今回はペン先が万年筆仕様になっているつけペン、パイロットの「いろうつし」とセーラーの「ホコロ」を比較してみたいと思います。
どちらのつけペンもとても書きやすいですが、それぞれに特徴があります。
軸の素材、ペン先の種類、筆記距離や書きやすさなどいろんな視点から比較してみたいと思います。
それでは詳しくレビューします。
この記事をおすすめする人
万年筆のペン先を使ったつけペンが欲しい
「いろうつし」と「ホコロ」の違いが知りたい
「いろうつし」と「ホコロ」の特徴と違い
「いろうつし」と「ホコロ」の共通点
「いろうつし」と「ホコロ」の共通点は
- つけペンである
- ペン先が万年筆のペン先を使っている
という2点です。
つけペンはペン先にインクをつけて使うペン
つけペンというのはペン先にインクをつけて使うペンのことです。
つけペンはインクを変えたい時はサッと洗うだけでいいので手軽に使うことができますよ。
またつけペンにはガラスペンやカリグラフィーペンなどいろんな種類があります。
つけペンについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
万年筆のペン先について
一般的なつけペンのペン先(Gペンなど)と万年筆のペン先で大きく違うのはペンポイントの有無です。
写真左はGペン、右が万年筆のペン先部分です。
Gペンはペン先が平らですが、万年筆にはペン先にポツンと丸いのが見えますね。
このポツンと丸い部分がペンポイントです。
ペンポイントは紙と接触する部分なので書き味に大きく影響します。
ペンポイントはペン先にイリジウムという硬度の高い金属を溶接してくっつけています。
さらにこの部分は研磨されており、紙との摩擦が少なくなるようになっています。
つまりペンポイントがあることで「なめらかに書くことが出来る」「摩耗に強く、長持ちする」ということですね。
写真左が「いろうつし」、右が「ホコロ」のペン先です。
万年筆にあるペンポイントが「いろうつし」「ホコロ」どちらにもあります。
同じF(細字)でもペンポイントの大きさが違うのが面白いですね。
「ホコロ」の特殊ペン先は別として、「いろうつし」「ホコロ」のペン先にはこのペンポイントがあるので、滑らかに書けて長持ちするということです。
「いろうつし」と「ホコロ」の違い
ペン先の種類の多さは「ホコロ」が圧倒的
写真は「いろうつし」のペン先です。
線の太さはF(細字)とM(中字)の2種類です。
こちらの写真は「ホコロ」のペン先です。
左からF(細字)、M(中字)、1.0mm、2.0mm、筆文字です。
ペンポイントのあるペン先は「いろうつし」と同じくF(細字)とM(中字)の2種類です。
さらに「筆文字」「1.0mm」「2.0mm」というペン先があります。
種類の多さでは「いろうつし」が2種類に対し、「ホコロ」が5種類と圧倒的に多いです。
それぞれのペン先の書き味比較
ペンポイントのあるペン先をそれぞれ比較します。
F(細字)
線の太さは「ホコロ」が若干細い
写真の上が「いろうつし」、下が「ホコロ」で書いたものです。
線の太さは「ホコロ」の方が若干細く感じますね。
書き心地はどちらもなめらかで書きやすい
どちらもフローは安定しています。
またどちらも紙の上で滑るように書けます。
よく似た書き心地ですが、若干「いろうつし」の方がよりなめらかなヌルヌルした書き心地です。
また「ホコロ」はなめらかですが、ごくわずかに紙との摩擦を感じることができます。
「いろうつし」の方がペン先のしなりやすくタッチが柔らかい
どちらもよく似ていますが「いろうつし」の方がペン先がしなりやすくタッチが柔らかく感じます。
「ホコロ」はリザーバーを着けた状態になると、ペン先がかなり硬くカッチリした感じです。
M(中字)
線の太さは「ホコロ」が若干太い
こちらも写真の上が「いろうつし」、下が「ホコロ」です。
こちらは線の太さは「ホコロ」の方が若干太い感じがします。
「いろうつし」は紙の上をすべるようななめらかさ
フローは安定しており、細字よりさらになめらかに書くことができます。
