パイロットの軟調万年筆といえば「エラボー」と「フォルカン」が有名ですね。
カスタムヘリテイジ912はベスト型の万年筆で装飾が銀色という見た目はシンプルでかっこいい万年筆です。
さらに今回紹介する「FA(フォルカン)」は特殊なペン先でよくしなって線の強弱がかなりつけることができます。
最初は扱いが難しいと感じるかもしれませんが、慣れるといろんな字が書けるようになりますし、書くのが楽しいと感じるようになりますよ。
パイロットの軟調万年筆であるエラボーと比較を交えながら詳しく紹介します。
カスタムヘリテイジ912「フォルカン」はこんな人におすすめ!
金より銀の装飾が好き
より柔らかいペン先の万年筆を探していた
万年筆で手軽にカリグラフィーをはじめてみたい
カスタムヘリテイジ912「フォルカン」の特徴
まずカスタムヘリテイジ912の特徴から見ていきたいと思います。
軸の素材は樹脂製
軸は樹脂でできています。
樹脂ならではのソフトな手触りで手になじみやすいです。
色は黒のみですね。
万年筆の素材についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
適度な太さがあって持ちやすい
ほぼストレートですが、中心部分が若干膨らんでいる葉巻のような形をしています。
最大径が15.7mmで太すぎることはなく、ちょうど持ちやすい太さになっていますよ。
両端が平らになっている「ベスト型」
収納時、両端が平らになっている形を「ベスト型」といいます。
万年筆の形には大きく分けて「ベスト型」と「バランス型」があります。
912は「ベスト型」と呼ばれる形をしていますね。
万年筆の形についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
装飾はクロムメッキ処理
クリップやキャップリングはクロムメッキ処理されています。
軸が黒で、装飾が銀色なので見た目はシンプルで大人っぽい落ち着いた雰囲気となっています。
僕は「黒×銀」の組み合わせが好きなので、912はドストライクです(笑)
装飾のメッキ処理には金メッキとクロムメッキがあります。
メッキ処理についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
キャップリングには「PILOT JAPAN CUSTOM HERITAGE 912」
キャップリングを一周するように「PILOT JAPAN CUSTOM HERITAGE 912」の文字が刻まれています。
文字がくっきり見えるように、文字部分は黒く着色されています。
キャップはネジ式
キャップはネジ式になっています。
ネジ式の特徴は、ペン先の気密性が保たれるのでペン先が乾きにくいというメリットがあります。
ただ、使う際にはその都度ネジを回してキャップを外さないといけないのでわずらわしく感じるかもしれませんね。
万年筆のキャップについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
エラボーとのサイズや重さの比較
軟調の万年筆としてフォルカンとよく比較されるのがエラボーです。
エラボーと912フォルカンをサイズやペン先の違いなどを比べてみます。
太さの比較
並べてみると、912の方がエラボーより少し太くなっていますね。
912の最大径は15.7mm、エラボーは14.4mmです
長さの比較
エラボーの長さは収納時が137mm、筆記時キャップをつけた状態では150mmです。
912の長さは、収納時は140mm、筆記時キャップをつけた状態で156mmあります。
912の方がエラボーより少し長いのが分かるかと思います。
重さの比較
どちらもインクを入れず、コンバーターを外した状態で測定しました。
測定した結果、912が20.08g、エラボーは16.32gでした。
912の方がサイズも大きくすこし重いですね。
比較したエラボーについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
「FA(フォルカン)」の特徴
「FA(フォルカン)」はペン先の種類
「エラボー」は万年筆の名前ですが、この「フォルカン」という名は万年筆の名前ではなくペン先の種類になります。
「エラボー」はペン先の太さが軟極細(SEF)~軟太(SB)と選べますが、「フォルカン」はペン先の種類の一つになるので太さは選べません。
ペン先の選択肢の中に「フォルカン(FA)」があるということですね。
「FA(フォルカン)」の形
一般の万年筆のペン先とは全く違う特徴的な形をしています。
ペン先の横がぐっとえぐれていますね。
また、筒状ではなく、かなり平らになっています。
この独特な形がペン先のしなやかさを生んでいるんですね。
「エラボー」も特徴的なペン先の形をしていて、柔らかさを求めつつ適度な弾力を持たせています。
これに対して「フォルカン」はよりしなやかさを求めています。
初めて使う人は「ふにゃふにゃ」という印象が強いと思います。
その分ペン先が開きやすく、線の幅がかなり変化します。
書き心地については後述しますが、かなり面白い筆跡になりますよ。
また、ただ柔らかいだけだと簡単に壊れてしまいますが、ある程度筆圧をかけても簡単には壊れないように工夫されています。
「フォルカン」が選べる万年筆
「フォルカン(FA)」が選べる万年筆は今回紹介するカスタムヘリテイジ912の他、カスタム742、カスタム743の3種類。
(以下、カスタムヘリテイジ912=912、カスタム742=742、カスタム743=743として表記します。)
それぞれの特徴をまとめるとこんな感じです。
912 | 742 | 743 | |
ペン先 | 14K 10号 ロジウム仕上 | 14K 10号 | 14K 15号 |
サイズ | 最大径φ 15.7mm 全長 140mm | 最大径φ 15.7mm 全長146mm | 最大径φ 15.7mm 全長 149mm |
軸・キャップ | 樹脂 | 樹脂 | 樹脂 |
カラー | ブラック | ・ブラック ・ディープレッド | ・ブラック ・ディープレッド |
税込定価 | 22000円 | 22000円 | 33000円 |
「912」「742」「743」の違い
ペン先のサイズ比較
912、742はペン先が10号に対して、743は15号と大きくなっています。
10号と15号では書き味も変わります。
同じようにかなり柔らかいのですが、10号サイズ(912、742)はふにゃふにゃとした感じです。
15号サイズ(743)になると、ふにゃっとした感じの中にしっかりとした芯があって、ペンがしなってもしっかり戻ってくる感じです。
書き味が違うので、試し書きができる環境にあればどちらも試してみてください。
パイロットの万年筆のペン先の種類の中には細軟(SF)や中軟(SM)といった柔らかめのペン先があります。
でも、「フォルカン」はこれらの軟調のペン先とは段違いに柔らかいので筆圧の高い人は扱いに十分注意して下さいね。
軸のデザインの比較
軸やキャップはどれも樹脂製です。
742、743は軸の色が2種類(ブラック・ディープレッド)から選べますが、912は1種類(ブラック)となっています。
軸の形ですが、912は両端が平らになっている「ベスト型」、742と743は両端が丸みを帯びている「バランス型」です。
装飾は、742、743は金色ですが、912は銀色で、ペン先もロジウム加工が施されています。
見た目と書き味、値段が購入の分かれ目
シックな「黒×銀」カラーが好きな人は912一択です。
まさに万年筆というデザインの「黒×金」が好きという人、赤い軸が欲しいという人は742、743で悩みますね。
やはり買うなら最上位の「FA(フォルカン)」が使いたいという人は743一択です。
あなたならどの「FA(フォルカン)」を選びますか?
