セーラーの四季織シリーズは日本の四季をイメージして作られた万年筆インクです。
今回は四季織シリーズの中から「夜長」を紹介します。
「秋の夜長」という言葉のとおり、秋が深まるにつれ夜が長く感じる情景をイメージして作られています。
それでは詳しく紹介します。
この記事をおすすめする人
「夜長」ってどんな色か知りたい
セーラーの四季織シリーズが好き
水性染料インクを使いたい。
「夜長」の構成色とpHが知りたい
四季織「夜長」の特徴
「夜長」の意味 (由来)
「秋の夜長」という言葉があるように、秋になりだんだんと日照時間が短くなって夜の時間が長くなることを「夜長」いいます。
具体的には、昼と夜の時間が同じとなる「秋分の日」から冬の始まりとされる「立冬」までといわれているようです。
もっとも夜が長いのは冬至頃かと思いますが、「夜長」というのは、夏が終わり、夜が過ごしやすくなってきたことを喜ぶ感情が込められた言葉です。
快適な夜に窓を開け、虫の音を楽しみながら読書をしたり、勉学を励んだりといった秋の情景が浮かんできますね。
四季織シリーズ「夜長」は水性染料インク
「夜長」は水性染料インクです。
水性染料インクの特徴は、発色がよく、万年筆に使う際にはメンテナンスがしやすいというのが特徴ですね。
また、染料は水に流れる性質があります。
そしてもうひとつ、光によって退色してしまうという難点があり、長期保存には向いていません。
万年筆インクは染料インク、顔料インク、古典インクに分けられます。
それぞれの特徴についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
「夜長」の耐光性を検証した結果
「夜長」を実際に太陽光にあてて、どの程度耐光性があるのを検証してみました。
その結果がこちらです。
写真左が検証0日目、そして右が検証180日目です。
多少の変化はありますが、思った以上に退色せず、検証している僕自身「本当に染料インクなのか?」と疑うほどでした。
他の染料インクがガンガン退色していくなか、これほど色が残っているのには驚きです。
これだけ耐光性があるのであれば、湿気さえ気を付ければある程度長期保存が可能かもしれませんね。
いろんな万年筆インクの耐光性を検証した結果について、こちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
「夜長」を構成している色を調べてみた
ペーパークロマトグラフィーという手法で「夜長」の構成色を調べてみました。
ろ紙にインクを含ませてから、ろ紙の端を水に浸けておくだけの簡単な手法です。
水が吸い上げられていくと、インクが徐々に分離していきます。
数分浸けておきました。
結果はこんな感じになりました。
濃い青が徐々に上り、黒っぽい色が一番先に分離されています。
さらに赤紫色が分離され、鮮やかな青、青の端をよく見るとうっすらと黄色が見えますね。
ペーパークロマトグラフィーはとても簡単な手法で、使用する器具はどれも安く手に入ります。
面白いのでぜひやってみてください。
こちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
「夜長」のpHは「9.37」
pHについてはこのニードル型pH測定器を用いました。
結果、「夜長」のpHは「9.37」だったので、弱アルカリ性でした。
弱アルカリ性インクの特徴は濃度が高く、鮮明な色が出るのが特徴です。
万年筆で使う場合では、酸化によるペン先のダメージがないのでメンテナンスがしやすいという特性もありますね。
インクのpHについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
四季織「夜長」を使ってみた
ツバメノート インクコレクションカード
ツバメノートのインクコレクションカードはフルース紙という筆記用に作られた紙ででてきています。
インクのにじみが少ないですし、発色がいいのが特徴です。
「夜長」便の絵には綿棒でたっぷりとのせ、文字はセーラーのhocoro筆文字で書いています。
たっぷりとインクをのせた瓶の部分はどっぷりとしずんだ夜を感じますし、夜の中に涼しさやほんのり月明りをも感じられますね。
写真では分かりにくいですが、インク瓶の部分をアップで見ると、周囲が赤っぽく見えますね。
金属のような光沢はわずかで、ギラギラしたフラッシュではないですが、フラッシュしているのは間違いないかと思います。
ヌルリフィル
ヌルリフィルはつるつるした樹脂っぽいコーティングが特徴のインクコレクションカードです。
インクをたっぷりのせると吸収されずに紙の上でたまっているのが分かります。
乾くのに時間はかかりますが、乾燥すると宝石部分の揺らぎ具合がとても味が出ますね。
ツバメノートとはまた違った色合いで、よりずっしりとした濃い青色が感じられるようになりますね。
宝石のインクがたっぷり乗っている部分は赤くフラッシュしているのが見えますね。
上質紙(黒)
本来の「夜長」は濃い青ですが、黒い紙に書くとこんな色に見えます。
本来の青色は見えなくなり、光に反射する色素が見えるようになります。
写真では分かりにくいですが、ツバメノートやヌルリフィルで観察でした赤っぽいフラッシュの縁が銀色っぽく輝いています。
光を上手く反射するとこの銀色っぽい輝きが観察できます。
赤っぽい部分のさらにその周囲に見える銀色っぽくフラッシュしていることから、フラッシュする2種類の色素が「夜長」に含まれているのかと推測されます。
1種類のインクで2種類のフラッシュが観察できるのは面白いですね。
インクのフラッシュについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
四季織「夜長」をおすすめする理由
水性染料インクなので万年筆がメンテナンスしやすい
染料インクながらかなりの耐光性がある
深みのある青がしっかりと「秋」を感じさせてくれる
という感じかと思います。
耐光性については、実験した僕自身が驚く結果でした。
深みのある青色はこれからの季節にはぴったりかなと思います。
最後に
今回はセーラー万年筆、四季織シリーズ「夜長」を紹介しました。
この記事が皆さんのインク選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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