今回はモンブランの「Sライン」という万年筆のレビューです。
「Sライン」は、1980年代に登場した万年筆で、現在生産は終了しています。
そのため手に入れるには中古市場で探すしかありませんが、状態は別として割とたくさん出回っているので手に入れやすいかと思います。
それでは詳しく紹介します。
この記事をおすすめする人
モンブランの「スリムライン」がどんなものか知りたい
モンブラン「Sライン」の特徴
1980年代に登場した万年筆

「Sライン」が登場したのは1980年代。

モンブランの万年筆といえばフラッグシップである「マイスターシュテュック」が圧倒的に有名です。
「Sライン」は「マイスターシュテュック」のような高級ラインではなく、若年層や女性をターゲットに当時1万円程度で販売されていたようです。
細身でスタイリッシュなデザイン

若年層や女性層を狙った細身のデザインで、かなりスタイリッシュなデザインになっています。
マイスターシュテュック145と並べてみました。
145もかなり細身ですが、さらに細いですね。


サイズを測定したところ最大径9.52mm。
145は最大径13.69mmと、数値をみてもかなり細いのが分かりますね。


キャップをした状態で長さは138.10mm、キャップを外した状態で125.40mm。
長さは一般的な万年筆を大きな差はないですね。
金属軸で重さは24g


キャップや軸は金属製です。
コンバーターを着け、インクを入れていない状態で重さ測定したところ26.16gでした。
キャップを外し、本体だけで測定したところ17.30g。
細身なので重量以上にずっしりとした重みを感じますね。
マット塗装で手にはなじみやすい

金属軸ですが、表面はマット塗装になっているのでグリップした時のホールド感はいいですね。
エポキシ仕上げという手法を使っているそうです。
エポキシ仕上げとは
エポキシ樹脂を使用した表面仕上げの方法です。
エポキシ樹脂は、強度、耐久性、耐水性が高いという特徴があります。
エポキシ仕上げの主な特徴としては
- エポキシ樹脂を塗布することで、光沢のある滑らかな仕上がりが得られる
- 表面をエポキシでコーティングすることで、傷や汚れ、湿気から保護してくれる
- カラーや透明なエポキシを使用できるため、デザイン性が高い
主な用途としては、木材製品の表面加工、コンクリート床のコーティング、アート作品の仕上げなどです。
また、エポキシは硬化すると非常に丈夫で、耐久性を求められる場面で特に活躍します。
豊富なカラーバリエーションがあった
僕が購入したのはブラックです。
その他レッド、ブルー、ホワイト、ブラウンといったカラーバリエーションが豊富にあったようです。
中古市場ではあまりいろんなカラーを見かけたことはなく、よく見かけるのはブラックかなと思います。
キャップは嵌合式

キャップはパチンと開け閉めする嵌合式です。
キャップは軽い感じの「コチン」という手ごたえで、繊細な感じがします。
とても開け閉めしやすいですね。

また尻軸にもキャップを軸につけることができます。
ただはめ込むのではなく、キャップを閉めるときと同じように「コチッ」とハマります。

キャップを軸につけた状態では155.44mmとかなり長くなりますね。
軸にキャップをつけると重心がかなり上になってしまいます。
クリップはフラットでシンプル


クリップはフラットな形状でとてもシンプルです。
金メッキ処理がされており、クリップの端にはホワイトスターがちょこんと乗っていますね。
天冠、尻軸にホワイトスター


キャップの天冠にもホワイトスターが見えますね。
アップで見ると結構汚れています(汗)
扱い方によってはこの天冠のホワイトスターが脱落してしまっている場合もあるそうです。
綺麗にしたいけど、あまり気合をいれて洗浄するのも怖いからしばらくはそっとしておきます(笑)
キャップのクリップ下にロゴ

キャップに「MONT BLANC」「GERMANY」と彫られていますね。
マイスターシュテュックのようなシリアルナンバーは刻印されてないですね。
ペン先はスチール


「Sライン」のペン先はスチール製です。
金メッキが施されていますね。
ところどころ痛みがあり、ペン先の横はすこしメッキが取れてしまってますが、値段なりの状態かなと思います。
デザインは非常にシンプルで、形もホームベースのようなカクカクした感じです。
ハート穴はなく、見た感じかなり硬そうに見えますね。

