今回はパイロットのカスタム74「ミュージックニブ」を紹介します。
カスタム74はパイロット社創業74年を記念して1992年に発売された定番モデルです。
特に今回紹介するのはミュージックニブという特殊ペン先です。
幅広いスタブ形状(平べったいペン先)で独特な文字が書けるのが楽しいですよ。
それでは詳しく紹介します。
- パイロット「カスタム74・ミュージックニブ」をおすすめする人
- パイロット「カスタム74・ミュージックニブ」の特徴
- パイロット「カスタム74・ミュージックニブ」の使い心地
- パイロット「カスタム74・ミュージックニブ」をおすすめする理由
- 最後に
パイロット「カスタム74・ミュージックニブ」をおすすめする人
黒×金の「ザ・万年筆」が好き
ペン先が金の万年筆が使いたい
ミュージックニブでどんな文字が書けるのか知りたい
パイロット「カスタム74・ミュージックニブ」の特徴
カスタム74はパイロット社創業74年を記念して発売されたモデル
先にも述べた通り、カスタム74はパイロット社創業74年を記念して、1992年に発売されたモデルです。
33年経過(令和7年現在)した今でも人気の定番モデルですね。
カスタム74シリーズにはペン先が大型15号の「カスタム743」、スタンダードモデルの「カスタム742」、そしてエントリーモデルとなるのが今回紹介する「カスタム74」です。
デザインはベーシックなバランス型

バランス型というのは両端が丸くなっている形を指します。

モンブランのマイスターシュティックやプラチナ万年筆のセンチュリーなどもこの形ですね。
モンブランに比べると、カスタム74の方が丸みがありますね。
歴史的には両端が平らになっている「ベスト型」の方が古いらしいですが、モンブランのマイスターシュテュックの印象が強く、今ではこの「バランス型」がベーシックとなっているようです。
収納時の全長は143.59mmで重さは17.02g


キャップを閉めた状態での全長は143.59mm、キャップを外した状態で125.848mmでした。

キャップを尻軸につけた状態はノギスで測定できなかったので、定規で測ったところ約165mmでした。
最大径はキャップのリング部分で14.65mm。
グリップするネジ部分は11.93mmと太すぎず持ちやすい太さです。
ボールペンなどと比べるとちょっと太いかなと感じるかもしれませんが、筆圧をかけなくても筆記できる万年筆ならではのゆったり持つのにちょうどいいサイズ感ですよ。

重さはコンバーターやカートリッジをつけていない状態で17.02gでした。
軸が樹脂製なので重すぎず程よい重量感ですね。
黒軸に金装飾の「仏壇万年筆」

黒の軸に金の装飾という組み合わせの万年筆は仏壇のような色使いから「仏壇万年筆」と呼ばれています。

僕はこれまで写真の「カスタムヘリテイジ912」のような「黒×銀」モデルを好んで買っていたので「仏壇万年筆」はほとんど所持していませんでした。
でも「黒×金」の「ザ・万年筆」という感じの王道カラーもいいなぁと思うようになり、高価でしたが思い切って買ってしまいました(笑)
こうして手にしてみると、この組み合わせは堂々とした風格があってかっこいいですね。
これからは「黒×銀」だけでなく「黒×金」のカラーも買ってみようかと思います。
クリップに「PILOT」・キャップリングに「CUSTOM」「MADE IN JAPAN」

クリップ正面に縦に「PILOT」の刻印が入っています。


そしてキャップリングには「CUSTOM74」と「MADE IN JAPAN」という文字が刻印されています。
キャップはネジ式

キャップはくるくる回すネジ式が採用されています。
またキャップ内部にはインナーキャップが搭載されています。
インナーキャップのおかげでペン先の気密性が保たれ、乾きにくくなっています。
長時間使っていなくても、すぐに筆記できるのがいいですね。
クリップの先端に球体がついている


クリップの先端に球体がついていますね。
パイロットのカスタム74シリーズの他、カスタムURUSHI、カスタム845、カスタム823などと共通するデザインになっています。
クリップの先端に球体があることでポケットやノートに挟んだ際にスムーズに差し込めるなど実用性と美しさが兼ね備えられているんですね。
強度もしっかりしていて、胸ポケットなどに挿しても安定感がありますよ。
ミュージックニブはカラーが「ブラック」のみ

カスタム74はカラーが「ブラック」だけでなく、「ダークグリーン」、「ダークブルー」、「ディープレッド」と全部で4種類あります。
ただ、「ブラック」はペン先の種類が豊富ですが、その他は「EF」「F」「M」「B」の4種類です。
「ブラック」のペン先は「EF」「F」「M」「B」の他、「FM」「BM」「SF」「SFM」「BB」「C」「MS」と全部で11種類もあります。
「C(コース)」と「MS(ミュージック)」は値段が違う

カスタム74は「EF」~「BB」までは税込定価22000円。
エントリーモデルといってもけっこう高価ですよね。
さらにコース(C)とミュージック(MS)は税込定価27500円!
売価ではもう少し安く手に入れることができるかと思いますが、かなり勇気のいる価格ですよね。
独特な形の「MS(ミュージック)」


