今回はファーバーカステルの「ヘキサ」という万年筆を紹介します。
「ヘキサ」は
- 6角形の軸で持ちやすい
- アルミニウム軸なので軽量で扱いやすい
- カートリッジ・コンバーター両用式
- ペン先はスチール製
といった特徴があります。
それでは詳しく紹介します。
ファーバーカステル(Faber-Castell)「ヘキサ」をおすすめする人
海外ブランドで手頃な値段の万年筆を探している
金属軸の万年筆が好き
両用式で欧州規格の万年筆が使いたい
ファーバーカステル(Faber-Castell)について
ファーバーカステル (Faber-Castell) はドイツの筆記具ブランドです。
創業はなんと1761年!
260年以上もの歴史があり世界最古の鉛筆製造メーカーです。
ドイツのニュルンベルク近郊でもともとは家具職人であったカスパー・ファーバーが鉛筆の製造を開始。
1851年には4代目となるローター・フォン・ファーバーが鉛筆の長さ・太さ・硬度の基準を作成。
鉛筆と言えば、その長さや太さがパッと思い浮かびますよね。
HBや2Bと聞くと、それが固い芯か、または濃い色で柔らかいタッチの芯なのかというのも思い浮かべられるかと思います。
そうしたサイズや芯の硬度の基準は150年以上も前に作成され世界基準となっているんです。
その後、カステルリューデンハウゼン家と血縁関係となり、両家を合わせた新たな伯爵家、“ファーバー=カステル家”が生まれました。
6代目のアレクサンダー・ファーバーカステル伯爵が騎士の馬上試合をモチーフにした「ファイティングナイト(騎士)」ロゴを作成。
このファイティングナイトは現在でもファーバーカステルのブランドモチーフとして用いられています。
ファーバーカステルの公式ページのリンクを貼っておきます。
よかったらこちらも参照してください。
ファーバーカステル(Faber-Castell)「ヘキサ」の特徴
6角形の軸
ヘキサという名前にもある通り、6角形の形をしているのが一番の特徴です。
ヘキサとは
ヘキサというのはギリシャ語で「6」を表す接頭語になります。
接頭語というのは、他の言葉の頭につけて数字を表す言葉です。
「1」から順に「1」=モノ、「2」=ジ、「3」=トリ、「4」=テトラ、「5」=ペンタ、「6」=ヘキサとなります。
モノレールとかテトラポットなど聞いたことがありますよね。
そしてヘキサゴンは「6」角形を表す言葉です。
かなり脱線してしまいましたが、ヘキサというのはこの軸が6角形を示しています。
そして、ファーバーカステルで6角形といえば、先述した鉛筆の形です。
この6角形はファーバーカステルの伝統的な形と言えるかと思います。
軸の素材はアルミニウム
軸やキャップはアルミニウムで出来ています。
アルミニウムは、軽量、頑丈、着色した際の発色がいいといった特徴があります。
アルミニウム表面はアルマイト処理が施されています。
アルマイト処理とは
アルマイト処理とは、アルミニウムをコーティングする手法のひとつで、表面に陽極酸化皮膜を作る処理のことです。
アルミニウムは通常の状態でも空気中の酸素と反応して酸化アルミニウムの被膜を形成します。
この被膜によってアルミニウムは腐食しにくいという特性を持っています。
しかしこの被膜は薄く傷つきやすく、また長時間塩分にさらされたり、水分が付着した状態で鉄などの金属に触れたりしていると腐食を起こします。
そこで、人工的にアルミニウム表面に酸化アルミニウム被膜を作ることによって、アルミニウムの耐食性・耐摩耗性の向上を目的として行うのがアルマイト処理です。
アルマイト処理には装飾やその他の機能の付加といった目的もあります。
軽量で頑丈なアルミニウムに、さらにアルマイト処理をすることで、より腐食に強く頑丈、また見た目も良くなるし、その美しい色が長続きするということですね。
軸のカラーは全部で4種類
今回紹介するヘキサのカラーブラックマットです。
すこしザラっとしつつ、なめらかな感じの手触りです。
マット塗装は手になじみやすく滑りにくいですね。
ブラックマットの他、ブロンズ、ブルー、シルバーマットと全部で4種類あります。