ペン先中央にはモンブランのブランドロゴと、その下には「MONT BLANC」とありますね。
ペン芯は樹脂製でシンプルなデザインですね。
「Sライン」の金ペンがある?
「Sライン」の中にはペン先に「585」の刻印があるものが売られています。
「585」の刻印は14Kであることを示しています。
生産時点では「Sライン」はスチールペン先のみだったはずですが、「Sライン」の14Kペン先があるのは不思議ですよね。
「Sライン」の14Kペン先があるのは、「Sライン」以外のモデルからパーツを流用して出来上がったものなんだそうです。
1970年代、「Sライン」よりも先に「ノブレス」という細身の万年筆が登場しています。
「ノブレス」はペン先に14Kが使用されています。
現物を持っていないので比較できませんが、どうも首軸が「ノブレス」と「Sライン」が共通のようで、流用可能だということです。
なので、「ノブレス」の14Kペン先がついた首軸を「Sライン」の同軸と合体して出来上がったのが14Kペン先の「Sライン」ということのようです。
僕が購入した値段は約5000円
今「Sライン」を購入するとしたら、かなり使用感のある状態だと3000円程度、状態がいいと20000~30000円ほどで取引されています。
発売当初10000円程度で販売されていたものが、状態によってはそれ以上の価値があるようですね。
中古などはあまり詳しくないので、僕が購入した個体の値段が妥当だったのか、お買い得だったのかはちょっと分からないですが、それなりには満足しています。
インクの吸入方式はカートリッジ・コンバーター両用式

「Sライン」はカートリッジ・コンバーター両用式になっています。
今回僕が購入したものには、最初からコンバーターが装着されていました。
かなり汚れやサビが目立ちますが、使用は十分可能なレベルです。

コンバーターにも「MONT BLANC」「GERMANY」の刻印がはいっていました。
スリムラインの軸はかなり細身なので、コンバーターはギリギリ収まっているという感じですね。
軸内の状態によっては、コンバーターが入らない個体もあるようです。
カートリッジやコンバーターは欧州規格

規格というのは首軸とカートリッジやコンバーターを接続する部分のサイズです。
欧州規格はヨーロッパ統一規格などとも呼ばれ、モンブランの他、多くのメーカーが同じ規格でカートリッジやコンバーターを製造しています。
同じ規格のため、モンブラン以外のメーカーのカートリッジやコンバーターが使用可能です。
ただ注意する点としては、同じ規格のはずですが、メーカーによってわずかな寸法差がある場合があります。
寸法が少しでも違うと、まったく使用できなかったり、使用できても穴が拡がってしまい、他の軸に使えなくなってしまったりします。
カートリッジであれば、使い切りなのでそれでも問題ないですが、コンバーターは穴が拡がってしまうと他の万年筆に使えなくなります。
使用の際には十分注意してくださいね。
カートリッジやコンバーターの規格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
モンブラン「Sライン」の使い心地
モンブランのボトルインク「ミステリーブラック」を使ってみる

今回は付属のコンバーターを使ってモンブランのボトルインク「ミステリーブラック」を使っています。
ややグレーっぽい黒で、濃淡が楽しめるインクです。

インク吸入はスムーズで、インク漏れなどはなかったです。
重心はキャップをつけない状態で中央辺り


本体の長さは125.40mmと本体だけでも十分使用しやすい長さがあります。
キャップをつけていない状態で重心はほぼ中央にあります。
本体だけだと約17gと比較的軽量で扱いやすいです。
キャップを軸につけることができますが、重心がかなり高い位置になってしまいます。
ペンを立て気味使う人にとってはちょっと扱いづらいかなと思います。
手に軸部分をのせるようにして寝かせて持つとバランスがとれて扱いやすくなりますね。
キャップをつけるかどうかは長さや重さの好みもあると思いますが、僕はキャップを軸につけずに使用しています。
ペン先は硬めの印象で割となめらかに書ける

ガチガチに硬いかなと思っていましたが、そこまでガチガチな感じはなかったです。
ペン先は若干ですがしなってくれますね。
インクフローは安定しており、インクが掠れることはほとんどなかったです。


中古といっても前所有者の書き癖みたいなものは感じず、普通に使用できますね。
ペン先はガリガリした感じはなくなめらかでした。
見た目は使用感がかなりありますが、この書き味であれば当たりの個体だったかなと思います。
線の太さは細めで、国産の万年筆でF(細字)程度かなと思います。
モンブラン「Sライン」をおすすめする理由
中古市場ではまだまだ出回っており、状態のいいものも出品されている
金属製の細身の万年筆で、今の万年筆にはないスマートなデザイン
モンブランの万年筆としては比較的お手頃で試せる
といったところかなと思います。
あくまで中古なので、状態や値段にかなり幅があります。
通販サイトで探す場合はしっかりと状態をチェックした方がいいですね。
とはいえ書き味まではチェックできないので通販サイトで購入する際はある程度は覚悟が必要かと思います。
ショップなどで試筆できる環境があればいいんですけどね。

他の人とちょっと違う万年筆を使いたい、中古の万年筆を使うのに抵抗がない人向けかなと思います。
マイスターシュテュックシリーズはかなり高価なので購入には勇気と財力が必要ですが、一度はモンブランの万年筆を持ってみたいという人にはいいかもしれないですね。
ただ使い心地や書き味はマイスターシュテュックとは別物なので、そのあたりも了承した上で検討してみてください。
最後に

今回はモンブランの万年筆「S(スリム)ライン」を紹介しました。
この記事が皆さんの万年筆選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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