セーラー万年筆の透明感万年筆と銘打った「プロフィットJr.」「レクル」「プロカラー500」の3種類が販売されています。
どれも透明軸でインクカラーを見て楽しめる美しい万年筆です。
セーラーの透明軸万年筆が欲しいけどどれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
以前透明感万年筆の「プロフィットJr.」と「プロカラー500」についてレビューしました。
今回「レクル」を含めた透明感万年筆3種類を比較しながらレビューしたいと思います。
それでは詳しく紹介します。
この記事をおすすめする人
セーラー万年筆の透明感万年筆それぞれの違いが知りたい
透明感万年筆を買いたいがどれにすればいいか迷っている
SAILOR(セーラー万年筆)「透明感万年筆」3種の特徴
価格の違い
「プロフィットJr.」 | 税込定価2750円 |
「レクル」 | 税込定価3850円 |
「プロカラー500」 | 税込定価6600円 |
という感じになっています。
樹脂パーツすべてが透明でPMMAという樹脂でできている


3種共、透明感万年筆という名の通り、軸、キャップ、ペン芯まで全ての樹脂パーツが透明です。
透明万年筆はインクの色を見て楽しめ、インクの残量がひと目で分かるなど、美しさと実用性を兼ね備えています。
パーツに使われている素材は3種ともPMMAという樹脂製です。
以下はPMMAという樹脂についての解説文です。
興味のない方は読み飛ばしてもらっても大丈夫です(笑)
PMMA樹脂とは
PMMAはあまり聞きなれないかもしれませんが、アクリル樹脂といえば分かりやすいかもしれませんね。
PMMA(アクリル樹脂)は
透明率がガラス92%に対しアクリル93%と、透明性が極めて高い
耐候性が良く、雨風や紫外線に強く劣化しにくい
耐衝撃性が高く、ガラスの10倍~16倍あり、たとえ割れても飛散しない
-40℃~60℃までの温度まで耐えられる
といった特徴があり、この特性から水族館の巨大水槽などにも使われています。
その他、自動車のテールランプなどの部品、サンルームなどにも使われています。
お手入れには注意が必要
アクリルの弱点は有機溶剤です。
有機溶剤というのは、アルコール、シンナーや除光液などがそうです。
有機溶剤を使うと透明ではなくなり、白く濁ったようになってしまいます。
お手入れの際にはアルコールなどで拭かないようにして下さいね。
白濁してしまったアクリル樹脂を元の透明に戻す方法はありますが、かなり手間がかかります。
アクリル用の研磨剤などで磨けば、ある程度透明な状態に戻せます。
ただ、研磨剤では深い傷やヒビなどは修復できないので注意してください。

3種共PMMAという樹脂製なので透明度が高いのが特徴です。
透明度が高く耐久性も高いアクリル樹脂でできているので、透明度が高い状態が維持できます。
ただ、PMMAは強い力が加わると割れやすかったり、有機溶剤で白濁してしまったりといった注意点も同じですので、取り扱いには十分注意してください。
また、このPMMAはさらに上位機種のプロフィット21のデモンストレーターにも使われている素材です。
高級万年筆と同じ素材を使っているので、セーラー万年筆がいかに素材ひとつでも手を抜かずに作っているのかがよくわかりますね。
透明度の高い樹脂でできた軸は中の状態がひと目で分かる

どれも同じ素材が使われているので、軸の中身がしっかりと見えますね。
インクの色が見えるので見て楽しめますし、インクの残量がひと目で分かるので機能性も兼ね備えています。
透明軸の一番の醍醐味はやはりこのインクの色を見て楽しめるというところかと思います。
軸のデザイン比較

3本を並べてみました。
「プロフィットJr.」「プロカラー500」はバランス型、「レクル」はベスト型と呼ばれる形になっていますね。
バランス型というのは、ペンの両端が丸くなっているタイプ、ベスト型というのは、ペンの両端が平らになっているタイプの事です。
万年筆の代表的な形には「プロフィットJr.」や「プロカラー500」のような「バランス型」と「レクル」のような「ベスト型」があります。
こちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
サイズや重さを比較
収納時
収納時というのはキャップを閉めた状態での全長になります。