「MS(ミュージック)」は、名前の通り楽譜の記入に特化したニブです。
ペン先が平べったくなった「スタブ」と呼ばれる形で、縦の線が太く、横の線が細く書けるのが特徴です。
楽譜の音符を書きやすくした形状ですが、線の太さや濃さに変化を持たせやすく、独特の文字やカリグラフィーなどにも使われています。
「カスタム742」、「カスタム743」には「SU(スタブ)」というニブがありますが、それよりもさらに縦の線が太く書けます。

切り割りが2本も入っているのも特徴的ですね。
文字にリズムや表情がつけられるので使っていて楽しいですよ。
ペン先の素材は14金

ペン先には14金が使われています。
ペン先に金を使うメリットとしては、腐食に強いというところですね。
「金ペン」は軟らかく「鉄ペン」は硬い?
よく金ペン(ペン先が金でできた万年筆)は軟らかく、鉄ペン(ペン先が金以外のステンレススチールなど)は硬い書き味になるという記述を見ます。
確かに金属の特性として金は軟らかく、ステンレスは硬いです。
また純金(24K)では筆記具としての強度が不足するため、14K、18Kなど他金属と合金化して強度を高めるようにしています。
金の使用量が多いほど軟性となり、18Kの方が柔らかく14Kの方が硬くなります。
ただ、ステンレスを使用した鉄ペンが硬いかというとそうではなく、ペン先のしなやかさに大きく影響するのはその形状です。


僕が持っている「鉄ペン」でもペリカンの「M205」やラミーの「漢字ニブ」なんかはけっこうペン先がしなやかですよ。
同じ14金でもプラチナ万年筆の#3776センチュリーのUEF(超極細)はガッチガチです(笑)
万年筆のペン先については上記含めこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ちょっと脱線してしまいましたが、金ペンは腐食に強いので大切に使えば長くお付き合い出来ますよ。
書き味については後述しますね。
カートリッジ・コンバーター両用式で独自規格
カスタム74はカートリッジ・コンバーター両用式となっています。
またカートリッジやコンバーターはパイロット独自の規格です。
パイロット以外のカートリッジやコンバーターは使えないので注意してくださいね。
カートリッジやコンバーターの規格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
おすすめのカートリッジインクは色彩雫シリーズ
購入時はカートリッジが一本付属しています。
付属しているカートリッジのインクカラーは黒。
カートリッジインクは手軽で便利ですし、持ち運びにも便利です。
パイロットのカートリッジインクでおすすめなのは色彩雫シリーズのカートリッジインクです。
全部で12種類のカラーがあって楽しいですよ。
コンバーターは別売り

パイロットのコンバーターは「CON-40」と「CON-70」の2種類あります。
「CON-40」はノブを回してインクを吸入するタイプ。
「CON-70」はボタンをプッシュしてインクを吸入するタイプです。
おすすめはインクをたくさん吸入できる「CON-70」ですね。
ミュージックニブは太い線が書ける分インクの消費が多いので、タンク容量が大きい方がいいですよ。
コンバーターの使い方についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
パイロット「カスタム74・ミュージックニブ」の使い心地
コンバーターを使ってボトルインク「色彩雫・竹林」を使ってみた


今回はコンバーター「CON-70」を使い、パイロットのボトルインク「色彩雫・竹林」を入れてみました。
ボタンをプッシュするだけであっという間にコンバーター内にインクでいっぱいになりました。
「CON-70」は吸入しやすくて便利ですよ。
筆記時キャップは尻軸につけることができる

キャップは尻軸につけることができます。
けっこうしっかりとつくので、筆記中にキャップが落ちることはないですね。
キャップをつけるとかなりペンが長くなり重心は中央より上になります。
ペンを寝かせて使う場合、それほど重心の位置は気になりません。


ただ、ミュージックニブはペンを比較的立てて書く方が書きやすいです。
そのため、重心が上だとややキャップ部分がフラフラする感じがして使いにくく感じるかもしれません。
僕は通常はキャップを外した状態で使っています。
キャップを軸につけるかどうかはそれぞれの好みでいいと思います。
インクフローがよく独特な文字が書けるのが楽しい

インクフローはかなりいいですね。
インクが擦れることはないですし、これだけ太い線を書いても途切れることがないです。

ペンポイントは非常になめらかで、サラサラとした書き心地です。
ペン先が適度にしなっってくれるので、ふわっとしか感じで書いていて気持ちがいいです。

縦の線が太くなるので、かなり特徴的な文字になりますね。
また線が太いのでインクの濃淡を存分に楽しめます。
カリグラフィーも楽しめる

縦と横で線の太さが違うのでカリグラフィーも楽しめます。
この1本だけでいろんな文字が書けるのがいいですね。
書き心地もいいので、ずっと使っていたくなります。
パイロット「カスタム74・ミュージックニブ」をおすすめする理由
「仏壇万年筆」と呼ばれるベーシックなデザインがかっこいい
キャップにはインナーキャップが搭載されペン先が乾きにくい
カートリッジインク、コンバーターのどちらでも使用可能
特殊ペン先で縦が太く横が細い特徴のある独特な文字が書ける
というところかと思います。
使用感はいいですし、所有欲も満たされる高級万年筆です。
やはり購入するにあたりネックになるのは価格ですね。
特にミュージックニブは他のカスタム74よりも高価になります。
ただこの書き味は他の万年筆では味わえないかなと思うので、近くに試筆できる環境があるならぜひ試してみてください。
最後に

今回はパイロットのカスタム74・ミュージックニブを紹介しました。
この記事が皆さんの万年筆選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。








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