どれも落ち着いた雰囲気のカラーで、ビジネスなどでも違和感なく使用できますね。
ブラックの軸にグレーのロゴ
軸にはファーバーカステルのブランドモチーフである「ファイティングナイト」と「Faber-Castell」の文字。
ロゴ部分は光沢のあるグレーで着色されていて、黒い軸に浮き上がって見えるのがかっこいいですね。
重さは19.17g
スケールで重さを測定したところ、カートリッジを装着している状態で19.17gでした。
金属軸としては比較的軽量かと思います。
グリップ部分は樹脂製
グリップ部分は黒っぽい半透明の樹脂でできています。
ペン先の根本からペン芯部分が透けて見えますね。
半透明樹脂で写真では分かりにくいかもしれませんが、グリップ部分はなめらかな円錐状になっています。
ペン先側に向かって徐々に細くなり、ペン先近くで裾が広がっています。
このくぼんだあたりがちょうど指を添えやすく、グリップがしやすいですね。
キャップの天冠に「ファイティングナイト」
天冠部を見ると、ファーバーカステルのブランドモチーフである「ファイティングナイト」が刻印されています。
印刷ではなく、しっかりと型取られています。
軸のブランドロゴと合わせ、ファーバーカステルというブランドをしっかりと感じさせてくれますね。
クリップは硬めでデザインはシンプル
クリップは6角の1面を覆うほど太く、シンプルなデザインです。
指でクリップを開けようとすると、けっこうしっかりした弾力があります。
クリップの先が持ち上がっているので、メモ帳などには挟みやすいです。
キャップは嵌合式
キャップはパチンと閉める嵌合式というタイプです。
キャップの開閉はかなりしっかりした手ごたえで、閉めると控えめな「カチッ」という音が鳴ります。
キャップを開けるときはけっこう力が必要です。
片手でキャップを取ろうとすると開いた反動でペンを傷付けてしまったり、インクが飛び散ってしまう場合があります。
右の写真のように両手でキャップと軸を固定してゆっくりとキャップを外すようにした方がいいと思います。
キャップにはこの嵌合式ともうひとつ、ネジ式があります。
万年筆のキャップについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
キャップの中にインナーキャップ
キャップが不透明なので外からは確認できないので、中を照らしながら撮影してみました。
写真では分かりにくいですが、キャップの奥に少し見えているのがインナーキャップです。
インナーキャップはペン先の乾燥を防ぐ機構です。
ペン先が乾燥すると、使おうとしてもすぐに筆記できなかったりインクの出が悪くなったり、酷い場合はインクが詰まって全く書けなくなったりしてしまいます。
インナーキャップがある事でペン先の乾燥を防ぎ、使いたいときにすぐ使えますよ。
ただ、乾燥しにくいといっても何週間も放置していると乾燥してしまいます。
万年筆を使用しない場合は、インクを抜いてきちんと洗浄するようにしてくださいね。
万年筆の洗浄方法についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ペン先はスチール
ペン先はステンレススチールで出来ています。
ステンレスのペン先は俗に鉄ペンと呼ばれています。
ペン先はガンメタリックに着色されていてかっこいいですね。
ペン先の太さを示す「F(細字)」と「ファイティングナイト」が刻印されています。
軸はブラック、さらにペン先も黒いので全体的に落ち着いた雰囲気になっていていいですね。
ペン先の太さは2種類
ペン先はEF(極細字)とF(細字)の2種類です。
僕が買ったのはF(細字)です。
2種類と選択の幅が少ないのは少し残念な点かなと思います。
個人的には太いペン先の方が好きなので、できればM(中字)とB(太字)も選択肢としてあればなと思います。
購入時カートリッジインクが1本ついている
購入時にショートサイズのカートリッジインクが1本ついています。
胴軸の中に入っています。
インクカラーはブルーです。
カートリッジの規格は欧州規格
カートリッジの規格というのは、カートリッジを差し込む部分のサイズです。