筆記時
筆記時はキャップを尻軸を着けた状態での全長です。



最大径
最大径はキャップリング部分ではなく、軸のグリップ部分で一番太いところを測定しました。



重さ
重さはコンバーターやカートリッジがついていない状態を測定しました。



サイズ・重さ比較のまとめ
収納時 | 筆記時 | 最大径 | 重さ | |
プロフィットJr. | 134.37mm | 145.41mm | 12.33mm | 12.93g |
レクル | 122.37mm | 140.11mm | 12.23mm | 13.00g |
プロカラー500 | 135.26mm | 147.23mm | 12.30mm | 17.05g |
レクルはベスト型なので、「プロフィットjr.」や「プロカラー500」に比べて少し短いですね。
「プロフィットjr.」と「プロカラー500」はそれほどサイズには大きな違いなく測定の誤差範囲かなという感じですね。
「プロフィットjr.」と「レクル」はほぼ同じ重さでしたが、プロカラーは約4g重くなっています。
キャップリングやクリップなどの装飾

どれも装飾部分はクロムメッキ処理がされています。
透明な軸に銀色の装飾で派手さはなく、落ち着いた雰囲気でかっこいいですね。

クリップは3種とも同じ形状ですね。
パーツを共有しているようですね。


写真ではちょっと分かりにくいかと思いますが、プロフィットjr.とプロカラー500にはキャップリングに刻印が入っていますが、レクルはキャップ部分に白字で「SAILOR JAPAN」「Lecoule」と印字されています。

「プロカラー500」はキャップリングが太くしっかりと刻印が入っていて一番リッチな印象ですね。
他の上位機種と比べても引けをとらないクオリティじゃないかと思います。
ペン先の素材と形を比較

素材はどれもステンレススチール製です。
ペン先の大きさとしてはどれもそれほど差は無いように思います。
「レクル」「プロフィットJr.」はペン先にセーラーのロゴが刻印されたシンプルなデザインです。
見た目やサイズが全く同じなので、「レクル」と「プロフィットjr.」のペン先は共有パーツかと思います。
「プロカラー500」は中央にセーラーのロゴ、さらに周囲には装飾模様が入っており、見た目がとてもいいですね。
さらにクロムメッキ処理がされているので、輝き方が他の2種と全く違いますね。
どれもペン先の太さは中細のみ

透明感万年筆3種ともペン先の太さは中細のみです。
ペン先の太さは選べないのはちょっと残念ですね。
購入する際はご注意ください。
万年筆のペン先は大きく分けるとステンレススチール製の他、金製のペン先とがあります。
素材だけでなく、ペン先には様々な形があり、それぞれに特徴があります。
ペン先についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ペン芯が透明

ペン先の裏側にある樹脂部分、この部分をペン芯と言います。
透明感万年筆という名の通り、3種共ペン芯が透明になっています。
ペン芯が透明だと、インクを入れるとペン芯までインクの色に染まって綺麗ですよ。
どれを選んでも透明なペン芯を楽しめますね。
首軸の比較

首軸だけにするとその差が良く分かりますね。
「プロフィットjr.」「レクル」は全く同じですね。
ネジ部分も同じなので、「プロフィットjr.」の軸に「レクル」の首軸をつけることができます。
「プロカラー500」は首軸の作りもリッチですね。
しっかりと作り込まれているのがひと目で分かりますし、この首軸の違いが重さの差になっているようです。
「プロカラー500」と「プロフィットjr.」の軸は共有可能

首軸だけにして撮影後、軸がどっちだったかなと思ってつけてみたらどっちもつけることができました。
サイズは同じ、ネジの規格も同じだったで「プロフィットjr.」と「プロカラー500」の胴軸は共有パーツかなと思います。
キャップは3種共ネジ式

キャップはどれもネジ式というタイプです。
ネジ式はキャップをくるくる回して脱着するタイプになります。
ネジ式はペン先の気密性が高く、ペン先が乾きにくいという利点があります。
また、この手間が「万年筆を使っている」という満足感がありますね。
キャップの開閉方法にはネジ式ともうひとつ、パチンと閉める嵌合式というタイプがあります。
万年筆のキャップについてはこちらの記事でくわしく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
「プロカラー500」のキャップにはインナーキャップがある

キャップでの大きな違いは「プロカラー500」のみインナーキャップがあります。
透明なのでインナーキャップがしっかりと確認できますね。
ネジ式のキャップで気密性が高い上に、インナーキャップがある事でさらにペン先の気密性を高めています。
気密性が高いためペン先のインクが乾きにくく、使いたいときにすぐに使えますし、インク詰まりなどのトラブルにはなりにくいです。
カートリッジ・コンバーター両用式

