パイロットのタイムラインは2段階の回転繰り出し式という個性的なボールペンです。
今回紹介するのはタイムラインの特徴的な動作はそのままにゲルインクを採用した「タイムラインゲル」です。
タイムラインゲルに使われているリフィルはパイロットの独自規格ですが、実はいろんな種類のリフィルが使えるなかなか面白いボールペンなんです。
(リフィルの改造は必要ですが…)
それでは詳しく紹介します。
PILOT(パイロット)タイムラインゲルをおすすめする人
タイムラインの形や2段階の繰り出し方式が好き
リフィルを改造するのが得意
いろんなリフィルを使いたい
PILOT(パイロット)タイムラインゲルの特徴
タイムラインの歴史

タイムラインは2005年に登場しました。
コンセプトは過去、現在、未来、永遠という時間軸をテーマにした独創的な形状が特徴です。


その中でも最大の特徴は2段階の回転繰り出し方式。
先に口金が出て、次いでペン先が出てくるというもの。
収納時には口金まで引っ込んで円筒形になり、携帯性に優れています。
またアクロインキでなめらかな書き味も魅力のひとつです。
その独創的なデザインが評価され、2006年にグッドデザイン賞を受賞しています。

そして2008年にタイムラインゲルが登場。
タイムラインの独創的なデザインはそのままに油性インクではなくゲルインクを採用したモデルになります。
タイムラインは登場から20年が経過した今でも独創的なデザインで根強いファンの支持を受けています。
それではより詳細をボールペンと比べながら見ていきたいと思います。
ボールペンとゲルとで色々比較

今回の比較はボールペン、ゲルとも「PRESENT(現在)」というモデルになります。
サイズは見た目ほぼ同じ

まずはゲル軸を測定してみます。
収納時は121.80mmでした。


1段階繰り出し時で131.35mm、2段階繰り出し時で135.77mmでした。
次にボールペン軸を測定してみました。

ボールペンの収納時は121.58mm。


1段階繰り出し時で131.02mm、2段階繰り出し時で135.79mmでした。
| 収納時 | 1段階繰り出し時 | 2段階繰り出し時 | |
| ゲル軸 | 121.80mm | 131.35mm | 135.77mm |
| ボールペン軸 | 121.58mm | 131.02mm | 135.79mm |
ボールペン、ゲルともに測定誤差範囲程度で、サイズはほぼ同じですね。
重さもほぼ同じ


重さを測定した所ボールペンが24.81g、ゲルが24.30gとほぼ同じでした。
使用素材やデザイン、サイズ等がほぼ同じなので、重さも大きな差はなかったです。
回転の手ごたえもほぼ同じ


回転機構もほぼ同じのようで、手ごたえとしてはほぼ同じ感じですね。
1段階目、2段階目で繰り出すときにスコッと止まる感じも同じですね。
シリーズはボールペンの方が豊富

先述したように、タイムラインは時間軸をテーマにしてデザインされています。
僕が持っているのは、ボールペン、ゲルどちらも「PRESENT(現在)」というシリーズです。
軸、グリップ部とも樹脂製でシリーズの中では一番安価で購入できるシリーズ、価格は税込定価3300円です。

先軸部分の半透明な感じはそっくりですね。
その他、共通するシリーズは「FUTURE(未来)」というモデルです。
こちらは軸に真鍮、アルミといった金属が使用されており、重さも30gと重くなります。
価格もボールペン、ゲルともに税込定価5500円と高くなります。
ボールペンにはその他にグリップ部分が樹脂含侵カバ材を使用した「PAST(過去)」、グリップ部分がマーブルカラーになった「ETERNAL(永遠)」があり、全部で4種類。
ゲルは「PRESENT(現在)」と「FUTURE(未来)」の2種類だけですね。
ロゴのカラーが違う

今回比較するのはボールペンが「ブラック」、ゲルは「カーボンブラック」というカラーになります。
ボールペンには白で「TIMELINE」というロゴ、ゲルは赤で「TIMELINE Gel」と書かれていますね。
カラーバリエーションの種類が違う

ボールペン、ゲル共通の「PRESENT(現在)」というシリーズで比較してみます。
今回紹介するのはボールペンは「ブラック」、ゲルは「カーボンブラック」というカラーです。
同じ「ブラック」系ですが、ボールペンとゲルでは塗装が違いますね。
ボールペンは光沢のあるブラック塗装ですが、ゲルはややグレーでパール塗装でキラキラしています。
ボールペンのカラーバリエーションですが、「ブラック」の他、「シェルピンク」「アクアブルー」「スノーホワイト」「ムーンライトゴールド」「プラチナシルバー」と全部で6種類。
対してゲルは「カーボンブラック」の他、「ピーコックグリーン」「ローズピンク」と全部で3種類。
「FUTURE(未来)」というシリーズで比較してもボールペンが5種類に対してゲルが2種類と少ないです。
リフィルは独自規格

