今回はOHTO(オート)のTasche(タッシェ)という万年筆を紹介します。
タッシェの最大の特徴は、収納時のサイズで約10cm。
収納していると、これが万年筆?と思うほどコンパクトです。
それでは詳しく紹介します。
OHTOの万年筆Tascheをおすすめする人
OHTOの筆記具が好き
携帯に便利な万年筆を探している
欧州規格のカートリッジが使える万年筆が欲しい
OHTO(オート)Tache(タッシェ)の特徴
収納時は約10cmとコンパクト
収納時はこんな感じでかなりコンパクトです。
一見これが万年筆か?と思ってしまいますよね。
キャップを取ると、万年筆のペン先が出てきました。
キャップを外した状態で本体の長さはだいたい86mmほど。
このままでは短くて使いにくいですが、キャップを軸につけると立派な万年筆になりました。
筆記時にはキャップをつけるのを前提でデザインされていて、軸の黒い部分までキャップを差し込むとピタッと止まるようになっています。
キャップをつけた筆記時の長さは約15cmと、使いやすいサイズになります。
軸やキャップはアルミ製で軽い
首軸やキャップはアルミ製てとても軽いです。
アルミの特徴としては、軽くて丈夫、塗装の発色がいいという点です。
キャップの光沢のある黒い塗装は均一で美しいです。
カートリッジ1本含めた重さは14.63g。
尻軸の銀色の部分に少し重みを感じます。
この部分だけ真鍮が使われているようですね。
この真鍮部分があるおかげで約15gという軽すぎない程よい重さに調整されています。
またペンの重心がキャップをつけた状態でほぼ真ん中あたりにくるようになっていますね。
首軸と尻軸をつなぐネジ部分がピッチが小さく繊細
僕が気に入っているのはこのつなぎ目部分のネジが繊細なところ。
ネジのピッチがかなり小さいので、首軸に尻軸をつなげるときにかなりくるくると回さないと最後までたどりつきません(笑)
このネジを回す手ごたえがなめらかで、アルミが「しゅるしゅる」と擦れる音も心地よく感じます。
ピッチが小さいとしっかり密閉できるので、この部分からインクが漏れにくいというメリットもあります。
ちょっとマニアックな部分かもしれませんが、よくできているな~と感心できる部分ですね。
グリップ部分はマット仕上げですべりにくい
この銀色のグリップ部分は、マット仕上げになっていてすべりにくくなっています。
キャップ、軸はまっすぐな円柱形でつるっとした素材だとグリップがすべりやすくなりますが、このあたりもしっかりと配慮されていますね。
クリップはSK材
OHTOの製品をいくつか紹介していますが、ほぼクリップはSK材ですね。
OHTOらしさのひとつかなって感じです。
クリップの形状はとてもシンプルですね。
OHTOのクリップは硬いことが多いのですが、このクリップは程よくしなるのでしっかりバネが効きつつメモ帳や胸ポケットに簡単に挟めます。
SK材とは
SK材は「エス・ケー材」と読みます。
SはSteel(鋼)を指し、Kは日本語の工具(Kougu)を指しているんだそうです。
名前のとおりのこぎりなどの工具類をはじめ、バネや自動車用部品などいろんな製品に広く使われています。
胸ポケットに入れて持ち運ぶのに理にかなったデザイン
持ち運ぶときは当然キャップをしますよね。
胸ポケットに差し込むとこんな感じです。
この時、中のペン先は上を向いています。
万年筆は振動をあたえると、ペン先からインクが垂れてしまうことがあります。
ですが、ペン先が上を向いている状態で収納されているので、持ち運ぶときにインクが垂れてしまうということがありません。
サイズももちろんですが、こうした配慮はまさに持ち運ぶためにデザインされた万年筆ということですね。
ペン先はステンレス
ペン先の素材はステンレスです。
ペン先に「IRIDIUM POINT」と刻印されていますね。
万年筆のペンポイント(ペン先にある紙にふれる部分)にはイリジウムという金属が使用されているということです。
ペン先のペンポイントにイリジウムが使われることで、筆記時の摩耗に強くなるというメリットがあります。
正しい使用方法であれば長期に使用が可能ということですね。
ペン先の太さはF(細字)
ペン先はF(細字)です。
タッシェのペン先はこのF(細字)のみです。
他の太さは選べません。
書き味については後述しますね。
万年筆のペン先についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
