての強度、も保たせています。
僕は技術者ではないので詳しい作業工程は分かりませんが、この小さな軸を作り上げるためにはかなりの手間と技術が必要なんだろうなと想像できます。
重さは9.57g
小さい分とても軽いです。
インクが入っていない状態で重さを測定してところ9.57gでした。
キャップはネジ式
これだけ小さいですが、仕様は本格的です。
ネジ式のキャップは気密性が高く、ペン先の乾燥を防いでくれます。
ネジ部分もしっかりと削り出されており、キャップとのかみ合わせもいいです。
開け閉めする時の手ごたえはかなりなめらかで、アクリルが擦れるような音がしません。
丁寧に研磨されているのがよく分かります。
万年筆のキャップにはネジ式ともうひとつ、嵌合式とがあります。
万年筆のキャップについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
インクの吸入はアイドロッパー式
万年筆にインクを充填する方法には「カートリッジ式」「コンバーター式」「本体吸入式」があります。
プチコは「アイドロッパー式」という珍しい方式が採用されています。
「アイドロッパー式」というのは後軸がタンクとなり、直接スポイトなどでインクを入れる方式です。
普通サイズの万年筆で「アイドロッパー式」だと複雑な吸入機構がないので、壊れにくく、インクをたくさん入れるといった特徴があります。
ただ、インクを入れる際に手を汚しやすかったり、後軸と首軸との密閉がしっかりしていないとインクが漏れてしまったりするなどのトラブルになる場合があるので、インクを補充する際は注意が必要です。
万年筆の吸入方式「カートリッジ式」「コンバーター式」「本体吸入式」等についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
軸のカラーは現在8種類
今回紹介するのは写真左のキャップがホワイトで軸がブルーの「アークティックブルー」。
もうひとつが写真右半透明で軸内のインクが透けて見える「フロスティセピア」です。
その他も多彩なカラーが美しいです。
鮮やかな宝石のような「トロピカルグリーン」
ふんわりと柔らかい印象の「ピオニーピンク」
まさにふわふわした雪のような「ホワイトスノー」
どこか陶器のような高級感さえ感じさせてくれる「ハワイアンブルー」
デルタの万年筆を彷彿とさせるブラック×オレンジが鮮やかな「ブラックチョコオレンジ」
万年筆といえば「黒×金」ともいえる王道カラー「ペンギンブラック」
どれも小さな造形と相まって魅力的なラインナップになっています。
クリップなどの装飾は金色
クリップ、クリップリング、天冠には金メッキが施されています。
天冠にはワンチャーのメーカーロゴが刻印されており、本体の小ささを感じさせない堂々としたデザインです。
細かなところまでこだわって作られているのがよく分かりますね。
ペン先はステンレススチール
ペン先の素材はステンレスです。
ペンポイントにはイリジウムが使われており、本格的な万年筆と同じ仕様になっています。
ペン先のサイズは本体のサイズに似合わず大型のペン先が採用されています。
ワンチャーのメーカーロゴが真ん中に刻印されています。
装飾と同様、ペン先にも金メッキが施されており見た目もゴージャスですね。
ペン芯を見ても本格的な仕様になっています。
書き味については後述しますね。
ペン先の太さは2種類
ペン先はEF(極細)とF(細字)の2種類があります。
「フロスティセピア」はEF(極細)、アークテックブルーはF(細字)を選びました。
M(中字)もあったらいいなと思いましたが、インクタンクが小さいのであまり太いとインクがすぐ無くなってしまいそうですね。
あえて設定はしなかったのかもしれません。
WANCHER(ワンチャー)PuChiCo(プチコ)の使い心地
プチコの持ち心地
キャップを軸につけない状態だと57.37mmです。
グリップするとこんな感じ。
このままだと頑張れば使えそうですが、ちょっと厳しそうですね。
キャップを軸につけた状態の長さは約88mm。
グリップすると、キャップ部分が指に触れるようになりなんとか安定して持つことができました。
僕の手でギリギリかと思うので、もうちょっと手の大きい方だと苦労するかもしれませんね。
インクはワンチャーの「ターコイズ」とセーラー万年筆の「金木犀」
今回は「フロスティセピア」にセーラー万年筆の「金木犀」、「アークティックブルー」にはワンチャーの「ターコイズ」を入れてみます。
ワンチャーはセーラー万年筆とコラボした万年筆を販売しており、この「ターコイズ」もそのひとつです。
セーラー万年筆との相性がよさそうだったので四季織の「金木犀」を選んでみました。
アイドロッパー式という吸入方式が実際どのような方法でインクを補充するのか、簡単に解説します。
インクの入れ方
インクの吸入にはプチコとセットになっているスポイトを使用します。
まずは首軸を外します。
軸を持ち、軸内にスポイトでインクを入れます。
インクを入れ過ぎると、首軸を着ける時にインクがあふれてしまいます。
クリアだとラインが見やすいので入れ過ぎることは無いかと思います。
不透明でも中にラインが見えるので、この軸内側のこのラインまでにしておくとインクがあふれる事はありません。
マニュアルにある通りだいたい2mlくらいでいい感じになります。
軸はそのまま上に向けた状態をキープしておき、首軸を装着します。
装着の際に軸を左右に傾けるとインクがこぼれてしまうので、まっすぐ持った状態をキープしてください。
首軸がしっかり装着できたら、ペン先を下に向けてみて、軸からインクがもれないか確認してください。
しっかり首軸がついている状態でインクが漏れる場合、首軸についているパッキンが外れているかもしれません。
写真の矢印部分がパッキンで2か所にあります。
パッキンがないと、首軸と後軸との接続部に隙間ができてインクがもれてしまいます。
装着前にパッキンがちゃんとついているか確認してください。
インクもれがなければキャップをします。
結構はやくペン先にインクが降りてくるので、すぐに筆記できます。
もしインクを入れてもすぐには書けない場合でも焦らずゆっくりインクがペン先まで降りてくるのを待ちましょう。
インクフローは良く、サラサラとした気持ちのいい書き心地
写真はペン先がEF(極細)です。
ペン先の精度がいいですね。
細くてもペンポイントはなめらかでサラサラと気持ちよく書けます。
インクフローはヌルヌルというよりは、わりとタイトな印象ですね。
続いてF(細字)です。
こちらもペンポイントはなめらかで、サラサラとした書き心地が気持ちいいですね。
インクフローは出過ぎることはなく、よく調整されているなという感じです。
またフローが安定しているのでインクが途切れることはないですね。
WANCHER(ワンチャー)PuChiCo(プチコ)をおすすめする理由
小さくてかわいい万年筆は見ているだけでも楽しい
しっかりとしたペン先で本格的な万年筆の書き味が楽しめる
アイドロッパー式という珍しいインク吸入機構が体験できる
というところかと思います。
税込定価2200円と手に入れやすい値段なのもうれしい点ですね。
手が大きい男性にはさすがに小さくて扱いにくいかもしれませんが、見ているだけでも十分楽しめる一本だと思います。
最後に
今回はワンチャーのアイドロッパー式万年筆「プチコ」を紹介しました。
この記事が皆さんの万年筆選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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