カートリッジ・コンバーター両用式
「912」「742」「743」はどれもカートリッジ・コンバーター両用式となっています。
また「912」「742」「743」のどれを買ってもコンバーター(con-70)がついてきます。
「con-70」はプッシュ式のコンバーターです。
インクをたくさん吸入できるのが「con-70」の特徴ですね。
「FA(フォルカン)」はインクフロー(流れ)がかなりいいのでカートリッジだとけっこう早くインクがなくなってしまいます。
「フォルカン」を使うなら「コンバーター」+「ボトルインク」がおすすめですね。
コンバーターの使い方についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にして下さい。
パイロットのカートリッジやコンバーターは独自規格
規格というのは首軸とカートリッジやコンバーターを接続する部分のサイズのことです。
パイロット独自の規格を採用しているので、パイロット以外のメーカーのカートリッジやコンバーターは使えないので購入する際には注意してくださいね。
このカートリッジやコンバーターの規格について、こちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
ボトルインクで迷ったらパイロットの色彩雫(iroshizuku)がおすすめ
パイロットの万年筆用インクといえば色彩雫が有名ですよね。
僕も愛用しており、いろんな色彩雫を楽しんでいます。
色彩雫シリーズは全てpHがアルカリ性となっていて、ペン先に優しいのが特徴です。
また全部で24色もあるので好みの色が見つかると思います。
「大きなインクボトルは使いきれない」という人にはminiボトルですね。
気になる色を3種類選んで試してみるのにちょうどいいと思います。
インクは使用期限がありますし、いろんな色を使ってみて気に入った色が見つかったら大きなボトルを買うというのがいいと思います。
色彩雫のミニボトルについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
よかったら参考にしてください。
カスタムヘリテイジ912「フォルカン」の書き味
パイロット色彩雫momiji「紅葉」を使ってみました
色彩雫のminiボトルです。鮮やかな赤色が使いたかったのでmomiji「紅葉」を選んでみました。
con-70はプッシュ式なのでインクの補充は簡単ですよ。
軸のバランス
キャップを軸につけなくてもちょうどいいバランスで書きやすいです。
キャップをつけることで重心がかなり後ろにくるようになります。
ペンを長めに持って書くのが好みの人はキャップをつけて使ってみてください。
僕はキャップをつけたほうが好みですね。
多彩な線が書ける
力を抜いて書けば一定の字幅でかけます。
線の太さは細字程度かなと思います。
少し力を入れれば線が太くもなり、力に緩急をつければ、緩急のついた線がかけます。
この多彩な線が書けるのが「フォルカン」の最大の魅力です。
書いていて本当に楽しいですよ。
インクフロー(流れ)は相当いいです。
普通に使っている分にはインクはほぼ途切れません。
筆圧が強い人は扱い注意
筆圧の強い人だと扱うのが本当に難しいと思います。
インクの流れはかなり良いですが、ずっと高い筆圧で書くとインクの流れが途切れることがあります。
また、あまりにも高い筆圧で書くとペン先を壊してしまいます。
筆圧が高い人、筆圧をコントロールするのが苦手な人にはおすすめできません。
カスタムヘリテイジ912「FA(フォルカン)」をおすすめする理由
「黒×銀」で落ち着いた雰囲気がかっこいい
程よい太さと重さで手になじんで使いやすい
「FA(フォルカン)」の書き味は中毒性があるほど楽しい
というところかと思います。
落ち着いた見た目でありながら、ペン先が「FA(フォルカン)」という扱いが難しいペン先の組み合わせなので、万人受けは難しいですが、好きな人にはかなり刺さる万年筆かと思います。
他の万年筆にはない書き味を味わえる「FA(フォルカン)」は、「字を書く楽しさ」を改めて教えてくれますよ。
筆圧の高い人にはおすすめできませんし、この柔らかいペン先が合わないと感じる人もいます。
でも慣れれば、これ一本で日本語の「とめ」「はね」「はらい」が表現できるし、練習すればカリグラフィーも楽しめます。
万年筆が好きな人には一本は持っていてもらいたい万年筆ですね。
最後に
今回はパイロット カスタムヘリテイジ912「FA(フォルカン)」を紹介しました。
僕はずっと使っているレギュラーの一本です。
いろんなインクを入れて楽しんでいます。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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