どちらのもなめらかな書き味ですが、「いろうつし」の方がよりなめらかに書け、紙の上をすべるような印象ですね。
「ホコロ」も書き味はなめらかですが、わずかに紙との摩擦を感じます。
「いろうつし」の方がペン先のしなりを感じタッチが柔らかい
F(細字)同様、「いろうつし」の方がペン先のしなりを感じられ、ふんわりとした柔らかいタッチで描けます。
「ホコロ」の方がわずかに紙との摩擦を感じました。
ただヌルヌルと書けるのがいいというだけではなく、程よい摩擦感がある方が書きやすい場合もあります。
「ホコロ」の特殊ペン先
「ホコロ」の特殊ペン先については、「いろうつし」と比較できませんが、かなり独特な書き味が楽しめます。
「筆文字」
「筆文字」は「筆でまんねん」と同じ先が曲がった特殊ペン先で、名前通り筆で書いたような文字が書けるのが特徴です。
筆っぽく書くには多少の慣れが必要ですが、うったて、とめ、はらい、はねといった日本語特有の文字の美しさを表現することができます。
他のペン先にはないこの書き味はつけペンでは「ホコロ」でしか楽しめません。
「1.0mm」と「2.0mm」
「1.0mm」「2.0mm」はペン先が平らになっていて、カリグラフィーなどが楽しめるようになっています。
カリグラフィー用のペン先は「ホコロ」に限らずいろんなメーカーからいろいろ販売されています。
大きな違いはペン先の形状です。
写真左から、「ホコロ2.0mm」「ホコロ1.0mm」「ブランセ 3.0mm」です。
カリグラフィー用のペン先も角は若干丸くなっていますが、「ホコロ」は平らになっている部分の両側の角がしっかり研磨されて丸くなっています。
この形状のおかげで、ペン先が紙に引っかかることなく書きやすくなっているんです。
ホコロの1.0mm、2.0mmはカリグラフィー初心者におすすめのペン先です。
筆記距離はリザーバーを着けた「ホコロ」が圧倒的
筆記距離について比較します。
まずは「いろうつし」とリザーバーを着けていない「ホコロ」とを比べてみます。
インクはどちらもだいたいハート穴くらいまでつけて書いています。
F(細字)はどちらもほぼ同じ筆記距離
何度か書いてみましたがどちらも30文字程度までで、それほど大きな違いはないかと思います。
M(中字)もどちらもほぼ同じ筆記距離
写真では「ホコロ」が若干多く書けていますが、ちょっとしたインクのつけ具合の違いによってかわってきますので、どちらともほぼ同じくらいの筆記距離といってもいいと思います。
では次にリザーバーを着けた「ホコロ」と「いろうつし」を比べてみます。
細字、中字とも筆記距離はリザーバーを着けた「ホコロ」が圧倒的に長い
同じようにインクをつけて書いていますが、F(細字)、M(中字)ともにリザーバーを着けた「ホコロ」は倍以上筆記距離が長くなります。
リザーバーがついているためにインクの保持できる量が全く違うんですね。
ただ、リザーバーを装着することでペン先がほぼしならなくなります。
しなりがなくなることで書き心地が変わってきます。
また、細字、中字、1.0mmは初期状態ではリザーバーはついていないので別に購入する必要があります。
リザーバーは税込定価220円です。
ホコロのリザーバーについては装着方法や書き味の変化、筆記距離の変化などこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ペン先の安定性は「いろうつし」
「いろうつし」は軸にペン先がしっかりと固定されています。
対して「ホコロ」はペン先が脱着可能になっている分、多少グラつきがあります。
筆記に大きく影響が出るほどグラグラすることはありませんが、「いろうつし」の方が安定しているので扱いやすいですね。
軸の素材と種類
「いろうつし」は木軸と樹脂軸があり、木軸にはモクメとブラックの2種類、樹脂軸にはノンカラー、クリアブラック、クリアブルーの3種類から選べます。
「ホコロ」は樹脂軸のみで、カラーはホワイト、ブラック、クリア、クリアブラック(クリアブラックは限定)の4種類です。
グリップしやすいのは「いろうつし」の木軸
太さは「いろうつし」の樹脂軸と「ホコロ」のグリップ部分はどちらもほぼ10mm程度です。