3種共インク吸入方式はカートリッジ・コンバーター両用式です。
また、セーラー万年筆のカートリッジやコンバーターは独自規格となっています。
カートリッジやコンバーターの規格というのは、首軸とカートリッジなどを接続する部分のサイズの事です。
セーラー万年筆独自の規格となっているので、セーラー以外のカートリッジインクやコンバーターは使えません。
カートリッジインクやコンバーターを購入する際は注意してくださいね。
カートリッジやコンバーターの規格についてはこちらの記事でくわしく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
コンバーターは別売り

どれも購入時カートリッジインクがひとつ付属していますが、コンバーターを使いたい場合は別途購入する必要があります。
セーラー万年筆のコンバーターはノブの部分がカラフルで、10色から選べます。

例えばノブがブルーのコンバーターに同系統のインクを入れて統一感を出すのもいいですし、白いノブを選んで、純粋にインクの色だけを楽しむのもいいと思います。
3種共軸の中が良く見える透明軸ならではの楽しみ方ができますね。
コンバーターの使い方についてはこちらの記事でくわしく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
SAILOR(セーラー万年筆)「透明感万年筆」3種の使い心地

今回はコンバーターを使ってそれぞれ違うインクを入れて試してみたいと思います。
「プロフィットJr.」×「四季織 霜夜」


透明だったペン芯がしっかり「霜夜」色に染まっているのが分かりますね。
「レクル」×「四季織 山鳥」


「プロカラー500」×「四季織 金木犀」


インクの吸入はどれもスムーズです。
ペン芯がインクの色で染まって綺麗ですね。
ペンバランスの比較
キャップをつけた状態で重心はほぼ中央にあります。
グリップ部分のサイズはどれもほぼ変わらないので、持ち心地はよく似ています。
「プロカラー500」は4g重い分、重心がペン先側にあって使いやすいと感じました。
書き味の比較
「プロフィットJr.」

ペンポイントはとてもなめらかでスラスラと書けます。
紙に引っかかるようなことはないですね。

ペン先はやや硬めの印象であまりしなりはないですね。
インクフローはよくインクが擦れることはなく安定していてとても書きやすいです。
「レクル」

当然といえば当然ですが、「プロフィットjr.」と書き味はほぼ同じ印象でした。
とても書きやすかったです。

同じパーツとはいえ、このレベルを安定して製造できるセーラーはすごいなと改めて感心してしまいました。
「プロカラー500」

ペンポイントはなめらかで、スラスラと気持ちよく書けますね。
他の2本に比べ若干インクフローが渋いかなという印象です。

その分中細より少し線が細く感じます。
少し小さめの文字を書いてみましたが、字がつぶれる事なく書けました。
SAILOR(セーラー万年筆)「透明感万年筆」3種比較のまとめ
どれも透明度の高いアクリル樹脂製で見た目が美しく、インクの色や残量がひと目で分かりますし、ペン先はステンレススチールで、書き心地はどれも良かったです。
使用されている素材やペンサイズがよく似ていますが、一番大きな差はペン先のサイズとクオリティですね。
本格的な万年筆が欲しいなら「プロカラー500」

この中で一番高価な「プロカラー500」は美しいペン先の造形に加え、装飾も美しいです。
値段に見合った価値が十分にあると思います。
「ベスト型」の万年筆が欲しいなら「レクル」

「プロフィットJr.」「プロカラー500」は「バランス型」ですが、「レクル」は「ベスト型」。
値段は「プロフィットJr.」よりは高価となっていますが、「ベスト型」の万年筆が好きな人はこの3種から選ぶなら「レクル」一択ですね。
安価で上位機種と遜色ない機能を手に入れたいなら「プロフィットJr.」

上記2種と比べると、価格差分見劣りする部分もあるかと思います。
ですが「プロカラー500」に引けをとらない機能があり、使用されている素材そのものはほぼ同じで価格以上の満足感が得られると思います。
低価格帯で購入できるので透明軸の入門用としてもおすすめです。
最後に

今回はセーラー万年筆の「透明感万年筆」3種を比較してみました。
この記事が皆さんの万年筆選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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