こちらがゲルインク専用リフィルになり、品番は「BLGS-5-B」です。

全長が86.75mmと短いです。


外径が5.97mm、ペン先径2.48mmでした。
リフィルには充填されているインク別にJISで定められた規格があります。
その規格と照らし合わせると、サイズとしては水性B型(全長87(±2)mm、外径6.2(±0.1)mmとタンク部分のサイズは似ていますが、ペン先径2.3(±0.1)mm)よりも約0.2mm太いですね。
ゲルインクリフィルの規格は「J」「K」「L」「G2」に分類され、これらの規格とサイズや形が違うものは「N」に分類されます。
パイロットの「BLGS-5-B」は「J」「K」「L」「G2」のどれにも適合しないので形式記号は「N」になりますね。
つまり、「BLGS-5-B」はパイロット独自の規格ということになります。
ボールペンリフィルの規格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
PILOT(パイロット)タイムラインゲルの使い心地
筆記時にペンバランスが最適になる


収納時ではほぼ中央辺りが重心になります。
1段階目で口金を出すことで中央よりやや下に重心が移動します。

さらに2段階目で重心がグリップの少し上あたりに重心がくるので、程よい低重心に最適化されます。
この2段階繰り出しによって重心が移動して最適化されるところが面白いですよね。
適度な太さで指に力を入れなくても持ちやすい


軸の最大径が14..14mmと少し太めになります。
グリップ辺りでも13mmと太めなので、グリップしやすく指に力を入れなくてもホールドしやすいです。
ほどよいグリップ感があるので、滑りにくく長時間の筆記でも疲れにくいですよ。
アクロインキよりも発色が良く筆記もスムーズ

アクロインキとゲルインクとで書き味を比較してみました。
アクロインキも低粘度油性インクでサラサラとした書き味で、発色もいいです。
ゲルインクもサラサラとしたスムーズな書き心地で発色もいいですね。

こうしてみるとどちらも同じくらい発色がいいですね。
もう少しアップにして見てみます。

並べてみるとアクロインキの発色はもちろんいいですが、もう一段階ゲルインクが黒いかなという感じですね。
またアクロインキは油性っぽい擦れ具合が見えますが、ゲルインクには油性インクのような擦れがなく、線が安定しています。
ただタイムラインゲルの純正リフィルは黒だけで、ボールサイズも0.5mm一択です。
純正以外のカラーやボールサイズの違うものを使いたいという人にはちょっと残念かなと思います。
同じタイムラインでリフィルに互換性はあるか

当ブログを読んでいただいている方から「ゲルの軸にアクロインキリフィルが使える」という情報を頂いていましたので、実際に試してみました。
写真は上がアクロインキ搭載のボールペンのリフィル「BRFN-30F-B」、下がゲルインク搭載の「BLGS-5-B」です。



「BRFN-30F-B」のサイズを確認すると、全長が86.81mm、外径が6.00mm、ペン先径が2.29mmでした。
表にまとめてゲルインクリフィルと比較してみました。
| 全長 | 外径 | ペン先径 | |
| アクロインキ 「BRFN-30F-B」 | 86.81mm | 6.00mm | 2.29mm |
| ゲルインク 「BLGS-5-B」 | 86.75mm | 5.97mm | 2.48mm |
ペン先径は約0.2mm違いますが、全長や外径はかなり似ていますね。
「BRFN-30F-B」&ゲル軸

まずはボールペンリフィルをゲル軸に入れてみました。
入りましたね。
軸内でのリフィル固定も、中でカタカタする事はなく大丈夫そうです。
繰り出し、収納も可能でした。

気になるのは口金とリフィルとの相性ですね。
リフィルのペン先径が約0.2mm違うので、写真でも分かるかと思いますが隙間ができてしまいます。
筆記時にちょっとカタつく感じはありますね。
ただ筆記をするという点では大丈夫だったので、ゲル軸でアクロインキの「BRFN-30」は使用可能と言ってもいいと思います。
「BLGS-5-B」&ボールペン軸

続いてゲルインクリフィルをボールペン軸に入れてみました。
軸にいったんは入りますが、リフィルが引っかかって先軸がきちんと閉まりませんね。

筆記する以前に軸内に収まらないので、全く使用できないですね。
「BRFN-10」&ゲル軸

もうひとつ、アクロインキの「BRFN-10」もゲル軸に試してみました。
以前「BRFN-10」と「BRFN-30」の互換性について検証し、ボールペン軸にどちらのリフィルも使用可能でした。

