ボールペンのリフィル(替え芯)っていろんな種類がありますよね。
ボールペンの替え芯は細かく規格化されています。
替え芯の「規格」とは替え芯のサイズを基準化したもので、日本産業規格(JIS)よって定められています。
今回はリフィル(替え芯)の規格について解説します。
この記事をおすすめしたい人
そもそも規格というものが分からない
違うメーカーの替え芯は使えないのか知りたい
ボールペンの書き味を変えたい
替え芯の規格には「JISで定められた規格」と「メーカー独自の規格」がある
ボールペンの替え芯は大きく
- JISで定められた規格
- メーカー独自の規格
このふたつがあります。
JISで定められた規格について
使われているインクの種類は大きく「油性」「ゲル」「水性」に分けられます。
このインクの種類によってそれぞれに規格が定められています。
油性リフィル(替え芯)の規格
油性リフィルの規格は「A1」から「G2」まであり、これらに含まれない規格は「H」に分類されます。
例えば「A1」の規格は
全長106.8(±0.2)mm、外径3.2(+0 -0.2)mm、ペン先径2.4(±0.02)mm
と定められていて、油性「A」型にはBICのリフィルが該当します。
それぞれに規格が定められていますが、詳細は省略します。
また近年特に低粘度の油性インクが多くのメーカーで開発されていますが、低粘度油性インクもこの油性の規格に含まれます。
油性リフィルの規格で注目したいのが「D」と「G2」です。
どちらの規格ともいろんなメーカーが製造・販売しており、汎用性が高い規格です。
油性「D」型リフィル
多色・多機能ボールペンに使われていることが多い規格です。
全長67(+0.3 -0)、外径2.35(+0 -0.05)、ペン先径2.35(+0.05 -0)
と定められています。
外見は写真の通り、まっすぐな鉄の棒ですね(笑)
よく混同されがちなのが「4C」や「D1」です。
「4C」は「D」型と非常に似ていますが、ゼブラ独自の規格で「4C」というのは規格ではなく、ゼブラ独自の品番です。
写真左から2本が「4C」、その他は「D」型です。
肉眼では分かりにくいかと思いますが「4C」の方が若干外径が太くなっています。
「D」型の規格から若干逸脱しているので、「D」型には含まれません。
流用するとリフィルの固定部に不具合(穴が拡張される等)があるので、注意してください。
写真は多色ボールペンで人気のラミー2000です。
「D型」リフィルが採用されており、ラミー以外のメーカーのリフィルを入れて自分好みにカスタムして楽しんでいます。
油性「G2」型リフィル
「G2」リフィルはイギリスのブランドであるPARKER(パーカー)から始まったため「パーカータイプ」と呼ばれ、「ヨーロッパタイプ」「パーカー互換」などとも呼ばれています。
タンク部分の容量が大きいので筆記距離が長いのが特徴です。
「D型」と同様、いろんなメーカーが製造・販売している為、汎用性が高く人気のあるリフィルです。
パーカーはもちろん、ペリカン、アウロラ、カヴェコ、 カルティエ、デュポン、デルタ、ビスコンティ、カランダッシュなど
多数の海外有名ブランドで採用されています。
また、国内でも三菱鉛筆のジェットストリームをはじめ、OHTO、ROMEO、トンボなど、いろんなメーカーから発売されています。
「D型」を「G2」に変換できるアダプター
「D型」で気に入ったリフィルがあり、ボールペン自体は「G2」タイプの場合、「D型」を「G2」に変換できるアダプターというのがあります。
実際にこのアダプターを使ったレビュー記事を書いていますので、よかったら参考にしてください。
油性「H」型
油性「A」~「G」に含まれていない規格は「H」に分類され、メーカー独自の規格も「H」に分類されます。
国内のリフィルはほとんどこの「H」型に分類されるんじゃないでしょうか。
日本で販売されている油性ボールペンの替え芯は互換性に乏しいです。
ですが、その中で面白いのは「H」型の中に含まれている「C300系」と呼ばれるリフィルです。
例えば三菱鉛筆のジェットストリームの「SXR-○」リフィルは「C300系」に含まれ、いろんなボールペンに流用が可能です。
他にも「H」に分類されるリフィルの中には「C300系」に相当するものがあります。
「C300系」というのは、後述する水性「A」型に由来する互換性の高いリフィルの俗称です。
これも後述しますが、ゲルインキリフィルの「J」型、「K」型も「C300系」に含まれます。
互換性の高い「C300系」リフィルについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ゲルインキリフィルの規格
油性インクと同じようにゲルインキのリフィルも規格化されています。
ゲルインキリフィルは「J」「K」「L」「G2」に分類され、「J」「K」「L」「G2」と寸法や形状が異なるものは「N」に分類されます。
ゲル「J」型