細すぎることはなくグリップはしやすいです。
そして「いろうつし」の木軸ですが、グリップ部分の太さが約12mm。
程よい太さで一番グリップがしやすいと感じました。
価格を比較
「いろうつし」
樹脂軸 | 税込定価770円 |
木軸 | 税込定価1980円 |
「ホコロ」
軸 | 税込定価550円 |
ペン先 細字、中字、1.0mm 筆文字、2.0mm | 税込定価935円 税込定価1045円 |
樹脂軸で細字という条件で選ぶなら「いろうつし」は770円、「ホコロ」は軸とペン先を合わせ1485円です。
同じ条件なら「いろうつし」の方が断然安いですね。
「ホコロ」はペン先だけを別に購入でき、軸は使いまわしができるというメリットがありますが、いろんな軸やペン先、リザーバーなどを揃えようとするとけっこうな出費になりますね。
ペン先だけが破損した場合、「いろうつし」は新たに買い換える必要があり、特に木軸は質感がよく使いやすいですが1980円と割と高価なので、破損して買い換えるとなるとけっこう痛手ですね。
使用条件にもよるので、どちらが長持ちしてどちらが得かというのはちょっと比較しにくいです。
万年筆ペン先のつけペンをお試しで使ってみたいという人は、まず一番安く手に入る「いろうつし」の樹脂軸かなと思います。
「いろうつし」と「ホコロ」比較のまとめ
「いろうつし」 | 「ホコロ」 | |
筆記のしやすさ | ペン先が 安定している | ペン先が 少しカタカタすることがある |
筆記のなめらかさ | かなりなめらか | なめらかだが 若干紙との摩擦を感じる |
ペン先のしなやかさ | しなやかで タッチが柔らかい | やや硬め リザーバーを着けるとさらに硬くなる |
ペン先の種類 | 細字と中字 の2種類 | 細字、中字、筆文字、 1.0mm、2.0mm の5種類 |
筆記距離 | 1度に 10~20字程度 | リザーバーを着けると 100字以上の長距離筆記可能 (リザーバーは 別売で税込定価220円) |
軸の種類 | 木軸2種 (モクメ、ブラック) 樹脂軸3種 (クリア、クリアブラック、 クリアブルー) | 樹脂軸4種 (ホワイト、ブラック、 クリア、クリアブラック) (クリアブラックは期間限定) |
グリップの しやすさ | グリップしやすい 木軸は樹脂軸より さらにグリップしやすい | グリップしやすい |
価格 | 樹脂軸 税込定価770円 木軸 税込定価1980円 | 軸 550円 ペン先 細字、中字、1.0mm 税込定価935円 筆文字、2.0mm 税込定価1045円 |
破損した場合 | 買い替えが必要 | 軸とペン先 別々に買い換えが可能 |
それぞれに長所、短所がありますが、どちらも魅力的なつけペンです。
使う人の目的に合った方を選ぶのがいいかと思います。
特にペン先の書き味の違いについては、どちらが好みかという視点で選んでくださいね。
パイロットの「いろうつし」をおすすめする人
樹脂軸だけでなく木軸のつけペンも使ってみたい
ペン先が安定していて筆記しやすいつけペンがいい
ペン先の種類は細字と中字の2種類があればとりあえず大丈夫
いろいろと小物を買いそろえるのが面倒だ
という人は「いろうつし」がいいと思いますし、特に
最初はできるだけ出費を抑えたい
という人は「いろうつし」の樹脂軸一択ですね。
セーラーの「ホコロ」をおすすめする人
ペン先をいろいろ付け替えて使いたい
特殊ペン先(筆文字や2.0mmなど)を使ってみたい
一度にたくさん文字を書きたい
ペン先、軸、リザーバーなどちょこちょこ買い足していくのが楽しい
という人は「ホコロ」がいいと思います。
最後に
今回はペン先が万年筆仕様になっているつけペン、パイロットの「いろうつし」とセーラーの「ホコロ」を比較してみました。
この記事が皆さんのつけペン選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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