今回は無印良品のアルミ丸軸万年筆をレビューします。
無印の万年筆には2種類あり、ひとつは以前紹介した「ポリカーボネイト万年筆」。
そしてもうひとつが「アルミ丸軸万年筆」です。
その名の通りアルミ製の丸い軸の万年筆で、ペン先はシュミット社製、カートリッジ・コンバーターは欧州規格です。
それでは詳しく紹介します。
無印良品「アルミ丸軸万年筆」をおすすめする人
お手頃な価格の万年筆を探している
細身でシンプルなデザインの万年筆が使いたい
軸が金属製の万年筆が好き
無印良品「アルミ丸軸万年筆」の特徴
軸の素材がアルミ

もう名前そのものですが、一番の特徴はアルミニウム製の軸です。
アルミニウムは軽量で、比較的衝撃にも強い、また腐食に強いという特徴があります。
ただ、強い外力が加わると変形してしまいます。
多少なら自力で直せるかもしれませんが、軸が変形して軸が歪んでしまうとインクが補充できなくなったりするので、落として踏んでしまったりしないように気を付けてくださいね。
アルミ素材そのままの質感

軸はアルミそのものの質感が楽しめるよう無塗装になっています。
色味がアルミそのもので無機質な感じがいいですね。
マットな手触りなのでグリップしても滑りにくいというメリットがありますね。
ただし、手汗などで変色してしまう場合があります。
デメリットではありますが、長く使うことで起こる経年変化として楽しめればと思います。
ストレートでシンプルなデザイン

無印良品で取り扱う商品は必要十分な品質と機能を追求し、シンプルで飽きのこないデザインがコンセプトとなっています。
まさにコンセプト通り、デザインは実にシンプルですね。
細身の丸軸ストレートで、ブランド名は入っていません。
ですが、見る人が見たら「無印のアルミ軸の万年筆」と分かるデザイン性の高さが光りますね。
キャップは嵌合式


キャップはパチンと閉める「嵌合式」というタイプです。
グリップとペン先ユニットの間に隙間があり、キャップ部分が入り込むような構造になっています。

そのためキャップを閉めたときに軸とキャップに段差ができないので一体感がありますね。

開け閉めする際の手ごたえとしては、片手でも操作できるほど軽めですね。
閉める時もそれほど力は必要とせず、軽く「コツッ」という音がします。
キャップを尻軸につけられる

尻軸部分を見ると丸く溝がありますね。
キャップのこの丸い部分がこの溝に入り込むようになっています。


アルミが擦れるようなちょっと硬めの手ごたえで「ズズッ」と入り、最後にコツッという手ごたえがありきっちりとハマります。
収納時だけでなく筆記時も軸とキャップの一体感があっていいですね。
収納時は137.72mmで筆記時は162mm


キャップを閉めた状態での長さは137mmで、キャップを外した本体だけの長さは125mmでした。

150mmを超えるとノギスで測定できないのでおおよそになりますが、キャップをつけた状態では約163mmになります。
キャップをつけると結構長くなりますね。
重さは18.81g

重さを測ったところ18.81gでした。
カートリッジやコンバーターなどは着けていない状態で測定しています。
やはりアルミ製の軸なので軽量ですね。
グリップ部分にはローレット加工

グリップ部はギザギザの突起がたくさんある感じになっています。
このグリップの加工はローレット加工と呼ばれる加工方法です。
ローレット加工で作り出されたこの模様は「綾目模様」というそうです。
このローレット加工のおかげでグリップ力が上がるというメリットがあります。
また全体的にシンプルな作りですが、グリップの加工部分が際立ってアクセントにもなっていますね。
製図用のシャープペンなどでよく見かける加工方法で、かっちりしたイメージでかっこいいですよね。
ペン先の種類はFのみ

アルミ丸軸万年筆のペン先はステンレス製で、字幅はF(細字)のみとなっています。
ペン先には装飾模様と「IRIDIUM POINT」という文字が刻印されていますね。
書き味については後述しますが、ペン先部分はシュミット社製です。
シュミット社について
このペン先部分はシュミット社(SCHMIDT Technology)というドイツの筆記具部品メーカーです。
ペン先、ペン芯、コンバーター、リフィルなど筆記具の内部機構が専門で、名だたる筆記具メーカーのOEMとして活躍しています。
シュミット社は、特に万年筆のインク供給機構において高い評価を受けており、今回紹介するアルミ丸軸万年筆のようにコスパ重視のモデルに採用されている事が多いです。
マニアックな小話
ちょっとマニアックな話になるので、興味のない方はサクッと読み飛ばしてください(笑)
OEMの供給元として有名なシュミット社ですが、実は「自社でペン先(金属部分)を製造せず外注している」というのを小耳にしました。
万年筆のペン先はシュミット社、JoWo(ジョヴォ)社やBock(ボック)社から仕入れて組み上げているという話です。
JoWo(ジョヴォ)社、Bock(ペーター・ボック)社はどちらもドイツに本拠がある高品質な万年筆ペン先のOEMメーカーです。
OEMの供給元であるシュミット社が、他のOEMメーカーからペン先を仕入れているという話は、万年筆に精通している方々にとっては既知の事実なのかもしれないですが、実際にはどうなんでしょうね。
今回のアルミ丸軸万年筆とはあまり関係ない話ですし、また長くなりそうなので別の機会に(笑)
カートリッジは欧州規格

