パイロットの色彩雫シリーズは全部で24種類。
日本の情景をイメージして作られています。
その中で「深海」はその名の通り、深く暗い海のように暗く濃い青色が特徴です。
それでは詳しく紹介します。
色彩雫「深海」をおすすめする人
水性染料インクを使いたい
色彩雫「深海」がどんな色か知りたい
万年筆以外でも使えるのか知りたい
色彩雫「深海」の特徴
「深海」は水性染料インク
色彩雫シリーズは水性染料インクです。
染料インクは発色が鮮やかで種類が豊富なのが特徴ですね。
万年筆で使う場合はメンテナンスがしやすいというメリットがありますね。
万年筆インクについてはこちらで詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
「深海」の耐光性を検証した結果
染料インクは耐水、耐光には弱いという欠点があります。
実際に太陽光に当てて退色するか検証してみました。
左は検証0日目、右は検証180日後の様子です。
筆記線がほとんど確認できないほど退色してしまっていますね。
こちらの記事で、いろんな万年筆インクの耐光性を検証しました。
よかったら参考にしてください。
「深海」ってどんな色?
「深海」について
深海というのは、はっきりした定義はないようですが、一般的には200m以上深いところが「深海」と呼ばれるようです。
「深海」には太陽の光が届かず、また水圧が高く、水温も低いといった過酷な環境です。
そこでは地上で見ることが出来ないような生物が確認されています。
過酷な環境のため、いまだ十分に解明されていない未踏の地「深海」。
人類にとって謎の多い未知の領域であり、まさに神秘的な場所と言えますね。
「深海」色とは
そんな神秘的な場所を表す「深海」ですが、そんな深く暗い海を表現したのが、色彩雫「深海」です。
書いた直後はやや暗めの青ですが、乾くにつれてより暗い青へと変化していきます。
その沈み込んでいく様子はまさに「深海」を感じさせてくれますね。
「深海」の構成色
ペーパークロマトグラフィーという手法で、「深海」を構成している色を調べてみました。
徐々にインクが上がっていきます。
割と明るめの青が上がってきましたね。
写真では分かりにくいかもしれませんが、ある程度上がったあたりからうっすらとですが真ん中あたりに赤色が見えます。
青が結構上がっていくので、もうちょっと分離するまでじっくり待ちました。
結果はこんな感じです。
最終的には黄色とうっすらと赤が見えます。
「深海」の構成色ってこんな感じなんですね。
ペーパークロマトグラフィーは非常に簡単で安上がりでできる実験です。
興味のある方はこちらの記事を参考にぜひ実験してみてください。
けっこう楽しいですよ。
「深海」のpH
「深海」のpHを調べてみました。
測定結果はpH「8.82」。
趣味の文具箱のVol.47ではpH「8.7」となっていました。
「8.7」~「8.82」なので「深海」は弱アルカリ性ということになりますね。
アルカリ性を示すインクはペン先などを傷めにくいという特徴があります。
インクのpHについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
インクコレクションカード
ツバメノート インクコレクションカード
ツバメノートのインクコレクションカードにインクをのせてみました。
瓶の絵部分には綿棒でたっぷりインクをつけています。
インクが乾いたときの色の沈み込みがいいですね。
インクが乾くほどに深く沈みこむ青
コレクションカードにあるビンの絵部分でその様子を写真で撮ってみました。
左がインクをのせた直後、右が乾燥した状態です。
書いた直後は鮮やかな青色ですが、乾くとどっしりした深い青色に変化しています。
この移ろいゆく様子を見ているだけで楽しいですよ。
ヌルリフィル
もうひとつのコレクションカード、ヌルリフィルにもインクをのせてみました。
紙の表面がツルツルしているので宝石の絵にのせたインクが淀んだ感じが出ていいですね。
紙がインクをあまり吸わないので乾くまでかなり時間はかかります。
その分たっぷりのせたインクがゆっくりと動いて自然な濃淡ができあがります。
「深海」のフラッシュ具合
フラッシュする要件は
・インク吸収の弱い材質、つまりヌルリフィルのようなインクを吸収せずにはじいてしまうような紙に書いたとき
・黒い紙に書いたとき
・濃いインクを用いたとき
ということです。
ということで、
ツバメノートのインクコレクションカード、ヌルリフィルと、上質紙(黒)を使ってフラッシュ具合を見てみます。
ツバメノートのインクコレクションカード
ツバメノートのインクコレクションカードでは、けっこうたっぷりとインクを使いましたが、ビンのところに若干レッドフラッシュが見えますが、文字のあたりはそれほどフラッシュしていませんね。
ヌルリフィル
しっかりインク多めに書いています。
宝石の部分にはインクが盛り上がるほどのせました。
色素が凝集した部分はかなりギラギラと輝いていますが、文字のあたりはほとんどフラッシュしていませんね。
上質紙(黒)
Amazonで名刺用の上質紙(黒)を見つけたので買ってみました。
鉛筆でビンの絵と線を書いています。
黒い紙に書くと、もうここに塗ったインクが「深海」かどうかすら写真では分からないですよね。
どの角度からみてもこの金属っぽい色しか見えません。
書いた直後はどこになにを書いたか分からないくらいですが、乾いてくるともうこの金属っぽい色が出てきます。
黒い紙に書くとレッドフラッシュの具合がはっきりと観察できるのが面白いですね。
3種類の紙を試した結果「深海」はそこまでフラッシュしない
赤く光るフラッシュを「レッドフラッシュ」と言われていますね。
この「深海」もそのレッドフラッシュ現象が起きるインクのひとつです。
上質紙(黒)でそれがはっきりと観察できました。
ですが、ツバメノート、ヌルリフィルでは、インクをたくさん使ったところはしっかりフラッシュするものの、文字部分ではそれほどフラッシュしませんでした。
なので、普段使う場合ではフラッシュはそれほど気にしなくてもよさそうです。
色彩雫「深海」を使ってみる
万年筆やつけペンなどで使ってみました。
万年筆 パイロット カクノ M(中字)
カクノの紹介ページでもこの「深海」を使っています。
「深海」にちなんだ「明石海人」さんの名言を書いてみました。
M(中字)で書くとかなり濃く出ますね。
インクが徐々に濃く沈み込んでいく様子を見ているのが楽しいですよ。
この深みのある「深海」らしい青色がいい感じですね。
パイロット「カクノ」についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
つけペン ガラスペン
インクがしっかりガラスペンにのっています。
ガラスペンは線が細いですが、しっかりとした濃い青色で書けますね。
ガラスペンでも特に問題なく使用できました。
つけペン カリグラフィーペン
エルバンのカリグラフィーペンのなかで、この太い線が書けるペン先を使って書きました。
ちょっと書き損じていますが、ご容赦ください(笑)
線が太くなると、かなり濃淡が出ていい味がでます。
ペン先へのインクののりは良いですよ。
最後に
今回は色彩雫シリーズから「深海」を紹介しました。
基本的に僕はブルーブラックと呼ばれる色が好きで、いろんなブルーブラックを使っています。
古典的な方法で作られたブルーブラックも好きですが、古典インクは万年筆のメンテナンスが大変ですよね。
「深海」は水性染料インクなのでメンテナンスがしやすいから、いろんな万年筆に入れて気軽に使っています。
皆さんのインク選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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