インクの基本性能の項目に耐光性というのがあります。
実際に自分の目で見たいという好奇心から今回耐光実験をしてみました。
実験の対象は万年筆用のボトルインクです。
今回は、検証40日後の様子を紹介します。
この記事をおすすめする人
それぞれのインクの耐光性がどの程度か知りたい
顔料インクや古典インクは光によってどう変化するのか知りたい
染料インクは色によって耐光性はちがうのか知りたい
実験方法
方法はいたってシンプルです。
- ツバメノートのインクコレクションカードにインクを塗る
- 一枚の額にまとめて貼る
- ベランダに設置して太陽の光に当てる
という感じです。
耐光性実験の準備編はこちらになります。
よかったら参考にしてください。
また検証20日後の様子についてはこちらの記事で紹介しています。
こちらもよかったら参考にしてください。
検証40日後の結果報告
40日間光を浴びたコレクションカード達です。
20日後の検証で確認したときよりかなりインクカードがゆがんでしまっています。
パッと見た目でも20日後に比べさらに色合いが変わって退色してきた感じがします。
それでは1枚ずつ見比べてみたいと思います。
写真は1枚目が準備時に撮影した分で、2枚目が40日後です。
モニターによっては色が分かりづらいかもしれませんがご了承ください。
染料インク
染料インクは光に弱いといわれています。
40日間光を浴びることによってどのように変化したでしょうか。
パイロット
色彩雫「紅葉」
20日後でもかなり退色してきていましたが、さらに退色してきましたね。
かろうじて赤色と分かりますが、元の鮮やかな紅葉色とは程遠い色になってしまいました。
色彩雫「深海」
青色はほぼ退色してしまい、じっくり見ると元は青だったのかなという印象は残っていますがほぼグレーですね。
色だけを見て、元が「深海」だったと判別するのは難しいレベルになってしまいました。
色彩雫「蛍火」
20日後ではそれほど退色していませんでしたが、40日経つと結構退色してきました。
先に見た「紅葉」や「深海」は元の色が判別できないほど退色が進みましたが、「蛍火」はまだ「黄色」と判別できる程度の退色具合ですね。
セーラー
四季織「夜桜」
40日経過し、かなり退色してきました。
次に観察する時には全く消えてしまっているんじゃないかと思うほど、今の状態でも相当退色しています。
元の色は判別できませんが、文字はまだ読める程度には残っていますね。
四季織「夜長」
20日後の「夜長」は薄明るい青色に変化してきていましたが、40日後でもそこまで大きな変化はみられていません。
青色と十分判別できる程度の退色具合ですね。
同じ染料インクでも、パイロットの「深海」の変化っぷりと、この「夜長」の変化具合はかなり違いがありますね。
使用している染料に違いがあるのか、または添加物の違いからなのか、詳細は分かりませんが今後の変化が気になりますね。
寺西化学工業
ハイカラインキ アンティークブラック
若干退色してきていますが、まだ十分黒色のインクであったことが判別できますね。
濃淡具合が分かるようになってきています。
光による退色を利用して何か面白いことができないか、ちょっと試してみたいですね。
スパークルインク「ミスティブラック」
黒インクは退色してグレーっぽく変化しています。
ラメの輝きは保たれていていますね。
インクが退色していくことでよりラメの輝きが目立つようになりました。
ペリカン
「ブリリアントブラック」
20日後よりも若干退色が進み、よりグレーに近づいた感じはしますが、まだ黒として判別できますね。
どことなく赤みを感じるのは少しフラッシュしているからでしょうか。
「ブリリアントブラウン」
茶色系統のインクだったということは分かりますが、色調はかなり変わりましたね。
赤っぽい感じがなくなり、まさに茶色という感じの色になりました。
モンブラン
「ミステリーブラック」
20日後でもけっこうグレーっぽい感じに退色していました。
さらに黒色の退色が進み、元が黒であったかという判別は難しいですね。
また20日後の変化から観察されていた、フラッシュのような赤っぽい金属のような光沢は今回はより強くなった感じに見えます。
