今回紹介するのはペンサルーン製penne19オリジナルヌルリフィル「工場夜景電車」です。
名刺サイズになっていて、中には宝石の絵が描かれていて、インクの名前やブランド名などが書き込めるようになっています。
「penne19」創立75周年で特別生産された「工場夜景電車」というもので、表紙に描かれた夜に空を走る電車がなんとも幻想的ですね。
それでは詳しく紹介します。
ペンサルーン製Penne19オリジナルヌルリフィルをおすすめする人
インクをこよなく愛している
インク本来の色を楽しみたい
インクのフラッシュを観察したい
ペンサルーン製penne19オリジナルヌルリフィル「工場夜景電車」ってどういうもの?
「ペンサルーン」は聿竹さん主催のサークル名
ペンサルーンは文具の製造、イベント企画セミナー開催を行うサークルです。
サークルの主宰者は聿竹(いつたけ)さんという方です。
詳しくはペンサルーンの公式ホームページをご覧ください。
聿竹(いつたけ)さんはもともと印刷業に携わっていたとのことです。
聿竹さんは万年筆の愛好家でもあり、水性インクでの筆記には向かない「ユポ紙」を万年筆でもつかえるようにと開発したのが「ヌルリフィル」という用紙だそうです。
ここで「ヌルリフィル」の基になった「ユポ紙」について詳しく紹介します。
「ユポ紙」とは
ユポ紙という言葉、あまりなじみはないかもしれませんが、ユポ紙は目にしたことはあるかと思います。
どんなところに使われているかというと、例えば屋外に貼られる選挙ポスター、飲食店のメニューなどです。
つるつるした感じの紙というイメージですよね。
このユポ紙は正式名称を「ユポ」といいます。
プラスチック素材の「ポリプロピレン」と、天然鉱物「無機充填材」から作られています。
「ユポ」の名称は株式会社ユポ・コーポレーションの商標登録で、ユポ・コーポレーションが開発・製造を手掛ける商品名です。
ユポ紙の特徴
撥水・耐水性が高く、水に濡れてもふやけることがなく、形状がほとんど変化しない
フィルムのように破れにくいので、風雨にさらされる屋外用ポスターなどでも使える
紙に近い質感で油性ペンや一部のユポ紙は鉛筆での筆記ができる
といった特徴が挙げられます。
ただし、水をはじいてしまう性質からユポ紙は水性インクで書いても、表面にインクが定着しません。
「ヌルリフィル」はペンサルーンが開発したオリジナル用紙の名前
先に紹介しましたが、ペンサルーンが水性インクでの筆記には向かないユポ紙を万年筆でも使えるようにと開発したのが「ヌルリフィル」という用紙です。
ユポ紙というのは、樹脂フィルムでできていて防水性を持っているので万年筆には不向きでしたが、表面に筆記層をコーティングし、水性インクでも筆記できるようにしたのが「ヌルリフィル」です。
「penne19」は老舗文房具店の名前
「penne19」は「ペンネ・ジューク」と読みます。
昭和21年創業の老舗文房具店です。
創業時は「マルウチ文具店」という店名でしたが、平成26年に店名を現在の「Penne19」に変えられています。
お店は創業当時から静岡県富士市で営まれています。
真にお客様の役に立つような商売、文具を文明的なモノから文化的なモノへ。祖父の志と共に、紙とペン、そして教育というコンセプトを掲げられている文房具店です。
店舗の詳しい情報については「Penne19」さんのホームページをご覧ください。
ペンサルーン製penne19オリジナルヌルリフィル「工場夜景電車」の特徴
「Penne19」創立75周年特別生産品「工場夜景電車」
「Penne19」さんが創立75周年を迎え、特別生産されたのが今回紹介する「工場夜景電車」です。
表紙の絵が幻想的ですよね。
特徴をまとめると
- ペンサルーン製「ヌルリフィル」を使っている
- 1ページ目に吸取紙が入っているので余剰インクを吸収してくれる
- サイズは9.1cm×5.6cm(名刺サイズ)
- 1冊50シート(5種各10枚)
というところです。
ペンサルーン製「ヌルリフィル」の特徴
先でも触れましたが、ペンサルーンが開発した「ヌルリフィル」は、ユポ紙に筆記層をコーティングすることで、万年筆などで使う水性インクでも書けるようになっています。
ヌルヌルとした書き心地
樹脂フィルムのつるつるとした表面は、ペンの滑りがいいので、ヌルヌルとした独特の書き心地を楽しむことができます。
一般的な紙のような筆記時の摩擦を感じることがなく、ペン先が軽く滑っていくような書き心地です。
インクがゆっくりと乾いていく
筆記した直後は、インクが紙の表面に乗っているだけの状態です。
時間をかけてゆっくりと乾いて筆記層に定着していきます。