「J」型にはサクラクレパスのボールサインIDに使われている「R-GBN-05」というリフィルが含まれます。
ゲル「K」型
「K」型には三菱鉛筆の「UMR-05S」(ユニボールワン)、ゼブラの通称「JF芯」(サラサグランド)、ぺんてるの「LRN5」(エナージェル)などが含まれます。
ゲル「L」型
「L」型にはパイロットジュースの「LP2RF-8UF」というリフィルが含まれます。
「J」型、「K」型は高い互換性がある「C300系」
ゲルインキリフィルの規格で「J」「K」は高い互換性があり俗に「C300系」とも呼ばれています。
また、このゲルインキリフィルの互換性については日本筆記具工業会の互換を検証した結果が掲載されています。
その表には「「J」型「K」型の替え芯は互換がある」ということです。
互換表へのリンクを貼り付けておきますので、よかったら参考にしてください。
ゲル「G2」規格
このゲルインキリフィルの規格「G2」ですが、油性ボールペンリフィルの規格と同じ形式記号です。
「G2」はその名の通り、油性ボールペンリフィルと同じ規格です。
ゲルインキは油性や水性インクより後に開発されたインクです。
リフィルを作る際、油性や水性リフィルの規格に準じて作られていることが多いです。
特に「G2」規格のようにすでにいろんなメーカーで作られている規格を採用することで、同じ市場で販売できるというメリットがあります。
「G2」規格についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
油性「D」型と同じ規格のゲルインキリフィル
ゲルインキの規格でいうと「J」「K」「L」「G2」に含まれないので「N」に分類されますが、油性「D」型と同じ規格のゲルインキリフィルがあります。
サクラクレパスの「R-LGB04D」「R-GBM04」、ゼブラの「JSB-0.4芯」「JSB-0.5芯」、パイロットの「LHRF-20C4」などが相当します。
筆記距離が短く油性インキに比べるとかなりコスパは悪いですが、発色がいいのが特徴です。
水性リフィルの規格
水性リフィルの規格は「A」「B」「C」分類され、「A」~「C」と形状や寸法が異なるものは「D」に分類されます。
ややこしい話ですが、ここでの「D」は油性「D」型とは全く違うものです。
水性「A」型
水性「A」型にはOHTOの「C-305」(CR01、セルサス等)のリフィルが含まれます。
このOHTOの水性「A」型リフィルが「C300系」の由来ともなった規格です。
水性「B」型と「C」型
水性「B」型はそれほどなじみのある規格ではないので、解説は省略します。
水性「C」型については、シュナイダーやシュミットなど海外のローラーボールリフィルに多く使われている規格です。
パイロットの「LVKRF-10」(Vコーン)は水性「C」型に含まれますが、ペン先の形状が他の「C」型と若干違いがあるので、完全互換という訳にはいかないようです。
メーカー独自の規格
JIS規格でいう、油性「H」型、ゲルインキ「N」型、水性「D」型に分類されるのが「メーカー独自の規格」になります。
これはその名の通り、メーカーが独自に開発した規格で、基本的には同一メーカーであっても互換性はありません。
油性の多色・多機能ボールペンのリフィルを例に見てみます。
上から順に「三菱鉛筆 ジェットストリーム4&1」「パイロット ドクターグリップ4+1」「ゼブラ ブレン 4+S」です。
どれもがボールペン4色にシャープペン機能がついています。
またインクはどれも低粘度油性インクです。
三菱鉛筆 ジェットストリーム4&1などに使われているリフィル「SXR-80」のサイズは
全長87.7mm、外径 3.0mm
パイロット ドクターグリップ4+1などに使われている「BVRF-8F」のサイズは
全長98.5mm 外径3.1mm
ゼブラでもブレンなどに使われている「SNC芯」は
全長89.9mm、最大径3mm
外径はおおよそ3.0mm程度ですが、微妙に違いがありますね。
どれも油性リフィルの規格「A1」~「G2」には相当せず、すべて「H」に分類されます。
同じ油性「H」に分類されてしまいますが、当然どれも互換性はありません。
ペン先径は0.03mm程度の差しかなかったので、全長さえ何とかして強引に入れれば使える可能性はあります。
ただ長いのは短くできますが、短いのは長くするのは難しいですね。
ですが基本的にはこれらのリフィルは互換性はありません。
仮に無理して使ったとしても、インクが漏れる、リフィルが固定されない、ノック機構が壊れてしまうといった不具合が起こる可能性があります。
先に紹介した互換のあるリフィルを除き、リフィルを交換する場合は必ずボールペンに適合する同じメーカーのものを使うようにしてくださいね。
書き味に不満があれば互換リフィルを使う
「海外製のボールペンって見た目はかっこいいけど線が太かったり書き味が重かったりして使いにくい!」って思ったことはありませんか?