とても興味深い変化ですね。
「ミッドナイトブルー」
こちらは20日後の変化から青みがなくなり、グレーっぽく変化していました。
そこからはそこまで大きな変化は感じられないですね。
文字は十分識別できるレベルで色素が残っています。
パーカー
「ブルーブラック」
20日後でもかなり落ち着いた蒼色に変化していましたが、そこからは大きく変化はなく、落ち着いたブルーブラックという感じの色になっています。
カヴェコ
「ミッドナイトブルー」
こちらも青色はかなり退色してきています。
またモンブランの「ミステリーブラック」のような赤い金属っぽい色が見えますね。
他の青色のインクもそうですが、ただ退色していくだけでなくそれぞれに変化の仕方が違うのが面白いです。
顔料インク
顔料インクは耐光性に優れているということですが、40日後でもどうなっているか見ていきたいと思います。
セーラー
ストーリア「レッド」
20日後同様、若干赤色は薄まった感じはしますが、十分赤と識別できますね。
これは長期戦で変化を見ていきたいですね。
ストーリア「パープル」
ストーリア「レッド」同様、若干退色したような感じはしますが、紫色と十分判別できますね。
「蒼墨」
20日後、そして今回とそこまで大きな変化はなく、蒼色が維持されています。
染料インクに比べ、耐光性の高さが伺えますね。
「青墨」
「蒼墨」と同様、青色はしっかりと維持されています。
古典インク
古典インクは、インクの中にある第一鉄イオンが酸化して第二鉄イオンになり、黒く沈殿して紙に定着します。
インクの中に鉄分と酸性分を含み、鉄分が酸化して黒く定着します。
光によって水性染料インクが褪色していくと、定着している鉄分の黒が残るということですが、実際どんな変化が起こっているでしょうか。
ペリカン
「ブルーブラック」
青みはほぼなくなり、グレー色へと変化しています。
染料の部分は今後さらに退色が進むかと思いますが、定着した鉄成分がどのように残っていくのかがとても興味深いです。
プラチナ
「富士」
ペリカンの「ブルーブラック」と同様、青色はかなり退色が進み、若干青みがかったグレーになっています。
こちらも古典インクらしい変化を観察していきたいので、今後が楽しみです。
クラシックインク「カシスブラック」
赤はかなり退色が進んできています。
インクが濃くついている部分と、薄くついている部分との違いを見るのも面白そうです。
クラシックインク「フォレストブラック」
緑が徐々に退色が進んできていますね。
緑色と分かりますが、その風合いはまったく変わってしまっています。
紙に着いたインクの濃淡によって、黒っぽくなってきていたり、白っぽくなってきている部分があったりしますね。
ツバメノートのインクコレクションカードの耐光性
いろんなインクが退色していく中、カードの罫線やツバメノートのロゴなどはしっかりと残っていてました。
またフールス紙は変色していませんね。
検証開始当初はユポ紙にしたほうがよかったかなと思っていました。
ツバメノートのフールス紙は光に対して強いですね。
これからもこの検証はツバメノートのコレクションカードを使おうかと思います。
最後に
今回は万年筆インクの耐光性実験「40日後」の変化を見てもらいました。
冬季で日照時間が短いにも関わらずこれだけの変化が観察できたのはとても有意義だったと思います。
染料インクでもかなり退色が進んだもの、それほど退色せずに維持されていたものもあって面白いですね。
顔料インクや古典インクの今後の変化についてさらに観察していきたいので、この実験はまだまだ続けます。
といってもずっとベランダに放置しておくだけですけどね(笑)
次回は6か月後くらい先を目途に、合間で写真を撮りながらどこまで変化したのかを観察してみます。
夏を迎えるころにはレビューできるかと思いますのでお楽しみに!
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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