カートリッジは欧州規格
カートリッジの規格は欧州規格(ヨーロッパ統一規格)です。
規格というのは、カートリッジと首軸を接続する部分の大きさのことです。
欧州規格はOHTOの他、ペリカン、カランダッシュ、カヴェコ、エルバン、シュナイダーなど多くのメーカーが採用している規格です。
同じ規格であればOHTOだけでなく、いろんなメーカーのカートリッジインクが使用できますよ。
カートリッジの規格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
インクはカートリッジ専用
軸がこのサイズなので、適合するコンバーターがなく、ショートタイプのカートリッジインクに限られます。
欧州規格でいちばん小さいコンバーターはカヴェコのコンバーターで、使えなくもないですがインクがほとんど入れられないのでやめておいたほうがいいと思います。
もちろんOHTOのショートカートリッジインクもいいんですが、カラーがブラックとブルーブラックの2種類だけです。
おすすめのショートカートリッジインク
ショートカートリッジを製造しているメーカーはたくさんありますが、その中で比較的手に入れやすいおすすめのカートリッジを紹介します。
シュナイダーのカートリッジインク
ひとつめはシュナイダーのカートリッジインクです。
ブラックやブルーブラックなどのベーシックなカラーに加え、パステル調のインクもあってとてもきれいですよ。
僕の持っているシュナイダーのカートリッジインク「バミューダブルー」は青緑色で深みがありとてもきれいですよ。
エルバンのカートリッジインク
もうひとつはエルバンのカートリッジインクです。
かわいいブリキの缶に入っていて、これだけで絵になります。
見た目だけでなく、多彩で魅力的なインクがあるのでおすすめですよ。
いちばんのおすすめはエルバンを代表する「ヴィオレパンセ」というインクです。
ヴィオレパンセは紫パンジーの意味で、フランスでは慣れ親しまれているインクです。
上品ですこし青みがつよい、それでいてどこかふんわりと柔らかい感じがする紫色です。
ぜひ一度使ってみてください。
本体は税込定価1100円とお手頃価格
このお値段もタッシェの魅力のひとつ。
アルミ製の軸なので軽くて頑丈、欧州規格のカートリッジインクが使えて税込定価1100円はかなり魅力的かと思います。
デザインはちょっと玄人好みかもしれませんが、万年筆初心者でも手が出しやすい値段ですね。
OHTO(オート)Tache(タッシェ)の書き味
付属のカートリッジインクを使う
購入時、軸に中にカートリッジインクが入っています。
インクの色はブラックです。
今回はこのブラックのカートリッジを使ってみます。
首軸にカートリッジが半分以上入ってしまうので、左右にぶれずに差し込みやすいです。
インクフローがよく、F(細字)より少し太く感じる
インクフローはとてもいいですね。
かすれることなく、線の太さも一定で安定しています。
フローがいいので、国内メーカーのF(細字)に比べるとちょっと太く感じます。
ペン先は硬くしっかりした手ごたえで、ペンポイントはなめらかで書きやすいですね。
日本語特有のとめ、はね、はらいもしっかりと表現できます。
総重量が20gと軽量なので、扱いやすいです。
グリップがマット仕上げになっているので、滑らずに安定して筆記し続けることができますよ。
OHTO(オート)Tache(タッシェ)をおすすめする理由
収納時には約10cmとコンパクトで持ち運びに便利
欧州規格なのでいろんなメーカーのショートカートリッジが使える
ペンポイントがなめらかで書き心地がいい
税込定価が1100円とお手頃価格
というところかと思います。
ペン先の太さが選べないのは残念ですが、値段を考えると十分過ぎるほどのクオリティです。
OHTOの企業努力にはいつも感心させられます。
最後に
今回はOHTO(オート)Tache(タッシェ)を紹介しました。
これまでOHTOの万年筆、ボールペンをいくつか紹介しましたが、そのどれもが個性が光る魅力的な筆記具ばかりでした。
まだ紹介出来ていないOHTOの万年筆があるので、また次の機会に詳しく紹介したいと思います。
皆さんの万年筆選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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