ゲル軸にも「BRFN-10」は入りましたね。
繰り出し可能で、軸内のリフィル固定は大丈夫でした。
「BRFN-30」と同じく、ペン先は若干隙間ができるのでちょっとカタつきますね。
先軸の内部構造だけが違う
ボールペン軸、ゲル軸とも外見はほぼ同じですが、内部構造がちょっと違うというのは、先の検証で分かりました。
それでは改めてじっくりと見てみましょう。
まずは先軸を外して後軸の内部を見てみます。

左がゲル軸、右がボールペン軸です。
肉眼で見る限り後軸の構造はほぼ同じですね。

さらにいうと先軸との接続部分のネジが同じです。
ゲル、ボールペンのどちらにも互いに接続することができます。
先軸だけにすると同じ「PRESENT(現在)」というモデルなので外見はほぼ同じですね。
じっくり見ないと見分けがつかないです。


ただ、この先軸の内部構造がわずかに違いますね。
写真の左がホールペンの先軸、左がゲル軸の先軸になります。
ボールペンの先軸には凸凹した樹脂パーツがついていますね。
またその奥にあるバネのサイズが違い、ボールペンの方が内部のバネが少し細くなっていますね。

リフィルの先端を比較すると、かなり形状が違いますね。
ゲルリフィルはチップを支える樹脂部分が張り出している部分が引っかかってしまい、リフィルのペン先が出てこないんですね。
無理に入れようとするとバネにがっちりと食い込んでしまい、リフィルが取り出せなくなります。
出せても場合によってはバネがゆがんでしまい、せっかくの2段階繰り出し機能が上手く機能しなくなってしまう可能性があります。
僕の検証途中、危うくバネを壊してしまうところでした(汗)
そしてもうひとつ、決定的な違いは口金のサイズです。

リフィルのペン先径がボールペンは2.3mm(写真左)、ゲルリフィルは2.48mm(写真右)でした。

そしてこちらが口金部分の写真です。
左がボールペン軸、右がゲル軸です。
ボールペンの方が口金の穴が狭く、ゲルの方が広くなっているのが分かりますね。
リフィルのペン先径から考えると、ボールペンの口金は約0.2mm狭くなっています。
そのため仮にバネが引っかからなくてもゲルリフィルのペン先は出てこないです。

試しに逆からゲルリフィルを突っ込んでみようとしてみましたが入らなかったです(笑)
今回検証のため色々試していますが、故障の原因になるのでボールペン軸に無理にゲルリフィルを突っ込まないようにしてくださいね。
C300系リフィルとの互換性検証
「BLGS-5-B」はパイロット独自の規格になるので、無改造では互換性のあるリフィルはありません。
ただC300系リフィルを改造するのが前提であれば使用可能です。
金属系はちょっと加工が大変(僕はできないです…)ですが、樹脂系リフィルであれば改造しやすいかと思います。
試しにひとつ改造して使ってみたいと思います。

今回はゼブラのサラサなどに使われている「JF芯」と使ってみました。
C300系リフィルは全長が111mmほどあるので、86.5mmに短く切ってしまいます。
まっさらだとインクがもったいないので、ちょっと使い込んだものの方を使いましょう。

しっかり同じ長さになるよう印を入れて、カッターで怪我をしないように慎重にカットします。
切った状態の「JF芯」と「BLGS-5-B」を並べてみました。

長さはいい感じになりましたね。

カッターでゴリゴリ切ったので、かなりバリができてしまいました。
軸に入れる時にバリが引っかかる場合があるので、バリはある程度カッターで取っておいた方がいいと思います。

先軸を着けて、繰り出しているところです。

口金部分には隙間ができていますね。
「JF芯」のペン先径は2.3mmです。
先に測定した結果ではゲルリフィルはペン先径が2.48mmでしたね。
先に検証したアクロインキ「BRFN-30」「BRFN-30」と同じく、口金とペン先径との差が0.2mmあり、そのまま使うと筆記時にカタつきます。
「BRFN-30」「BRFN-30」を使用する場合もそうですが、カタつきが気になるという人はセロテープなどで隙間を埋めた方がいいかと思います。
今回試していませんが、ゲル「J」型(サインボールなど)、「K」型(エナージェル、ユニボールワンなど)のリフィルも改造すれば使用可能かなと思います。
C300系リフィルについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
パイロットのジュースに使われているリフィルなら長さを合わせるだけ