欧州規格というのは、ヨーロッパ規格、ヨーロッパ統一規格などとも呼ばれています。
欧州規格はその名の通り、欧州で共通化された規格で、ファーバーカステル以外のメーカーでも、この規格が同じであれば使用することができます。
ただし、同じ規格といってもメーカーによっては若干の誤差があります。
カートリッジを差し込む際にちょっときつかったり、またはゆるかったりする場合があるので、他のメーカーのカートリッジを使用する際は十分注意してください。
コンバーターやカートリッジの規格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
コンバーターは別売り
ヘキサにはコンバーターは付属していません。
コンバーターが使いたい場合は別に購入する必要があります。
コンバーターもカートリッジと同じく欧州規格なので、同じ規格のコンバーターであれば使用することができます。
例えば、これはアマゾンで買った欧州規格の激安コンバーターです。
装着してみましたが、特に違和感なく付けることができました。
同じメーカーの方が安心できますが、純正品は割と高価です。
同じ規格であれば安いコンバーターでも十分使用できますよ。
ただし、同じメーカーのものを使用せずに故障した場合などは、補償対象外となる場合があるので、使用に際してはあくまで自己責任ということでお願いします。
コンバーターの使い方についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
こちらもよかったら参考にしてください。
ファーバーカステル(Faber-Castell)「ヘキサ」の使い心地
インクは付属のカートリッジを使用
今回は付属のカートリッジインクを使ってみます。
首軸をしっかり固定してカートリッジを差し込みます。
カートリッジが差し込めたらペン先にインクが降りてくるまでしばらく待ちます。
カートリッジを差し込んで数分でインクが出始めました。
思ったよりインクが下りてくるのが早かったです。
インクフローがよく、またペン先が程よくしなる
インクフローは出過ぎず、渋すぎずでほどよい感じでした。
ペン先の太さはF(細字)です。
海外ブランドの万年筆は表記より太いことが多いですが、思ったより細い線が書けますね。
ペンポイントはなめらかでサラサラとストレスなく気持ちよく書けます。
またペン先が程よくしなってくれます。
線に少しの抑揚をつけることができますね。
筆記体を書いていてとても気持ちがいいです。
日本語の「とめ」「はね」「はらい」がしっかりと表現できますね。
キャップは軸にしっかり着けることができる
キャップは軸にしっかりハマります。
固定がしっかりしているので、筆記中にポロっと外れることはありません。
ただ、かなり重心が後ろになってしまいます。
軽量なので筆記中にそこまで気になることはありませんが、重心にこだわる方はキャップを着けずに使用した方がいいかもしれません。
僕はペンが長めで、またある程度重みがあるほうが好きなのでキャップを着けて使います。
ファーバーカステル(Faber-Castell)「ヘキサ」をおすすめする理由
ファーバーカステルの伝統的な6角形で持ちやすい
アルマイト加工されたアルミ軸は軽量で美しく頑丈
欧州規格のカートリッジ・コンバーター両用式で使い勝手がいい
インクフローがよくなめらかな書き味
というところかと思います。
高いクオリティで使いやすい、しかもファーバーカステルという老舗ブランドの万年筆。
品質は間違いないうえに税込定価5170円とやや高価に感じるかもしれませんが、十分手に届く値段設定じゃないかと思います。
最後に
今回はファーバーカステルのヘキサという万年筆を紹介しました。
ファーバーカステルには伯爵コレクションというシリーズがあります。
僕にはとても手が出せる値段じゃないですが、いずれ1本は所持してみたいですね。
この記事が皆さんの万年筆選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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