油性「D」、油性「G2」、「C300系」など互換性のある規格の替え芯を使うことで好みの書き味に変えることができますよ。
今回は「G2」規格のリフィルを例に紹介したいと思います。
書きやすくて人気の高いジェットストリームの替え芯「SXR-600」を使ってみました。
パーカーIMで互換リフィルを使ってみた
パーカーを買ったときについてくる純正のリフィルはM(1.0mm)と太いです。
クインクフローは低粘度のインクで、結構なめらかに書けます。
が、普段使いにはちょっと太すぎるかな。
ということでジェットストリームのリフィルに替えてみました。
写真の上がジェットストリームのG2リフィル、下がパーカーの純正リフィルです。
当然ですが同じ規格なのでボディに書いてある字を確認しないと見分けが付きません。
IMに入れてみた感じですが、ペン先の出ている感じもほとんど一緒。
ノックした時の違和感はなかったです。
筆記時に微妙にカタつく感はありますが、特に気にしなくてもいい程度で、普通に使えます。
太くて重い書き味の純正リフィルから、スラスラと軽やかに書けるようになりました。
パーカーIMのレビューはこちら。
ペリカンのスーベレーンK605
ペリカンのボールペンもG2規格です。
ペリカンの純正リフィルはいかにも油性ボールペンといったねっとり系の書き味です。
ジェットストリームを入れてみました。
回転繰り出し式で、芯の出し入れは特に問題はありません。
ペン先はこんな感じになります。
左が純正リフィル、右がジェットストリームです。
書き味もなめらかで書きやすくなりましたよ。
ペリカンのスーベレーンのレビューはこちら。
互換のあるリフィルを使う上での注意点
いろんな替え芯を交換するのは楽しいですが、各メーカーそれぞれの純正リフィルを使うのが基本です。
互換はあっても別メーカーのリフィルを使って故障した場合は保証対象外となる場合がほとんどですので、使用の際はご注意ください。
最後に
今回はボールペンリフィル(替え芯)の規格について紹介しました。
記号だらけで分かりにくい内容になってしまいましたね。
「C300系」、油性「D」や油性「G2」・ゲル「G2」は高い互換性があり、その他のメーカー独自規格にはほぼ互換性はないということだけ覚えておけば、今後のボールペン選びの参考になるかなと思います。
この記事が皆さんのボールペン選びの一助になれば幸いです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
コメント
セーラーボールペンのレフィル18-0500の互換性レフィルを教えてください。
特にブルーや赤の水性や油性低粘度を探しています。
1.国産品:オートのC305は?
2.ドイツ品:ScriveinerやSchmidt888は?
よろしくお願いします。
ご質問ありがとうございまず。
セーラーの「0500」の互換性のあるリフィルについてですが、
日本筆記具工業会の油性ボールペンリフィルの互換表を確認したところ国内では互換のあるリフィルは無いようです。(以下リンク参照)
https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=http%3A%2F%2Fwww.jwima.org%2Fpen%2Frefil_oil-based.xls&wdOrigin=BROWSELINK
また、セーラーの「0500」は全長が95.5mmですが、質問にあるオートの「C305」は水性「A」、ドイツの「シュミット888」は水性「C」にあたり、どちらも全長が111mmと長さが合わず互換性はありません。
海外リフィルで「0500」に酷似したリフィルではシェーファーの「Kタイプ」が相当します。
ただこちらも油性インクなので、お好みの書き心地ではないかと思います。
現物がないので確証はありませんが、シェーファーの「Kタイプ」と互換がある場合は、「SH-01」というD型リフィルを使用するアダプターで代用できるかと思います。
参考にしてください。