パイロットのジュースに使われているリフィルはゲル「L」型に分類されます。

リフィルの品番は「LP2RF」。
このリフィルとゲル「J」型、ゲル「K」型リフィルとの一番の違いはペン先径が違うというところです。
ゲル「J」型、ゲル「K」型のペン先径が2.3mmですが、ゲル「L」型のペン先径は2.5mmと0.2mm違います。
そのため、ゲル「L」型はC300系リフィルには含まれません。
先の検証でゲル「J」型や「K」型をタイムラインゲルに使う場合は、ペン先径の違いからカタつくという事でしたね。

タイムラインのゲルリフィル「BLGS-5-B」はペン先径が2.48mmという測定結果だったので、「LP2RF」のサイズとほぼ同じです。
ゲル軸に「LP2RF」を入れてみましたが、口金とペン先との隙間はほとんどありませんね。
筆記時にカタつくことはないです。

また後軸との相性も問題なく、軸にスポッと入り、軸内でぐらぐらせず安定しています。
「LP2RF」はボールサイズが0.38mm、0.5mm、0.7mm、1.0mmの4種類。
またインクカラーは黒、青、赤と3種類あります。
長さを合わせるための加工をする手間は必要ですが、「LP2RF」であればペン先がカタつくことがなく安定して筆記できますよ。
PILOT(パイロット)タイムラインゲルをおすすめする理由
タイムライン独自の2段階繰り出し機構が使っていて楽しい
ゲルインクリフィルがヌルヌルとした書き味で発色がいい
改造前提であればいろんなリフィルが使える
というところかと思います。
先にも触れましたが、タイムラインゲルの純正リフィルはボールサイズ0.5mmの黒一択と、選択肢がありません。
以前はインクカラーが青もあったようですが廃盤となってしまっています。
また軸のバリエーションもボールペンに比べると少ないです。
タイムラインはボールペンが主力のようですが、ゲルはあまり人気がないのでしょうか(汗)
ただ、アクロインキリフィルが使えますし、改造が前提であればC300系リフィル(ゲル「J」型、ゲル「K」型)、ゲル「L」型リフィルが使用できます。
C300系リフィルにはゲルインクだけでなく、水性インク(三菱鉛筆のZENTOリフィル)(ゲル「K」型と同型)もありますね。
C300系リフィルはインクの種類だけでなく、インクカラーも多彩、さらにボールサイズもいろんな種類がありますよね。
リフィルの選択肢が相当広がるので、潜在能力はかなり高いボールペンだと思います。
改造前提の使用になるので、故障しても自己責任となるので強くおすすめはしませんが色々試せる相当面白いボールペンじゃないでしょうか。
最後に

今回はパイロットのタイムラインゲルを紹介しました。
この記事が皆さんのボールペン選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
こちらは今回比較に用いたボールペン軸のタイムラインをレビューした記事です。
よかったら参考にしてください。







コメント
しのわん さま
新年あけましておめでとうございます。
今回も楽しく、ためになる記事をありがとうございます。
タイムラインGELの検証記事、興味深く拝見致しました。
以前に私が書き込みした事を憶えていてくださったんですね、ありがとうございます。
改めてしのわんさんの細かな部分の検証で、ボールペンとGELの違いが良く分かりました。
ちなみに、タイムラインボールペンの方には、サクラクレパスのボールサインIDに使われて
いる「J」型のリフィルが挿入可能です。こちらはペン先が細いのでうまく入りました。
本当はアクロインキ搭載リフィルの「BRFN-30F-B」タイプでGELインク芯が出るといい
のですが…(^^; パイロットさん、作ってくれないかなあ…
そうすれば、もっとパイロットのボールペン購入するのになあ…(^^;
等々、今年もボールペンや万年筆の様々な記事を期待しております。
本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
ckmさんこんにちは。
もちろんckmさんから頂いたコメントは貴重な情報ですのでしっかりと覚えています!
タイムラインゲルの記事を書きながら、僕もボールペンにゲル「J」型を入れてみたら使えそうだというのを気付きました。
ckmさんのおっしゃる通り、リフィルの外径が細いというところが奏功しているようですね。
「BRFN」タイプのゲルインクが出たら面白そうですね!
ckmさんの期待に添える記事が書けるか分かりませんが、今年も僕なりに頑張っていきたいと思っております。
こちらこそ本年もよろしくお願いいたします。
しのわん さま
しのわんさんの記事は、いつも丁寧に検証されていて、
私にとっては筆記用具に関して最も信頼できる情報源です。
読むたびに勉強させていただいております。
最近では、「この万年筆やボールペンはどうだろう?」と思うと、
既にしのわんさんが検証され、記事にされていることが多く、
毎回その網羅性とスピードに驚かされています。
これからの更新も楽しみにしております。
また、私の方でも何か面白い情報がありましたら、ぜひ共有させてください。