定着するまでかなりの時間を要しますが、その間インクの乾燥していく過程をじっくりと観察することができます。
写真左は書いた直後、右は1日かけて乾燥した状態です。
ライトの条件が若干違うので、ちょっと分かりずらいかもしれませんが、書いた直後と1日かけて乾燥した状態とで色の感じが違うのが伝わるかなと思います。
ペリカンのロイヤルブルーは書いた直後は濃く鮮やかな青色ですが、1日かけて乾燥させるとちょっと淡く落ち着いた感じのブルーグレーっぽい色になっています。
インク本来の色を真っ白な「ヌルリフィル」の上で見ることができますし、徐々に色が変化していく様子がゆっくりと観察できるのが楽しいですよ。
注意する点としては、乾燥して紙にインクが定着するまでかなりの時間を要するので、誤ってインクを触ってしまうとかすれてしまいます。
筆記後は、筆記部分を触らないように注意してくださいね。
また、一部の顔料インク、ラメインク等、粒子系インクのような分散剤が多く含まれているインクとは相性が悪い場合があるようです。
これも使用する際には注意してくださいね。
ユポ紙特有の頑丈さを備えている
ヌルリフィルはユポ紙の撥水性・耐水性が高く、水に濡れてもふやけることがなく、形状がほとんど変化しないという特徴をもっています。
そのため、とても頑丈ですし、水に濡れても形は殆ど変化しません。
1ページ目に吸取紙が入っているので余剰インクを吸収してくれる
表紙をめくるとピンク色の吸取紙がついています。
吸取紙というのはインキを吸い取らせて、筆記後の乾燥を速める目的に使用されるものです。
1枚目のカードに筆記した後、一度表紙を閉じれば余ったインクを吸い取ってくれるので、早く乾燥させたい人には便利かと思います。
僕は筆記する前に一枚ずつ取り外して使い、ゆっくりと自然に乾燥させながら色の変化を楽しんでいるのでこの吸取紙は使っていません。
サイズは9.1cm×5.6cm(名刺サイズ)
名刺サイズになっていて、ツバメノートのインクコレクションカードと同じように名刺ファイルに収めることができます。
いろんなインクを使って自分だけのコレクションを作ることができますね。
このヌルリフィルの名刺サイズはPenne19だけだそうですよ。
1冊50シート(5種各10枚)
カードは宝石の絵と、罫線が書かれています。
この宝石の絵は全部で5種類あり、それぞれ10枚ずつあり、50枚で1冊になっています。
1冊で50枚もあるので、いろんなインクをのせて楽しめますね。
好きなところから使える
写真のように途中にあるカードでも使いたいところを簡単に外すことができます。
上から順に使っていくと、宝石の絵柄が偏ってしまったりしますよね。
使いたいところから外せるので、インクの色やイメージに合わせて宝石の形を選ぶことができます。
また、途中のカードを外してもバラバラにならないので安心ですよ。
ペンサルーン製penne19オリジナルヌルリフィル「工場夜景電車」の使い方
使い方は人それぞれで、何をどのように書いたり塗ったりするのは自由です。
今回は一例として僕の使い方を紹介します。
今回はパイロットの色彩雫「松露」、パイロットの色彩雫「竹炭」、ペリカンの「ロイヤルブルー」を使ってみます。
宝石部分には綿棒でたっぷりインクをのせる
宝石の真ん中部分には綿棒で塗っています。
この部分はちょっと悩んでいて、一度塗るだけと、追いインクをするのとどちらがきれいにインクの色が表現できるかというのを試しています。
追いインク
追いインクというのは、一度塗った部分にさらにインクが盛り上がるくらいインクを追加することです。
盛り上がるくらいのせるた直後は紙を動かすとインクが流れてしまいます。
追いインクをしたら乾くまでそっとしておきます。
追いインクの量によりますが、僕は少なくとも1日以上は乾燥させています。
宝石のカット部分は、塗りつぶしたり、斜線をいれたりしています。
罫線部分にはインクのメーカー・インク名・筆記年月日
僕は上から
- インクのメーカー名
- インクの名前
- 筆記した年月日
の順に書いています。
その他、インクの印象とか、カリグラフィーを書いてみるのも面白そうですね。
インクのフラッシュを観察できる
インクがフラッシュする条件として
- インク吸収の弱い(インクがしみこみにくい)材質に書いたとき(特にヌルリフィルのような樹脂フィルム系に書いたとき)
- 乾燥に伴ってコーヒーリング効果で析出した色素凝集物が筆記線周縁部に輸送される環境にあるとき
- 黒い紙に書いたとき
- 濃いインクを用いたとき
- インクの中にフラッシュを生じうる色素が、原料として一定濃度以上含まれていたとき