購入時にブラックのインクカートリッジが1本付属しており、軸の中に入っています。

カートリッジの規格は欧州規格です。
この規格というのは、首軸とカートリッジを接続する部分のサイズです。
「ヨーロッパ規格」や「統一規格」などとも呼ばれ、ヨーロッパのメーカーを中心にいろんなメーカーがこの規格で製造しています。
互換性が高く、同一メーカーでなくても流用することが可能です。
ただメーカーによってはわずかな違いがあり、相性が悪いとインクが漏れたり、きちんと入らなかったりといった不具合があるので注意は必要です。

付属しているカートリッジはショートタイプのカートリッジで、欧州規格としては一般的なサイズですね。


欧州規格のカートリッジで僕が気に入ってつかっているのは、エルバンのカートリッジインクです。
カラーが豊富なのが魅力ですが、もうひとつ魅力なのがこの小さなブリキの入れ物に入っていることです。
ちょっと飾っておくだけでも絵になるのでおすすめです。
コスパ重視ならOHTOかシュナイダーのカートリッジインクがおすすめですよ。
欧州規格のコンバーターが使える

カートリッジと同規格であればコンバーターが使えます。
コンバーターというのはインクを吸入する役割と、インクを貯めておくタンクの役割を合わせた器具の事です。
コンバーターを使うことで、いろんな万年筆用のボトルインクが使えます。
ボトルインクは種類が豊富なので、きっとお気に入りのインクがあると思います。
無印良品からはコンバーターが販売されていないので、他メーカーのコンバーターを使用するようになります。
僕がもっぱら使っているのはアマゾンで購入した無名メーカーのコンバーターです。
安いですし、今まで特に不具合があったことはなかったのですが、アルミ丸軸万年筆とはちょっと相性が悪いようで入りませんでした。(写真下のノブ部分が透明の方)
このコンバーターの先の形状のせいで、軸内でつっかえてしまうようです。
おすすめなのは、シュナイダーのコンバーターですね。(首軸に装着しているノブが黒い方)
作りは間違いないですし、比較的安価で手に入り、しっかりとハマります。
もうひとつおすすめなのはシュミットのコンバーターです。
ペン先ユニットがシュミット社ですからシュミットのコンバーターは相性は間違いないと思います。
無印良品「アルミ丸軸万年筆」の使い心地
コンバーターを使ってみる

ブラックのインクカートリッジが1本付属していますが、カートリッジインク使わず、今回はコンバーターを使ってボトルインクを吸入して使ってみます。
インクはパイロットの色彩雫シリーズ「松露」にしてみました。
コンバーターはシュナイダー製です。

きっちりとハマりっているのでインクの吸入はスムーズでした。
比較的軽量でグリップは安定していて持ちやすい


太さは10mmで細めですが、グリップにローレット加工が施されているのでグリップは安定します。
重心は低重心設計で、キャップがない状態だとグリップやや上部、キャップをつけた状態で中央辺りにあります。
どちらでもペンバランスもいいですね。
キャップをつけていない状態で126mmはあり、なくてもそれほど短いなとは感じないですね。
キャップがない状態で約164mmありますが、重心が中央で安定しているので使いやすいです。
キャップを軸につけるかどうかですが、どちらもバランスがいいので好みの長さの方を選んで大丈夫かと思います。
ちょっとカリッとする書き心地でインクフローは安定している

わずかにカリッとする感じの書き心地です。
ステンレス製のペン先ですが、ちょっとしなりがあり、文字に抑揚がつけれますね。
線に強弱がつくので書いていて楽しいですね。
インクフローは安定していて、掠れることはほとんどないですね。
無印良品「アルミ丸軸万年筆」をおすすめする理由
シンプルなデザインで飽きがこない
アルミ素材で腐食しにくい
無塗装でアルミそのものの素材を楽しめる
ちょっとしなりのあるペン先で文字に抑揚がつけられる
安定したインクフローで掠れにくい
といったところかと思います。
価格も税込定価1592円と万年筆としては比較的安価で手に入るのも魅力ですね。
店舗だけでなく、通販でも購入可能というところもお手軽で魅力ですね。
注意する点としては、以前紹介したポリカーボネイト万年筆とは全く互換性はありません。
それぞれに別のカートリッジインクやコンバーターを購入しないといけないのはちょっと残念なところかなと思います。
最後に
今回は無印良品の「アルミ丸軸万年筆」をレビューしました。
この記事が皆さんの万年筆選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。








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