というのがあります。
この条件のなかに「ヌルリフィルのような樹脂フィルムに書いたとき」とあるので、インクの条件である「濃いインクを用いたとき」「フラッシュを生じる色素が、原料として一定濃度以上含まれていたとき」が満たされればフラッシュを観察することができます。
今回使用したインク3種類がフラッシュするか見てみたいと思います。
パイロットの色彩雫「竹炭」
宝石部分にはたっぷりと追いインクをしてかなり厚みがあります。
ちょっと写真では分かりにくいと思いますが、若干赤い金属っぽく光が反射しているのが見えます。
この宝石の光っている部分、インクは完全に乾いた状態なので、インクの水分が光を反射させているということではありません。
この金属のような光沢のある反射が観察できる現象をフラッシュといいます。
肉眼ではかなり赤みを帯びているんですが、うまく写真で伝えられないのがくやしいですね。
写真はもうちょっと
パイロットの色彩雫「松露」
「松露」のカードを作った時は写真のとおり、最初宝石部分には追いインクをしていない状態でした。
でもあまりフラッシュが観察できなかったので、追いインクをしてみました。
写真は追いインクした直後の写真です。
そして1日かけて乾燥させたのがこちら。
正面から撮影しても明らかに赤くフラッシュしているのが見えますね。
さらに宝石部分をアップで見てみると
赤紫っぽい金属のような光沢のある反射が観察できました。
これはきれいにフラッシュしているのが観察できましたね。
ペリカンの「ロイヤルブルー」
ペリカンのロイヤルブルーは写真の左は追いインクをしたものと、右の一度塗りだけのものと2枚作って比較してみました。
その結果がこちらです。
インクはちゃんと乾燥している状態です。
これも写真では分かりにくいかもしれませんが、左はうっすら赤くフラッシュしているのが観察できました。
写真右も若干赤みのある反射が見えますが、左ほどフラッシュしている様子は観察できませんでした。
うまくフラッシュさせるコツは?
この3種類のインクに限った話かもしれませんが、「竹炭」「ロイヤルブルー」と「松露」の宝石部分の塗り方が少し違います。
「竹炭」と「ロイヤルブルー」は一度塗りした直後に追いインクをしました。
対して「松露」は一度塗りして乾燥させたけど納得がいかなかったので、しばらく乾燥させた状態に追いインクをしました。
結果として3種類ともフラッシュは観察できましたが、特に「松露」はかなりきれいなフラッシュが観察できました。
紙とインクの相性もあるのかもしれませんが、また今回の手技を踏まえて上でまた試してみたいと思います。
フラッシュは敬遠されがちな現象ですが、最近ではフラッシュを狙ったインクが登場するなど、フラッシュという現象を楽しんでいる方もいらっしゃいますね。
僕はこのフラッシュという現象が好きなので、使い方を試行錯誤しながら「ヌルリフィル」を使っていろんなインクを観察していきたいと思っています。
インクフラッシュについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ペンサルーン製penne19オリジナルヌルリフィル「工場夜景電車」をおすすめする理由
ヌルヌルとした「ヌルリフィル」独特の書き味を楽しむことができる
インク本来の色を楽しむことができる
名刺サイズになっているので名刺ファイルに入れてインクのコレクションを楽しむことができる
頑丈なので長期保存に向いている
インクのフラッシュを観察することができる
というところかと思います。
特殊な用紙なので2冊セットで税込1540円と少しお高いかと思いますが、かなり楽しいインクカードなのでぜひ使ってみてほしいと思います。
最後に
今回はペンサルーン製penne19オリジナルヌルリフィル「工場夜景電車」を紹介しました。
僕はインクフラッシュについて調べていた時に初めて「ヌルリフィル」という言葉を知りました。
ヌルリフィルを使いたくて色々と探していて、今回紹介したpennne19オリジナルヌルリフィルと出会いました。
出会った当初はヌルリフィルという言葉はもちろん、ペンサルーン、penne19、ユポ紙など知らない言葉ばかりでしたが、今回紹介するにあたって僕自身とても勉強になりました。
まだ1冊も使いきれてないですが、これからもっといろんなインクをコレクションして「ヌルリフィル」に活躍してもらいたいと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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